米リーマン破たん報告書:財務の実態隠しでファルド元CEOを批判

破たんした米証券会社リーマン・ ブラザーズ・ホールディングスのリチャード・ファルド最高経営責任 者(CEO、当時)は2008年6月16日、アナリストらに対して自 信をにじませていた。同年3-5月(第2四半期)に28億ドル(現 在のレートで約2540億円)の赤字を計上したことを受けて、最高財 務責任者(CFO)を更迭した4日後のことだ。

ファルド氏は電話会議で、「最終的に承認したのはわたしだ。第 2四半期末時点の当社の価値を心配してはいない」とし、「われわれ は常に、厳格な社内手続きを踏んできた」と述べた。

リーマン破たんを調べているアントン・バルカス調査官がまとめ た2200ページの報告書は、ファルド氏の言った厳格さが疑わしい根 拠に基づいていたことを示している。同調査官は、リーマンが財務状 況の実態を覆い隠していたと分析。一部資産の評価も「不合理だ」と 指摘した。

イアン・ローウィットCFO(当時)はこの電話会議で、第2四 半期のレバレッジ比率がネットベースで12倍と、07年12月-08 年2月(第1四半期)の15.4倍から低下したと説明した。前任のエ リン・カラン氏の後を引き継いで間もない同CFOは、「慎重な経営 をしていく」と述べた。

「詐欺的行為」との批判も

バルカス調査官は、リーマンが「レポ105」と呼ばれる簿外取 引を通じ、株主に気付かれずに第2四半期に500億ドルの資産を隠 していたと指摘した。第1四半期にも同様の手口で490億ドルを隠 したとしている。

リーマンの元CFOで現サンフォード・C・バーンスティーンの アナリスト、ブラッド・ヒンツ氏は、リーマンの振る舞いは「詐欺的 行為」でしかないとし、「何かを隠すようなことしかしないのであれ ば、財務の健全性など望めない」と批判した。

バルカス調査官はまた、「レポ105」はリーマンの信用格付けの 下支えにつながったとの見方を示した。その上で、ファルド氏は「リ ーマンが誤解を招く決算報告を提出することに非常に無頓着だった ことだけは確かだ」と結論付けた。

ファルド氏の弁護士、パトリシア・ハインズ氏は発表文で、「フ ァルド氏はこれらの取引がどういうものか知らなかった。その構築や 交渉もしておらず、会計上の取り扱いも認識していなかった」と反論。 また、リーマンの財務部門幹部や弁護士、外部の会計監査人の誰一人 として、ファルド氏と同取引の関係に懸念を示したものはいなかった と主張した。

カラン元CFOの弁護士、ロバート・クリアリー氏からのコメン トは現時点では得られていない。ローウィット元CFOの弁護士、ル イス・リマン氏は電子メールで、ローウィット氏は間違った行動は取 っていないと回答した。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE