「日銀サーベイ」金利予想、経済物価情勢、金融政策の展望コメント

【記者:日高正裕】

3月15日(ブルームバーグ):ブルームバーグ・ニュースは16、 17日開かれる日銀の金融政策決定会合を前に、有力「日銀ウオッチャ ー」17人に内外の経済・物価情勢、金融政策の展望を聞いた。質問内 容は以下の通り。アンケート回答期限は12日午前8時。エコノミスト 予想のまとめ記事は「日銀は新型オペ拡充か、政治の強い圧力にも批 判の声-16日から会合」をご覧ください。

1)今回の会合で予想される政策、2)日銀が政策金利を「引き 下げる」時期、3)日銀が政策金利を「引き上げる」時期、4)~11) 政策金利の予想水準(氏名50音順、カッコは前回回答)、12)経済・ 物価情勢の展望-①消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)前 年比上昇率の現状と見通し、プラスに転じる時期②政府が昨年11月に 行ったデフレ宣言の影響、13)金融政策の展望-①3月会合で打ち出 される政策とその効果②次の次の一手③政府の圧力をどうみるか、日 銀はデフレ脱却に向けて何をすべきか-

●三菱UFJ証券の石井純チーフ債券ストラテジスト 1)今回会合 :新型オペの拡充 2)利下げ時期 :利下げなし(同) 3)利上げ時期 :2012年10-12月(同) 4)10年3月末 :0.10%(同) 5)10年6月末 :0.10%(同) 6)10年9月末 :0.10%(同) 7)10年12月末 :0.10%(同) 8)11年3月末 :0.10%(同) 9)11年6月末 :0.10%(同) 10)11年9月末 :0.10%(同) 11)11年12月末 :0.10%(同)

12)①足元のコアCPIはエネルギー反落に伴う下押し効果の減衰を 主因に下落率を縮めつつある。ただし30兆円規模のデフレギャップが 根強い下方圧力をかけているため、エネルギーを除いたコアコアCP Iは逆に下落幅が拡大。コアCPIの下落率は縮小方向ではあるもの の、ペースは緩慢。先行きも同様に12年度中にかけ下落基調が見込ま れる。

景気回復持続とはいえ、実質国内総生産(GDP)成長率が年率 1%前後という超低空飛行にとどまる見通しで、デフレギャップの縮 小ペースもゆっくり。コアCPIがプラスに転じるタイミングは早く ても2012年度下期までずれ込む②デフレ宣言の最大の狙いは日銀に 追加緩和、特に長期国債の買い入れ増額を迫ることだったのでは?

マニフェスト遂行のため赤字国債に依存せざるをえなかった政府 は「悪い金利上昇」を防止するべく、日銀に需給調整役を担わせたか ったのだろう。デフレ宣言の影響は日銀が円高、株安の加速もあって 実際に追加緩和(新型オペ)に動いたこと、および、うがって見れば 市場の期待成長率や期待インフレ率に低下圧力をかけたこと。

米国は在庫調整完了を受けて企業関連指標が底堅いため景気回復 期待が優勢だが、雇用など家計関連指標は弱い。特に住宅関連指標の 陰りは気がかり。3月末の米連邦準備制度理事会(FRB)のMBS 購入終了や4月末の政府による住宅金融支援策の終了がさらに足を引 っ張ることになりそう。世界経済の先行きのリスクは引き続き上振れ より下振れの方が高い。日本を含むこの他各国地域の見方は先月から 不変。

13)①新型オペの資金供給量を10兆円から15兆円に拡大。円高や株 安が進行していれば6カ月物も導入し、『やや長めの金利のさらなる低 下を促す』姿勢を明確にする②基本はターム物資金供給の拡大で、最 長は1年物まで。

共通担保オペによる資金供給拡大は、社債・CP買い入れオペと 異なり民間企業のリスクを負わないし、長期国債買い入れと異なり国 債の事実上の引き受けといった誤解を招かないなど副作用が少ないた め、追加緩和手段として抵抗感が乏しいと考えられる。

長期国債買い入れの増額は政府から引き続き要請されるだろうが、 ハードルが高い。実現の前提条件は、a)デフレスパイラル対策として (狭義の)量的緩和政策が復活する、b)政府が財政規律の堅持にコミ ットする、c)「銀行券ルール」のクリア方法を明らかにすること。

③日銀法は「政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよ う、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならな い」(第4条)と定めている。政府がその気になれば、この法律を盾に 日銀に政策変更を要求することは可能。よって、政府が日銀に圧力を かける構図は、この条文が存在する限り変わらない。

デフレ脱却については、日銀が主張するように、金融緩和政策だ けで需要不足を解消することはできない。一方、景気が好転してデフ レ解消期待が出てきた段階では、早期の出口戦略を回避し、企業・家 計のインフレ期待をある程度醸成させることが必要だろう。

●日興コーディアル証券の岩下真理チーフマーケットエコノミスト 1)今回会合 :新型オペの拡充(供給額20兆円程度へ) 2)利下げ時期 :利下げなし(同) 3)利上げ時期 :2011年10-12月以降(同) 4)10年3月末 :0.10%(同) 5)10年6月末 :0.10%(同) 6)10年9月末 :0.10%(同) 7)10年12月末 :0.10%(同) 8)11年3月末 :0.10%(同) 9)11年6月末 :0.10%(同) 10) 11年9月末 :0.10%(同) 11)11年12月末 :0.30%(同)

12)1月分の国内指標では引続き輸出と生産の増加は続いており、消 費面でも1月の消費者総合指数が10-12月比+1.7%と家計調査とは 異なり予想外に強い滑り出しとなった。1-3月の指標は中国の旧正 月要因や米北東部の大雪等の天候要因もあり、ならして見るのが鉄則 だが、それでも政策効果と新興国経済の強まりで、二番底懸念は杞憂 (きゆう)に終わった。

設備投資も10-12月の2次速報で7四半期ぶりの前期比プラス、 先行指数である機械受注統計の底入れ感から、ようやく下げ止まりを 確認できる状況になったのは嬉しい変化だ。ただし4-6月を展望す れば、在庫復元の一段落で増産ペースの鈍化、公共投資削減の影響、 消費面の政策効果のはく落等が見込まれ、プラス幅の縮小は避けられ ない。

1月のコアCPIは前年比▲1.3%となったが、下落幅縮小も1% 台前半にとどまる可能性が高くなった。所得環境の厳しさが続く状況 下で消費者の節約志向は変わらず、企業の低価格戦略は続く見通しで、 4月からは制度要因が加わる可能性がある。高校授業料の無償化等の CPI統計での取扱いは来年度予算成立後に総務省が公式に見解を示 すまで(4月30日のCPI発表時になる可能性も)分らないのが実情 だ。

①しかし、制度要因は1年後にははく落する。各種の需給ギャッ プを見る限り、1%台を超える成長率の回復が短くとも2年以上は続 く必要があり、コアCPIの前年比がプラスに転じるのは12年度以降 になるだろう。11年度の成長率が想定(2%弱)より弱くなるような ら、さらに先送りの可能性もあり得る。

②昨年11月の政府のデフレ宣言により、デフレの報道と日銀への 要請が増えた。政府関係者の発言から推測すると、日銀に対して既に インフレターゲットの導入の要請があったように思われる。しかし、 他国の事例からもその運用の難しさと反省点は指摘されていること、 また日銀自身も目標を達成できる手段がないのに、目標だけの導入は できないとの判断だろう。

それが白川総裁の「魔法のつえはない」発言につながったと思わ れる。その結果、昨年12月会合で「中長期的な物価安定の理解」の修 正に至ったのではないか。だとすれば、次なる注目は4月の展望リポ ート時に、「中長期的な物価安定の理解」と政策対応の部分の説明にな ろう。

13)①3月会合では事前報道通り新型オペの拡充策が決定されよう。 注目は供給額。2月末の残高は新型オペ9.6兆円、3月末終了の企業 金融支援特別オペ5.9兆円。既存の新型オペ10兆円をロールし、企業 金融支援特別オペ分を新型オペに振り替えて全体の供給額を15兆円 程度にするのか(数字は増えるが実体は9.6+5.9=15.5兆円と変わら ず)、それ以上(20兆円程度)にするのかで緩和姿勢の違いが分かる。

後者の可能性が高まっているようだ。その効果は金融市場を安定 させることだろう。一方、新型オペの期間を6カ月に伸ばすという案 もあるが、短期市場の機能低下を招く可能性があり、主体は3カ月物 の方が良いだろう。期間の長期化には白川総裁および野田委員は賛同 していないように思われる。なお、8日の国際決済銀行(BIS)会 議では出口戦略の実施が必要との認識で一致した。

新型オペの拡充策の実施は日本の緊急時モードはまだ解除できな いことを示し、世界の潮流からやや逆走する印象を与えるかもしれな い。②次の次の一手は引き続き積極的な資金供給と見る。新型オペの 弾力的な運用により緩和策を続けると考えられる。これまでの緊急時 の施策の延長や見直しを検討するタイミングを振り返ると、3カ月ご ととなる傾向が強かった。同様であれば6月、9月、12月が注意月と なる。

最近の日銀メンバーの講演は必ず財政リスクに触れており、財政 のマネタイゼーションと受け止められかねない長期国債買い切り増額 論にはかなり強いけん制球を投げ続けている。日銀の追加緩和策のカ ードは限られているが、長期国債買い切り増額は可能な限り使わずに 対処できる方法を検討するだろう。

③政府は6月に「新成長戦略」の発表、7月の参議院選挙を控え ており、4月以降もソブリンリスクを意識すると、財政の無い袖を簡 単に振ることも考えにくい。幸い、足元の景気動向は二番底懸念が和 らいだが、先行きの不確実性はあり、足取りはまだ盤石とは言えない。 昨年11月に政府はデフレ認定をしたが、目先の対応は日銀に依存して いる。

今後も急激な円高進行もしくは金融市場の混乱への不安は断ち切 れず、日銀頼みにならざるを得ない状況は変わらないだろう。日銀は デフレ克服に向けて、需要不足への対応が必要であり、新興国需要の 取り込み、生産性の向上のために制度や仕組み等の見直しを提言して いる。日銀ができるのは緩和的な金融環境の提供で、金融面の安定に よる側面支援にとどまり、根本的な解決には至らない。

●みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト 1)今回会合 :短観等の見極め必要で現状維持、直前の為替に左右 2)利下げ時期 :利下げなし(同) 3)利上げ時期 :2011年10-12月(2011年7-9月) 4)10年3月末 :0.10%(同) 5)10年6月末 :0.10%(同) 6)10年9月末 :0.10%(同) 7)10年12月末 :0.10%(同) 8)11年3月末 :0.10%(同) 9)11年6月末 :0.10%(同) 10)11年9月末 :0.10%(0.50%) 11)11年12月末 :0.50%(同)

12)基本的な見方は不変。国内景気は上向きだが、低い水準にとどま っており、リスク要因も増加中。米国経済は巨大バブル崩壊の後遺症 が消えるまでには時間が必要で、その回復は力強さに欠ける。内外経 済については「二番底」懸念が浮上する流れとみている①物価は日本 の人口動態に基づいた慢性的なデフレ状況が続いている。プラスに転 じる時期は明確には見えていない。

一定の仮定を置けば11年7月ごろにプラスになることも考えら れるが、脆弱(ぜいじゃく)で持続性のない動きだろう。エネルギー と食料を除いた欧米型コアのベクトルは今後も「下」か「横」②デフ レ宣言は消費者心理にある程度の影響は与えたようだが、日本経済が デフレ状況にあるという事実を確認しただけの話であり、本質的には 重大な動きではない。

13)①追加緩和検討との複数の観測報道で新型オペ拡充は既に大筋で 市場の予期するところになっている。失望感を招かず、かつ追加的な 緩和効果をかもし出すためには金額(10兆円上積み)とターム(6カ 月物や1年物の導入)の双方で、日銀は動かざるを得ないだろう。タ イミングは3、4月の会合3つのいずれか。

なお、市場機能を維持するため、上積み額は10兆円までにとどめ ると予想(合計20兆円、すなわち関連オペの総額である約40兆円の 半分までにとどめよう)②「時間軸」を明示的に打ち出すか、それと もついに国債買い切りオペ増額に追い込まれるか。後者については政 府の財政運営戦略の内容次第の面がある。

③露骨な圧力が現在の政府から日銀にかかっているとはみていな い。目標を共有した上で手段は日銀に委ねるというのが菅副総理のス タンスだろう④まっとうな金融政策でできることは既に尽きている。 デフレ脱却には多面的な人口対策の強化が必要で、これは政府の役割。

●東短リサーチの加藤出チーフエコノミスト 1)今回会合 :新型オペ増額 2)利下げ時期 :利下げなし(同) 3)利上げ時期 :2012年4-6月(同) 4)10年3月末 :0.10%(同) 5)10年6月末 :0.10%(同) 6)10年9月末 :0.10%(同) 7)10年12月末 :0.10%(同) 8)11年3月末 :0.10%(同) 9)11年6月末 :0.10%(同) 10)11年9月末 :0.10%(同) 11)11年12月末 :0.10%(同)

12)新興国を中心とする世界経済の成長の恩恵で日本でも機械受注が 改善してくるなど、緩やかな回復が続いている。ただし、エコポイン トなどの政策に消費が支えられている面も多々あるため、力強さには 欠けている。CPIについては①プラスに転じるのは12年第1四半期 ②各種世論調査で明らかなように11月の政府のデフレ宣言後に国民 のインフレ予想が急に低下した(デフレ予想が増加した)。

マスコミのデフレに関する報道が劇的に増加したためだろう。デ フレに関しては、足元のCPIのマイナスそれ自体よりも、国民の先 行きのデフレ予想が強まることの方が恐ろしい。政府の情報発信に国 民がどのような反応を示すかを事前に予見することは非常に重要であ るため、政府は行動経済学の考え方を参考にするべきだろう。

13)①新型オペを増額して短期のターム物金利を低下させる。日銀が デフレ克服の努力姿勢を示すという意味合いはあるが、経済に対する 効果はかなり限定的だろう。現在の短期金融市場に信用不安はなく、 高水準の日銀当座預金と12月の新型オペの影響でターム物金利は既 に超低水準にあるため、新型オペ増額による短期金利の低下幅は限ら れる。

②日銀は国債買い入れの増額を避けたがっている。そういった中 でイールドカーブに働きかけるには、事実上の時間軸効果を強化して、 長期金利の低下を促す政策を検討してくる可能性があるだろう。例え ば物価安定の理解の上限を引き上げ、中心値がやや上がるようにする、 あるいは欧州中央銀行(ECB)のように「2%未満、かつできるだ け2%に近づける」といった表現を使うなど。

ただし時間軸効果を強めすぎると後で債券市場のボラティリティ が高まるリスクもある③最近の政府閣僚の金融政策に対する圧力の強 さは近年の他の先進国の政治家の言動には見られない強烈なものだ。 高齢化社会でいずれ日本国債の何割かを海外投資家に保有してもらう 必要が生じる。日本の政府・議会が規律を持っていることを印象付け ていかないと、国債を彼らが購入する際は高いプレミアムを要求して こよう。

デフレは構造的な需要不足が根本原因であり、金融政策で短期間 に解消できるような金融現象ではないとの主張を日銀は続けている。 確かに現時点で日本のインフレ率および国民のインフレ予想を短期間 で無理に高めるには、例えば日銀がバランスシートを猛烈に膨らませ る覚悟で国債やさまざまなリスク資産(株や土地など)を大規模に購 入し、国民に円建て預金を保有することに強い恐怖心を与える必要が ある。

それにより資産価格が上昇する一方で、海外に預金を移す国民が 増加すれば、外為市場では円が大幅に下落するだろう。そうなればイ ンフレ率は上昇するが、持続的な政策とはいえない。名目税収の増加 よりも、日本国債の暴落による政府の利払い費増加の方が大きいかも しれない。

とはいえ、政策効果が出てくるまでに待つことができる時間軸の 長さは、日銀と政府では大きく異なっているため、政府は日銀に早期 に結果が現れる政策を強く求めているのだと思われる。

●JPモルガン証券の菅野雅明調査部長 1)今回会合 :追加緩和 2)利下げ時期 :利下げなし 3)利上げ時期 :2011年10-12月 4)10年3月末 :0.10% 5)10年6月末 :0.10% 6)10年9月末 :0.10% 7)10年12月末 :0.10% 8)11年3月末 :0.10% 9)11年6月末 :0.10% 10)11年9月末 :0.10% 11)11年12月末 :0.25%

12)足元の指標は昨年11月末の円高ショックに伴う景況感の悪化が一 服し、景気が従来の回復軌道に戻りつつあることを示している。1月 消費総合指数が予想外の上昇を示したほか、景気ウオッチャー調査や 商工中金調査など、中小企業景況感の改善傾向が明確になり、機械受 注の底入れが確認できたことは、当初懸念されていた景気対策効果の はく落に伴う景気下押し圧力がかなり限定的であることを示唆してい る。

大幅な需給ギャップを背景にコアCPI前年比は11年前半まで マイナスで推移するだろう。もっとも、需給ギャップからコアCPI 前年比のタイムラグは4四半期と考えられるので、デフレ圧力は今後 減衰することが考えられる。10年後半にはFRBの利上げを市場が 徐々に織り込み始め、為替が円安に推移すると見込まれる。

一方で、世界景気の回復を背景に資源価格の上昇が顕著になると 考えられるので、11年第4四半期にはコアCPI前年比はプラスに転 化する可能性が高い。政府はデフレ宣言と同時にデフレ対策に関する 提案を行うべきだった。日銀は最近、デフレ対策として構造改革が不 可欠との主張を行っているが、政府も日銀の問題提起を真摯に受け止 め、デフレの原因と対策に関する知恵を結集すべきだ。

政府の「デフレ対策は日銀任せ」という姿勢は適当ではない。イ ンフレは貨幣的現象であるが、デフレは必ずしも貨幣的現象だけでは ないからだ。日本のデフレは先進国の中で「日本が最初に経験しつつ ある病」であるので、海外のエコノミストによる対策を見ても得られ るものは少ない。日本の英知を結集すべき問題だ。

インフレターゲットに関する不毛な議論ではなく、具体的な方策 のコストとベネフィットを勘案して透明性のある議論を行う必要があ る。日本はデフレ脱却だけでなく、財政再建の課題もあるので、デフ レと財政再建をどのように達成するのか、併せて議論する必要がある。 デフレ対策には痛みを伴う改革が必要な面もあるので、議論の経緯を オープンにし、広く国民の意見も聴取すべきだ。

13)①新型オペの増額(20兆円へ)は最も可能性がある。新型オペの 供給額については12月臨時決定会合時の声明文ではなく「参考ペーパ ー」に記されていたが、このことは「供給額は政策委員会の議決を経 なくとも変更できる」と解釈できるので、比較的容易に決断できると 考えられる。市場への効果は日銀の金融調整姿勢によって異なる。日 銀が当座預金残高を増やせば結果的にターム物金利の低下余地は出て くる。

新型オペの6カ月への期間延長はあり得ない選択ではないが、期 間延長を行うと「日銀はターム物金利の低下を積極的に意図している」 とのメッセージが強く出すぎる可能性がある。日銀は従来、市場機能 の低下による副作用を強調していたので、期間延長はこうした姿勢と 相反する側面があるので、「新型オペ増額」に比べると可能性は低い。 本件は政策委員会の決定事項だ。

時間軸効果の強化については、従来の「極めて緩和的な金融環境 を維持していく」という箇所を「極めて緩和的な金融緩和をより長期 間、維持していく」に変えることにより、日銀の緩和姿勢の強化が示 される。ただし、以前行われたような「CPI前年比基準」のような 明確な金融緩和解除条件を示すことはないだろう。

国債買い入れオペ増額の可能性はかなり低い。現在の長期金利が 低いので、日銀にあえて国債購入を依頼する必要性に乏しい。日銀の 国債購入増額が発表されると「寝た子を起こしてしまう」リスク、す なわち長期金利上昇リスクが高まるので、政府はこの面で日銀に圧力 をかけることはないだろう。

日銀は12月に「中長期的物価安定の理解」の解釈を発表したので、 現時点であえてこの見直しを行う可能性は低い。政府もインフレター ゲットに関する不毛な議論(日銀が仮に4%のインフレターゲットを 発表しても、手段を持ち合わせない以上、人々の期待インフレ率が上 昇するとは考えにくい)は手控え、具体的にどのような対策を実施す べきか、という具体論を展開すべきだ。

②次の一手については、デフレ早期脱却を企図するなら国債買い 入れ増額だけでは無理で、財政支出拡大の組み合わせを検討すべきだ。 ただし、この政策には財政赤字拡大と長期金利上昇リスクがあるので、 コスト面も慎重に検討すべきだ。③「政府が日銀に圧力をかけ、日銀 が防戦する」という図式は本来おかしい。物価安定が日銀の使命であ る以上、日銀は政府に対し、もっと積極的にデフレ対策を働きかける べきだ。

日銀がデフレの原因は構造的なものと考えるなら、金融政策以外 の分野であっても解決策を具体的に提案する必要がある。デフレ脱却 時期についても政府と合意を目指す必要がある。あまり短期間にデフ レ脱却を目指すと長期金利が急騰したり、市場を歪めるリスクがある ので、年内にデフレ脱却などという目標は望ましくない。政府が十分 な検討もなしに整合的でない見解を述べることは市場の信頼を失うこ とになる。

●第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミスト 1)今回会合 :新型オペの延長・拡充 2)利下げ時期 :利下げなし(同) 3)利上げ時期 :2011年10-12月(2011年4-6月) 4)10年3月末 :0.10%(同) 5)10年6月末 :0.10%(同) 6)10年9月末 :0.10%(同) 7)10年12月末 :0.10%(同) 8)11年3月末 :0.10%(同) 9)11年6月末 :0.10%(0.25%) 10)11年9月末 :0.10%(0.25%) 11)11年12月末 :0.25%(0.50%)

12)CPIの下落は労働市場のデフレ構造を反映しているので、構造 変化を生み出すような政策が割り当てられないと金融政策だけではう まく動かせない。労働市場では正社員の賃金カットが進み、非正規へ の代替も進行しているので、CPIは少なくとも11年内までは下落圧 力がかかり続けるだろう。

政府は景気判断とデフレ認識を分離して判断している様子。それ が明らかになる3月の月例の判断が注目される。日銀と政府はその二 分論をどう説明・議論するのか。

13)日銀は新型オペを拡充し10兆円を上積みしてこよう。さらに追加 を加えるとしたら、期間を3カ月から6カ月にすることもある。次の 次の一手は長期国債買い切りであるが、こちらは腹案としてまだキー プしておくだろう。日銀の言うように「粘り強く」低金利を続けるほ かない。時間が経てばFRBが利上げ色を強め、それが円安圧力にな る。そのときまで待ち続けることが選択肢としては有益なデフレ対策 と言える。

●BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミスト 1)今回会合 :現状維持 2)利下げ時期 :利下げなし(同) 3)利上げ時期 :2011年10-12月(同) 4)10年3月末 :0.10%(同) 5)10年6月末 :0.10%(同) 6)10年9月末 :0.10%(同) 7)10年12月末 :0.10%(同) 8)11年3月末 :0.10%(同) 9)11年6月末 :0.10%(同) 10)11年9月末 :0.10%(同) 11)11年12月末 :0.25%(同)

12)従来、需給ギャップの変動が物価に影響するまでのタイムラグを 考えると、物価下落の動きはもう少し広がると考えていた。しかし、 09年4-6月以降の景気回復により、デフレの加速は止まったのかも しれない。昨年10-12月までの過去3四半期において、実質GDPは 年率3.1%のやや速いペースで拡大している。

今後、成長ペースはある程度減速すると見られるが、アジア向け 輸出に支えられ潜在成長ペースを上回る景気拡大が続くとみられる。 さらに、昨年半ばから原油などの商品市況が上昇していることもあり、 物価下落圧力は多少和らいでいくと考えられる。ただ、負の需給ギャ ップが非常に大きいことを踏まえると、コアCPI前年比がゼロ近傍 に到達するには相当な時間を要すると見られる。

実質GDPの水準そのものも、08年1-3月に付けたピークをな お6.1%下回り、仮に年率2%のペースで成長が続いても、08年1- 3月の水準に到達するのは13年1-3月となる。物価下落がさらに加 速する事態は避けられると考えるが、コアCPI前年比のマイナス幅 の縮小が一本調子で進むとは思われない。多くの人が普段の生活の中 で「デフレ」を意識する状況が今後しばらく続くだろう。

13)10年度の日本経済は、財政政策の効果はく落などから成長ペース が多少は鈍化するが、好調なアジア経済の恩恵を受け、輸出増から「踊 り場」を回避すると予想している。こうした景気見通しを前提にする と、10年度に政策当局が取るべき経済政策は短期的な視点からの景気 刺激策ではなく、中長期の視点に立った構造政策だ。

具体的には①人々の将来不安を取り除くための社会保障制度改革 ②新たな需要・供給創出のための規制緩和③それらと整合的な中長期 の財政再建プランの3つだ。マクロ安定化政策はすぐに実行に移すと いうことはないにしても、出口戦略を検討し始めるべき時だろう。マ クロ安定化政策の固定化・長期化は効率的な資源配分を歪め、中長期 の経済成長率を損なう。実際その影響で潜在成長率が低下していると 思われる。

循環的な景気回復を反映し、市場金利が上昇し、円高傾向になる ことは、それが急激なものではない限りは極めて自然な現象だ。それ らが生じることで家計部門では利子所得が増加し、海外からの安価な 財・サービスが利用可能となり実質購買力が改善する。

景気の悪化が続いているのであればまだしも、循環的な回復が始 まっている中でさらなる金融緩和や円安誘導を行うことは、経済の新 陳代謝を阻害するだけでなく、景気回復の家計部門への波及を再び阻 害することになるのではないか、やや心配だ。

デフレ対策としての必要性は理解できなくもないが、マクロ安定 化政策の長期化・固定化がもたらす副作用も考慮すべきだろう。経済 政策の本来の目標は消費水準に示される国民の経済厚生の向上であり、 短期のGDP成長率の押し上げではない。

●モルガン・スタンレー証券の佐藤健裕チーフエコノミスト 1)今回会合 :期末を控えた一層潤沢な資金供給と新型オペの拡充 2)利下げ時期 :2010年4-6月(同) 3)利上げ時期 :2012年1-3月(同) 4)10年3月末 :0.10%(同) 5)10年6月末 :0.05%(同) 6)10年9月末 :0.05%(同) 7)10年12月末 :0.05%(同) 8)11年3月末 :0.05%(同) 9)11年6月末 :0.05%(同) 10)11年9月末 :0.05%(同) 11)11年12月末 :0.05%(同)

12)堅調なアジア向け輸出を背景に国内では景気の2番底懸念は後退 し、1-3月は製造業中心に経済活動は全般に弊社の慎重な見通しを 上振れて推移している。内需項目も予想以上に底堅い。個人消費は名 目賃金・所得の大幅な減少の割に政策効果やペントアップ需要から驚 異的な粘り腰となっている。

住宅投資も同様の理由からこの1-3月に回復基調に転じる可能 性が高い。設備投資の回復も既に10-12月GDP2次速報で確認され た。もっとも、基調的な物価は、大幅な需給ギャップや低迷する賃金、 先行き軟調と見込まれる資産価格からの負の波及効果により長期的に 水面下で低迷の公算が大きい。

コアCPIは前年のエネルギー価格下落影響が一巡することから、 先行き前年比下落率は徐々に縮小し、高校授業料無償化の影響が一巡 する11年4月に前年比プラスに浮上する可能性がある。もっとも食料 やエネルギー、医療費や税制等の各種制度要因を全て除いた基調的な 物価は長期的に水面下で低迷し、GDP成長率に幾分楽観的な前提を 置いたとしても前年比プラス圏に浮上するのは早くて13年末ごろと なろう。

さらに、家計や企業が見込む中期的な予想インフレ率は弊社試算 ではこの10-12月にマイナスに転じた可能性がある。背景として、政 府が昨年11月に行ったデフレ宣言の影響が予想外に大きく消費者心 理等に影響した可能性があろう。実際、景気ウオッチャー調査におけ る各種DIも政府のデフレ宣言を境に大きく低下した。

同DIは足元でデフレ宣言以前の水準を回復している。それゆえ 中期的な予想インフレ率のマイナス圏への低下も一時的な可能性はあ る。それでも、中期的な予想インフレ率のゼロ近傍への低下は、家計・ 企業の消費や投資行動の先送りにつながるため、極めて深刻な問題だ。

13)①3月会合では、年度末を控えた一層潤沢な資金供給へのコミッ トと昨年12月に導入した新型オペの拡充が打ち出されるとみる。前者 は特定の当座預金残高目標にはコミットしないものの、期末に向けた 資金繰り懸念を払しょくすべく、会合後の声明文になお書き等の形で 新たに書き加えられよう。後者は現行の期間3カ月を6カ月に延長し、 総額も現行の約10兆円から20兆円程度に増枠されるものとみる。

②次の次の一手は利下げと国債買い入れの増額とみる。契機とな り得るのは4月末に出される展望リポートにおける消費者物価の見通 しと6月に政府が公表予定の中期財政フレームだ。前者について、外 部環境に特段の変化がなければ、消費者物価の見通しは中間評価と同 じく11年度にかけてマイナスの物価を見込む形となる可能性が高い。

この場合、昨年12月の通常会合において日銀が中長期的にマイナ スの物価を許容しない旨を「物価安定の理解」の定義の明確化のために 宣言したこととの矛盾が生じるため、あらためてその点を政府や有識 者から突かれる可能性が高く、一段の緩和の引き金となり得よう。

後者について、日銀は財政ファイナンスのための国債買い入れと 受け止められることを常に警戒しているが、政府の財政健全化に向け たスタンスが信頼に足り得るものであると判断すれば、国債買い入れ の増額という形で政府のスタンスを後押しすることは十分あり得ると みる。いわば、政府と日銀が囚人のジレンマ的な敵対関係ではなく、 協調体制を示すという点で、中期財政フレームは重要なイベントとな ろう。

③政府が日銀に一段の金融緩和を強く期待していることは事実だ が、これを一概に圧力と受け止めることはいかがなものか。すなわち、 日銀がゼロ金利制約を理由にこれまで未曾有のデフレを放置してきた ことは事実だし、量的緩和の効果にも一貫して否定的であったため、 金融政策の重要な側面である期待への働き掛けという点で政策効果を あえて弱めてきたとも考えられる。

その点、日銀のスタンスは物価の安定を通じた国民経済の健全な 発展を目指す日銀法の趣旨に違反している可能性さえある。政府から の期待感の表明を圧力と受け止めるとすれば、その姿勢こそ問題だろ う。大幅な需給ギャップや低迷する賃金・所得、資産価格の動向を背 景に、デフレは先行き長期化する可能性が高い。また前述のように家 計・企業の中期的な期待インフレ率もゼロ近傍に低下している可能性 がある。

かかる状況下で有効なのは、市場や各経済主体の期待に働き掛け る政策だろう。中央銀行がいかなる場合でもデフレを容認しないこと を明確に宣言し、市場の期待に働き掛けるべく量的緩和を前回以上に 強化するといった実験的な政策を試行する段階にそろそろ差し掛かっ ているように思われる。

●三菱UFJ証券景気循環研究所の嶋中雄二所長 1)今回会合 :新型オペの期間を6カ月に延長 2)利下げ時期 :利下げなし 3)利上げ時期 :2011年3月(同) 4)10年3月末 :0.10%(同) 5)10年6月末 :0.10%(同) 6)10年9月末 :0.10%(同) 7)10年12月末 :0.10%(同) 8)11年3月末 :0.35%(同) 9)11年6月末 :0.35%(同) 10)11年9月末 :0.35%(同) 11)11年12月末 :0.35%(同)

12)内外とも景気は堅調に推移している。足元までの原油高や今後の 円安方向での為替の動きを前提とすれば、物価は着実にマイナス幅を 縮小させていこう。①10年度の実質成長率2.0%、原油価格(WTI 期近物)91ドル、ドル円レート1ドル=95円を前提とすれば、コアC PIは10年10月から前年比プラスに転ずるだろう。10年度のコアC PIはマイナス0.2%と見る。

②デフレ宣言とドバイショックが重なったため、景気ウオッチャ ー調査で判断が悪化するなどマインド面に若干影響が出たが、その後 マインドは元に戻った。しかし、日本経済がデフレにあることの理解 は非常に深まり、またその直後の日銀の対応で市場が大きく反応した ことにより、日銀への期待が大きく高まった。

ただ、実際にはデフレ宣言の背景に、当時1.485%まで上昇した 長期金利への懸念があったことは言うまでもなく、今後数カ月間にも 再びそうした長期金利の上昇と一体化した「デフレ克服(への)宣言」 が政府から発せられる可能性が高く、その際には日銀にさらに圧力が 増すことは想像に難くない。

13)①効果は外国人投資家にアピールできるかどうかにかかっている。 昨年12月1日の臨時決定会合での10兆円新型オペの決定も、3月5 日の一部報道も、外国人投資家にアピールしたことが効果を生んだ。 そして現実にマネタリーベースの伸びを加速させることが大事だ②次 の次の一手はまず資金供給枠の拡大(例えば15兆円に)、そして6月 までには国債買い切りオペの増額が必要となろう。

③次の次の一手を日銀が繰り出さなければ7月の参院選に向けて 政府からの圧力は当然高まろう。まだデフレが解決されていない以上、 これにいちいち反発しても無意味である。日銀は政府の掲げる目標(例 えば名目成長率3%、コアCPI1%以上)の実現に向けて持てる手 段を駆使していかねばならないだろう。

●HSBC証券の白石誠司チーフエコノミスト 1)今回会合 :新型オペ拡充が決定される公算は7割 2)利下げ時期 :利下げなし(同) 3)利上げ時期 :2012年度以降(同) 4)10年3月末 :0.10%(同) 5)10年6月末 :0.10%(同) 6)10年9月末 :0.10%(同) 7)10年12月末 :0.10%(同) 8)11年3月末 :0.10%(同) 9)11年6月末 :0.10%(同) 10)11年9月末 :0.10%(同) 11)11年12月末 :0.10%(同)

12)今年夏場にかけて内外政策効果のはく落を反映して個人消費、輸 出・生産モメンタムの鈍化、公共投資のマイナス寄与が重なって景気 は軽度の踊り場の様相を呈する。その後は内外における新たな政策効 果発現も見込まれるため、再び外需主導の緩やかな回復局面に移行。

①足元ではデフレギャップの影響がサービスCPIデフレ、コア コアCPIデフレに強く反映され始めている。外需主導のごく緩やか な回復基調が続くとの想定の下では、コアCPIの戻り歩調は極めて 鈍いものにとどまる。コアCPIプラス化が早期実現するとしたら原 油・商品市況高によるものとなろうが、それは交易条件の大幅悪化を 通じてむしろデフレ要因となる。コアCPIプラス転化は12年以降。

②昨年11月、12月のマインド指標は急激に悪化したが、その一 因として対応策を伴わない政府のデフレ宣言が作用した可能性がある。 最近、逆に政府要人が年内デフレ脱却を連呼しているのは、昨年11 月の経験を踏まえ、国民のデフレ期待希薄化効果に期待してのもので ある公算がある。

ただ、デフレ宣言がマインド悪化に直結したのはファンダメンタ ルズの裏付けがあったからこそであり、大幅デフレギャップ下での早 期デフレ脱却連呼は、デフレ期待の反転ではなく事後的な信認喪失に 直結する公算が大きい。

13)①3月会合での新型オペ拡充公算70%。そもそも為替相場への働 き掛けを意識した対応であり、4月会合まで決定を先送りするとした らその理由は3月短観(景気動向)の見極めというよりも、現状程度の ドル円水準での無駄打ちは避けたいということなのかもしれない。3 月に実施しなかった場合、期末直前に為替・株式市場の期待を裏切る 形になるリスクがある。政府の強い要請もあり期末前決定を重視する とみる。

効果は、中期金利の低位安定促進と短期金融市場機能の減退。ド ル円は主に海外要因(当面は米早期利上げ期待の強弱)で形成されてお り、オペ拡充による効果は、あっても偶然、一時的なものにとどまろ う。②欧米ダウンサイドリスクが強まって対円でドル安が進む場合、 金融調節方針に翌日物に加えてターム物金利目標を掲げる。

③政府の圧力は政府サイド政策枯渇の反映であり、滑稽感を禁じ えない。デフレは歴史的・世界的信用バブル破裂、国内構造問題の結 果であり、金融政策での克服はそもそも筋違いあり、不可能だ。日銀 がなすべきことは事実上のゼロ金利政策でポジティブな外部需要ショ ックの蓄積を粘り強く待つこと。

●クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミスト 1)今回会合 :新型オペの金額引き上げ 2)利下げ時期 :時期不明ながら可能性あり(利下げなし) 3)利上げ時期 :2015年以降(同) 4)10年3月末 :0.10%(同) 5)10年6月末 :0.10%(同) 6)10年9月末 :0.10%(同) 7)10年12月末 :0.10%(同) 8)11年3月末 :0.10%(同) 9)11年6月末 :0.10%(同) 10)11年9月末 :0.10%(同)11)11年12月末 :0.10%(同)

12)①循環的にみれば最悪期は脱した。今後マイナス幅は緩やかに縮 小する見込み。しかし10年度中にプラスに転じる可能性はほぼゼロ。 高校の授業料無償化で0.4%ポイント・ダウン、耐久財のマイナス寄 与継続なども影響。プラスに転じるのは11年度後半以降と考えるべき だが、円高が再び進行すれば12年度以降。

②政府はイギリス型インフレターゲッティング政策の導入を検討 することに。デフレ宣言はそのキックオフになった。政府主導型の金 融政策運営に執心しており、日銀対政府のバトルが本格化へ。

13)①円相場が2、3円、円安方向に動くか②政府は長期国債買い入 れ増額を望むが、日銀は反対の立場を貫くだろう。このため利下げ (0.05%へ)の可能性はある。また6カ月・0.15%オペの導入の可能 性もある。③民主党政権のバックボーン(キーワード)は、政治主導 と社会保障充実。要するにポピュリズム型大きな政府政権だ。このた め従来の政権に比べてインフレ志向が強い。

政府として明確な成長戦略・デフレ終息戦略がないため安易な金 融緩和要請に走っている。この状態は当面変わらない。インフレター ゲッティングについてはサブスタンスではなく、その制度そのものに 魅力を感じているもよう(政府によるターゲット設定など)。由々しき 事態だ。

日銀に課された仕事はデフレの根源、金融緩和の効果と副作用等 に関してきちんとした分析を行い、安易な金融リフレ策の是非を広く 国民に問うこと。日銀がこれまでそうした仕事をサボってきたツケは 大きい。

●大和総研の田谷禎三顧問 1)今回会合 :新型オペの金額引き上げ 2)利下げ時期 :利下げなし(同) 3)利上げ時期 :2011年10-12月以降(同) 4)10年3月末 :0.10%(同) 5)10年6月末 :0.10%(同) 6)10年9月末 :0.10%(同) 7)10年12月末 :0.10%(同) 8)11年3月末 :0.10%(同) 9)11年6月末 :0.10%(同) 10)11年9月末 :0.10%(同) 11)11年12月末 :0.25%(同)

12)アジア向け輸出の拡大が続いていることから、緩やかな景気の拡 大が続きそうだ。ただ、少なくともここ半年程度は政策効果の減衰や 輸出伸び率の鈍化などを反映し、景気拡大のペースは昨年後半に比べ れば減速しよう。GDPギャップの縮小もしばらくは緩やかなペース でしか進まないため、物価の緩やかな低下は収まらないと考えられる。 少なくとも来年後半に至るまでデフレ状況は変わらないだろう。

政府は今後、新成長戦略を具体化したり、中長期的財政再建計画 を策定したりする過程で、日銀に対してデフレからの脱却へのさらな る貢献を求める姿勢を強めるのではないか。

13)メディアを通して新型オペ拡充の可能性がけん伝されている。し かし、物価情勢が変わらない中にあって、企業金融支援特別オペを今 月で終了させることを考えれば、新型オペの金額を今月拡充しておく ことは自然だろう。今回は金額の拡大のみにとどめ、より長めの資金 供給にまでは踏み込まないのではないか。

ただ、今後ともデフレ脱却への貢献を求められ続けるだろう。そ の際、新型オペによる長めの資金供給を打ち出すことはあり得るが、 金利の引き下げにまで踏み込む可能性は低いのではないか。また、日 銀券ルールを維持する限り、国債の買い増しも難しいだろう。

●信州大学の真壁昭夫経済学部教授 1)今回会合 :現状維持 2)利下げ時期 :利下げなし(同) 3)利上げ時期 :2011年初以降(同) 4)10年3月末 :0.10%(同) 5)10年6月末 :0.10%(同) 6)10年9月末 :0.10%(同) 7)10年12月末 :0.10%(同) 8)11年3月末 :0.30%(同) 9)11年6月末 :0.30%(0.50%) 10)11年9月末 :0.50%(同) 11)11年12月末 :0.50%(同)

12)米国経済は緩やかな回復基調にあるものの、雇用の回復の弱さ、 商業用不動産の市況動向が今後の景気の重しとなり、低成長が長期化 する懸念が払しょくできない。中国では従来の沿岸部中心の輸出主導 型成長に加え、内陸部の個人消費の伸びが顕著になっている。経済構 造のモデルチェンジが進んでいるといえるだろう。中国を中心とする 新興国の成長が世界経済を下支えしていると言っても過言ではない。

日本は中国を中心としたアジア諸国向け輸出の伸びに支えられる 格好で緩やかに景気回復の道を歩んでいる。この状況は短期的に大き く変化することはないだろう。問題はデフレ傾向に歯止めが掛からな いことだ。10-12月のGDPギャップはマイナス6.1%と7四半期連 続マイナスとなり需要は引き続き弱い。コアCPIはマイナス基調が 続いており、企業向けサービス価格指数も前年比でマイナスとなって いる。

わが国のデフレ傾向の背景には貨幣供給量などによって簡単に解 決できない要因が潜んでいる。マクロベースで見れば、短期的に需要 の回復が見込みにくい分野の供給能力が温存されているところに原因 の一端が隠れているはずだ。そうした状況を解決するためには、わが 国の産業構造全体を再考することが必要になるはずだ。

そう考えると、GDPの6%を越えるデフレギャップを抱えたま ま金融政策にのみを持ってデフレの勢いを止めることは難しい。政府 が「デフレはマネーの問題であるため、日銀の政策に期待する」と言 っている間は、デフレ状況に本格的な歯止めが掛かることは困難と考 える。

13)本来の意味で景気回復を支援できる手段には出尽くし感がある。 こうした中、3月の決定会合では短期のイールドカーブの中で3、6 カ月のターム物金利の低下を狙った追加緩和策(次の一手)が議論さ れる可能性がある。特に現行3カ月の資金供給期間を6カ月まで延長 することが検討されることも考えられる。

ただ、企業サイドからの資金需要が弱い環境下で、いかにして有 効な追加的な緩和策を実行するかという点については、日銀自身が大 きな問題を抱えることになろう。加えて、日銀としては政府等からの さらなる要請に対して次の次の一手も考えておくことも重要な課題と なる。今後、現行10兆円となっている供給規模の拡大、あるいは追加 的な資金供給期間の延長等もその候補となろう。

菅直人副総理・財務相は本年中のデフレ脱却を期待しており、日 銀にも一層の努力を求める発言をしている。政府から圧力が高まる可 能性には注意が必要だ。日銀による国債の直接引き受けに関する発言 など、日銀が許容すべきではない範囲にまで発言は及んでおり、財政、 景気面において日銀に対する要望は今後も強くなるとみられる。

こうした圧力への対応としても、日銀はできるだけ追加緩和策と いうカードを温存しておきたいはずだ。FRBが公定歩合を引き上げ 当の実施によって、徐々に金融政策の正常化機運が高まっている状況 下、日銀はデフレ脱却という困難な問題を抱え、これから金融政策を どう運営していくのか引き続き難しい政策運営が求められよう。

●野村証券の松沢中チーフストラテジスト 1)今回会合 :新型オペの拡充(10兆円→20兆円) 2)利下げ時期 :利下げなし(同) 3)利上げ時期 :2011年8月(同) 4)10年3月末 :0.10%(同) 5)10年6月末 :0.10%(同) 6)10年9月末 :0.10%(同) 7)10年12月末 :0.10%(同) 8)11年3月末 :0.10%(同) 9)11年6月末 :0.10%(同) 10)11年9月末 :0.25%(同) 11)11年12月末 :0.25%(同)

12)製造業が強く、非製造業が弱い状態は相変わらずだが、景気ウオ ッチャ-調査が持ち直しているように、景気全体で見ても底堅くなっ てきている印象。全国に先行する東京地区コアCPIでマイナス幅縮 小の動きが見られる。賃金が大きく落ち込んでいるため、コアコアC PIの回復は遅いが、これは以前から想定されている。エネルギー価 格上昇の力を借りてコアCPIがプラスに転じる時期は11年7-9 月と予想。

13)3月会合では新型オペ20兆円への増額にとどめ、期間延長は次の 緩和カードとして温存しよう。企業金融支援特別オペ(残高5兆円強) が3月末で終了するので、これを埋め合わせる分+およそ5兆円、3 カ月物の特別オペを追加することになるので、実施タイミングが思っ たよりも早かったことも相まって、市場にとって少なくともネガティ ブサプライズとはならないが、ほとんど影響はないだろう。

ただし決定後、追加緩和に消極的なメッセージを日銀が強調する ようだと、緩和の打ち止め感が台頭してしまい、金融市場にネガティ ブに働き得るので注意。もともとデフレからの脱却が向こう2年ほど 見込めないという負い目を日銀は感じている。もちろん景況判断(特 に下振れリスクの現実味)が追加緩和の決定要因として最重要だが、 政府の圧力は間接的に日銀の政策判断を早めさせることになろう。

だが緩和自体が金利を下げる効果がほとんど見込めない今、緩和 メッセージを出し続けて円高圧力を緩和、市場のインフレ期待をこれ 以上落とさないようにすることぐらいしか、日銀がとり得るデフレへ の対策はないように思える。長期国債買い切りオペ増額、時間軸政策 の強化もその一環であろう。

●シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミスト 1)今回会合 :新型オペの期間延長と増額 2)利下げ時期 :利下げなし 3)利上げ時期 :2011年秋以降(2011年7-9月) 4)10年3月末 :0.10%(同) 5)10年6月末 :0.10%(同) 6)10年9月末 :0.10%(同) 7)10年12月末 :0.10%(同) 8)11年3月末 :0.10%(同) 9)11年6月末 :0.10%(同) 10)11年9月末 :0.30%(同) 11)11年12月末 :0.30%(同)

12)内外景気は底堅く推移している。米国では住宅市場(特に住宅価 格)の先行きに不透明感が残るが、景気の循環メカニズムが定着しつ つあり、大幅な減速は想定しにくくなっている。逆に、政策効果と在 庫サイクルを背景とする景気加速局面も09年10-12月で終わったと 判断される。また11年前半にかけては財政の引き締まりから、成長ペ ースはやや鈍化すると予想される。

新興国、特にアジアは堅調に推移しており、今後も高成長が維持 する公算が大きい。こうした外部環境の下、国内では輸出の増加が生 産活動を押し上げる構図が続くと予想される。また、最近の指標(例 えば機械受注)は輸出の増加に誘発される形で製造業の設備投資が増 加に転じたことを示している。

家計所得の持ち直しにはまだまだ時間を要する可能性が高いが、 10年度に入ってからは、政府による家計向け支援策が実行に移される ため、個人消費も底堅さを維持すると予想される。当面、GDP成長 率は年率1.5-2%程度の巡航速度で推移しよう。コアCPIは11年 7-9月に前年比横ばいに戻ると予想している。需給ギャップに加え、 単位労働コストの下落が物価を下押しし続けよう。

ただ、言うまでもなく、需給ギャップの推計には大きな不確実性 を伴う。企業が生産設備を廃棄するしないにかかわらず、生産能力の 陳腐化が急速に進んでいる(進んでいく)可能性が高く、実態的な需 給ギャップは通常の生産関数が示唆するよりは小幅にとどまる可能性 が高い。

政府が「景気が悪化している」とか「デフレに陥っている」とか わざわざ宣言する場合には、それに対する一定の対策もセットで発表 するのが正攻法である。昨年11月は政府がそれをやらなかったことで、 一時的にせよデフレ予想を強めてしまった可能性が高い。

13)①新型オペの枠組みの中で資金供給期間を現行の3カ月から6カ 月に延長、それに伴い資金供給額も10兆円から20兆円程度に増額(1 回8000億円×24週)。6カ月物の短期金利が実際に低下すれば、円高 ドル安阻止には一定の効果を発揮すると考えられる。ただ、明確な円 安にならない限り景気や物価に働き掛ける効果は極めて小さいだろう。

②基本的に日銀の緩和策は出尽くしと考える。ただ展望リポート で物価安定の理解の下限を明示的なプラス値(例えばプラス0.5%) に引き上げ、時間軸効果を限界的にせよ、さらに強化するといった対 応は考えられよう。

長期国債の買い入れ増額は現在の経済・金融情勢(景気も底堅く、 金融市場も安定している)の下ではその狙い・効果が明確ではなく、 むしろ政府が財政再建への道筋を提示しない中、財政ファイナンスへ の懸念から長期金利を押し上げる可能性がある。

③政府の問題点は、日銀に追加緩和策を要求しながらも、実際に 何をしてほしいのか具体的なイメージを欠いていることだと思われる (政府は通常、日銀の具体策には言及しないが、今回の場合、本当に アイディアがないように思える)。その背景には、デフレの根本原因を めぐって、いまだに政府内でコンセンサスが形成されていないことが ある。

現状では、為替相場が景気に働きかける上で重要なチャネルとな るはずだが、為替政策は政府の掌中にあり、日銀だけでは追加策の実 行余地は限られる。一方、政府内では、先進国が中国に人民元の切り 上げを求めるという文脈の中、日本が円安政策を採れるのか、とるべ きか、コンセンサスが存在しない。

●バークレイズ・キャピタル証券森田長太郎チーフストラテジスト 1)今回会合 :新型オペの5-10兆円増額と6カ月オペの追加 2)利下げ時期 :利下げなし(同) 3)利上げ時期 :2012年以降(同) 4)10年3月末 :0.10%(同) 5)10年6月末 :0.10%(同) 6)10年9月末 :0.10%(同) 7)10年12月末 :0.10%(同) 8)11年3月末 :0.10%(同) 9)11年6月末 :0.10%(同) 10)11年9月末 :0.10%(同) 11)11年12月末 :0.10%(同)

12)①食料・エネルギーを除くベースでマイナス幅が過去最大で横ばっ ている状況は、デフレ色が相当強いと言わざるを得ない。サービス価 格の下落が今回の物価下落の特徴と言えるが、これが下げ止まってく るためには、国内非製造業部門の過剰雇用、過剰設備の削減が進む必 要があるように思われる。この部分により焦点を当て知恵を絞って政 策を打っていかないと、問題が長引く懸念もある。

生鮮除くベースのプラス転換は12年10-12月を見込む②政府の デフレ宣言が各経済主体にどの程度のインパクトを与えたのかは正直 言って分からない。あの時期に宣言を仮に行なわなかったとしても、 足元の状況を見れば、メディアが積極的に物価下落にかかわるニュー スを報道することなどを通じて「デフレ期待」は浸透したはず。過去 数カ月間、ミクロベースでの「デフレ事例」には事欠かない。

13)①新型オペ拡充が金利市場に及ぼす影響は限定的だろう。ただし、 日銀の「量的緩和的な政策」は為替、株式市場へのアナウンスメント 効果は依然として大きく、逆に何もしなければ何がしかのネガティブ な反応があろう②新型オペでの資金供給が可能な限りは残高の増加措 置を続けることになろう。その場合、超過準備の増加ペースは前回量 的緩和ほどではないものの、現行水準よりは切り上がってゆくことに なる。

日銀のできることは、ある程度プラグマティックに為替、株式市 場へのアナウンスメント効果を有効に利用していくしかないだろう。 年末の予算編成で国債の増発が必要になってくるようであれば、輪番 の増額も一定の効果を持つだろうが、現状では必要はないし、効果も 薄い。

●ゴールドマン・サックス証券の山川哲史チーフエコノミスト 1)今回会合 :現状維持 2)利下げ時期 :利下げなし、4月以降に新型オペ拡充 3)利上げ時期 : 2012年度以降(同) 4)10年3月末 :0.10%(同) 5)10年6月末 :0.10%(同) 6)10年9月末 :0.10%(同) 7)10年12月末 :0.10%(同) 8)11年3月末 :0.10%(同) 9)11年6月末 :0.10%(同) 10)11年9月末 :0.10%(同) 11)11年12月末 :0.10%(同)

12)輸出回復・政策効果が生産の回復につながりつつあるが、公共投 資削減や補助金政策による耐久消費財買い替えが一巡することもあり、 景気が一時的に失速する可能性が高い。CPIがプラスに転じるのは 12年以降となる。

13)日銀による長期国債買い切り増額の前段階として、資金供給期間 を現状の3カ月から6-12カ月に延長することで「時間軸効果」の強 化を図る一方、日銀券ルールの対象外となる短国買入れを増額すると いった手段も残されている。いずれにしろ、デフレ脱却には思い切っ た追加緩和を通じた円安・金融環境の緩和が不可欠だ。

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