月例報告:景気は「着実に」持ち直し-8カ月ぶり判断上方修正(Updat

菅直人副総理兼財務相は15日午後、 3月の月例経済報告を関係閣僚会議に提出した。昨年の春以降、輸出 や経済対策がけん引する形で景気の持ち直しが継続していることを評 価し、景気の基調判断を8カ月ぶりに上方修正した。足元では、企業 収益が改善し、雇用・所得環境の悪化に歯止めがかかりつつあること も判断の引き上げ材料となった。

報告書では、「景気は着実に持ち直してきているが、なお自律性は 弱く、失業率が高水準にあるなど厳しい状況にある」との判断を示し、 前月までの「景気は持ち直しているが、自律性に乏しく、失業率が高 水準にあるなど依然として厳しい状況にある」から変更した。個別項 目では、個人消費、設備投資、住宅建設、企業収益、雇用情勢の5項 目を上方修正した。

昨年10-12月期の日本の国内総生産(GDP)2次速報値は、前 期比年率3.8%増と1次速報値の同4.6%増から下方修正されたもの の、設備投資は7期ぶりのプラスを維持。設備投資の先行指標である 機械受注も下げ止まりを示している。失業率は昨年7月につけた過去 最高5.6%から今年1月は4.9%まで低下し、生産や輸出の持ち直しを 背景に、残業時間も増えている。

自律的回復の芽

経済財政相も兼任する菅財務相は月例会議後の会見で、上方修正 の理由について、①生産の持ち直しが継続し、企業収益が改善するな か設備投資が下げ止まりつつある②雇用・所得環境の悪化にも歯止め がかかりつつある③個人消費や住宅建設の持ち直し基調が明確になっ てきた-ことを指摘した。その上で、「国内民間需要の自律的な回復の 芽が出つつある」との認識を示した。

菅財務相はさらに、株価もこのところ上昇傾向にあることに触れ、 「『二番底』懸念は何とか払しょくしつつある」と強調。雇用など厳し さは残るものの、「何とか底割れ的な形の景気後退には至らないで今日 まで来ている」と語った。

先行きのリスク要因については、世界経済の下振れ懸念に関連し、 「ギリシャの問題も含めて小康状態にあるが、まだそういうものが完 全に解消されたとは思っていない」と指摘。「円もぎりぎり比較的安定 しているが、ユーロが下がることによって円に対する影響なども近い 将来なくなったかというと、まだ懸念が残っている」と述べ、対ユー ロでの円高に懸念を示した。

報告書は先行きの見通しについて、前月の「厳しい雇用情勢が続 く」との表現から「雇用情勢に厳しさが残る」に変更。また「企業収 益の改善が続く」との文言を新たに加え、景気の持ち直し傾向の継続 を期待。デフレについては前月と同様に、景気の下押しリスクとして 言及した。

個人消費は持ち直し

個人消費について今月は「持ち直している」とし、前月の「持ち 直しの動きが続いている」から8カ月ぶりに上方修正。需要側と供給 側の統計を総合して指数化した消費総合指数は1月に、前月比1.0% 上昇した。2月の新車登録・届出台数が前月比4.1%減と2カ月連続 でマイナスとなったものの、旅行や外食産業に明るさが出ているとい う。

内閣府が8日発表した2月の景気ウオッチャー(街角景気)調査 によると、3カ月前と比べた景気の現状判断DIは2月に3カ月連続 で改善した。エコカー購入補助やエコポイントの政策効果が継続した ほか、冬・春物衣料に動きが見られ、春節(旧正月)でアジアからの 観光客が増えたことも改善に寄与した。

設備投資は前月の「下げ止まりつつあるものの、このところ弱い 動きがみられる」から、「下げ止まりつつある」に4カ月ぶりに上方修 正。企業収益は前月の「大幅な減少が続いているが、そのテンポは緩 やかになっている」から6カ月ぶりに判断を引き上げた。

昨年10-12月期の法人企業統計によると、全産業の経常利益(金 融・ 保険業除く)は、前年がリーマン・ショックの影響で大きく落ち 込んだ反動もあり、前年同期比で約2倍増の10兆3763億円と10期ぶ りに増益となった。前期比でみても10-12月期は35.2%増と3四半 期連続で30%台の増益を維持した。

企業物価は「緩やかに上昇」

住宅建設は前月の「このところ持ち直しの動きがみられる」から 「持ち直している」に2カ月ぶりに、雇用情勢は前月の「依然として 厳しい」から「依然として厳しいものの、このところ持ち直しの動き がみられる」へ4カ月ぶりにそれぞれ上方修正した。

このほか、国内企業物価については、前月の「横ばいになってい る」から「このところ緩やかに上昇している」と表現を変更。津村啓 介内閣府政務官は記者説明で、企業物価の上昇は素材価格の上昇によ るもので、企業がそれを最終財にすぐに価格転嫁することは難しいた め、「デフレ脱却に直結するとは評価できない」との見方を示した。こ のため、消費者物価も含めた物価に関しては「緩やかなデフレ状況に ある」との判断を維持した。

世界経済については「景気は緩やかに持ち直している」との前月 の判断を踏襲し、米国とアジア、欧州経済に対する見方も維持。ただ、 インド経済について「物価上昇によるリスクには留意する必要がある」 との見方を示した。

--取材協力:伊藤亜輝 Editor: Norihiko Kosaka, Hitoshi Ozawa

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