3月12日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、 商品相場は次の通り。

◎外国為替市場

ニューヨーク外国為替市場ではドルと円が大半の主要通貨に対して 下落。米小売売上高が予想外に増加したことで、世界経済の成長に伴 い上昇が見込める資産への投資意欲が高まった。

アジアの新興国経済の成長が同地域中央銀行による利上げを誘発 するとの見方から、マレーシア・リンギットやインドネシア・ルピ アなどが買われた。円は対ドルで2週間ぶり安値。緊急の資金供給 プログラム終了に伴い、日銀が追加の金融緩和を講じるとの観測が 強まっている。カナダ・ドルは対米ドル等価水準に接近した。

ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS) の為替戦略責任者、アラン・ラスキン氏は、「データは確かにリス ク支援の内容だ」と指摘。「世界経済の回復を物語っている。米国 の個人消費も持ち直してきた。これは新興市場経済にとって大きな プラスだ」と続けた。

ニューヨーク時間午後3時17分現在、ドルは対ユーロで1ユー ロ=1.3757ドル。前日の同1.3681ドルから0.6%のドル安。週間で は1%下げた。円は対ユーロで0.5%下げて1ユーロ=124円48銭 (前日は同123円82銭)。週間ベースでは1.2%の円安。ドルは対 円で前日比ほぼ変わらずの1ドル=90円51銭。一時は2月23日以来 の高値となる91円9銭を付けた。

米商務省が発表した2月の小売売上高(速報値)は季節調整済み で前月比0.3%増と、前月の0.1%増(速報値0.5%増)から伸びが拡 大した。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の 中央値では0.2%減だった。

カナダ・ドル

2月のカナダ雇用者数が2カ月連続で増加し、過去最低の政策金 利(0.25%)が近く引き上げられるとの観測が強まったため、カナ ダ・ドルは対米ドル等価水準に接近した。カナダ・ドルは一時、1 米ドル=1.0156カナダ・ドルまで上昇。2008年7月以来の高値に達 した。

経済統計の改善とギリシャ危機収拾への期待を背景に、今週はア ジア通貨が上昇した。

ウェルズ・ファーゴの通貨戦略責任者、ニック・ベネンブローク 氏(ニューヨーク在勤)は、「投資家はこうしたアジア通貨をグル ープとしてとらえてその成長実績に注目し、一部の国で実施された 政策行動から、このグループの通貨にまだ上昇の余地はあると判断 した」と指摘した。

マレーシア・リンギットは今週1.7%上昇、韓国ウォンは1.1%上 げた。

追加緩和観測と口先介入

日銀の当局者2人によると、無制限の資金供給プログラムの終了 を前に、景気支援を続けるための手段として銀行に対するオペの上 積みが検討されている。日銀の政策会合は来週16、17日に開かれる。

また、菅直人副総理兼財務相は参院予算委員会で為替政策につ いて、「あまりにも急激な動きには為替介入という手段も持ってい るが、基本的には安定的な形で推移している限りは市場に任せるべ きだと考えている」と発言した。

鳩山由紀夫首相は同委員会で、為替相場の動向について「日本 の経済、産業の力が十分ではない中で、それを反映しているとは思 えない円高が生まれている。そのような円高に対してしっかりした 対策を打つ必要がある」と述べた。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの外国為替調査部門バイスプレ ジデント、メグ・ブラウン氏(ニューヨーク在勤)は、「口先介入 は市場を怖気づかせ、ドル買い・円売りを誘発した」と述べた。

◎米国株式市場

米株式相場は総じて下落。米小売売上高が前月比で伸びたものの、 消費者マインド指数の低下が嫌気された。

金融のシティグループやバンク・オブ・アメリカ(BOA)が下 落。S&P500種株価指数の金融株価指数は前日まで少なくとも 1989年以降で最長の連続高を記録していたが、この日は反落した。 製薬のファイザーは下落。同社の治療薬は胸部進行性腫瘍(しゅよ う)の進行を止めることができなかった。建設機器キャタピラーは 上昇、ダウ工業株30種平均の上げをけん引した。中国で建機需要の 拡大兆候が示されたのが背景。

ニューヨーク証券取引所(NYSE)の騰落比率は9対10。S& P500種株価指数は前日比0.1%未満安の1149.99。一時は0.3%高ま で買い進まれていたが、3月のロイター・ミシガン大学消費者マイ ンド指数(速報値)で引き続き労働市場への懸念が示唆されたこと が嫌気され、下げに転じた。ダウ工業株30種平均は12.85ドル (0.1%)上げて10624.69ドル。

フィデュシャリー・トラストのマイケル・マレーニー氏は「信頼 感が弱まり始めているようだ」と述べ、「雇用が本当に改善するま で信頼感は低迷するだろう。さらに株式相場は今のところ、やや買 われ過ぎている。ここから小幅に下げても驚かないだろう」と続け た。

S&P500種は1月19日に1年3カ月ぶり高値の1150.23で引け たが、その後2月8日までに8.1%下落した。ギリシャを含む欧州の 複数国の財政に対して懸念が広がったほか、景気回復に伴い米連邦 準備制度理事会(FRB)が緊急措置を縮小する必要があるとの見 方が材料だった。

金融株

S&P500種の金融株価指数は0.4%安、11営業日ぶりに下げた。

シティグループは9営業日ぶりに下落。オッペンハイマーがシテ ィ株は適正価格に達したと指摘したことが嫌気された。

独立系証券会社大手チャールズ・シュワブも安い。同社は1-3 月(第1四半期)の1株当たり利益は、第4四半期の利益(1株当 たり14セント)を最大で4セント下回るとの見通しを示したのが手 掛かりだった。ブルームバーグがまとめたアナリスト予想平均は1 株当たり利益15セント。

BOAは1.6%安と、ダウ工業株30種平均銘柄の中で最大の値下 がり株となった。

S&P500種に採用されるヘルスケア関連株は0.4%下落した。フ ァイザーは1.2%値下がりした。

製薬のアボット・ラボラトリーズも下落。シティグループが同社 の株式投資判断を「ホールド」から「売り」に引き下げた。アボッ トは今年、「収益性について根本的な問題」に直面する可能性があ るとの見方が理由だ。

小売株

米商務省が12日に発表した2月の小売売上高(速報値)は季節調 整済みで前月比0.3%増加した。ブルームバーグ・ニュースがまとめ たエコノミスト予想の中央値では0.2%減だった。

S&P500種の小売株価指数は0.6%上昇した。

百貨店のシアーズ・ホールディングスやメーシーズはいずれも上 昇した。

◎米国債市場

米国債市場では2年債が週間ベースで2週連続下落。欧州連合 (EU)が重債務の加盟国を支援する通貨基金の設立を検討したた め、ギリシャの債務危機への懸念が緩和し、売りが優勢になった。

期間が短めの国債への逃避需要が弱まり、過去最大近くまで拡 大していた2年債と30年債の利回り差は縮小した。1月の小売売 上高が予想外に増加し、2年債利回りは1月以来の高水準を付けた。

モルガン・スタンレー・スミス・バーニーの債券ストラテジス ト、ケビン・フラガナン氏は「期間が短めの国債が売られ、利回り 曲線が平たん化している。欧州で状況が比較的落ち着き、経済指標 が改善していることが、質への逃避を意識した取引の解消につなが っている」と述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク 時間午後3時16分現在、2年債利回りは前日比1ベーシスポイン ト(bp、1bp=0.01%)未満上昇し、0.96%。2年債(表面 利率0.875%、償還2012年2月)価格は1/32未満下げて99 27/32。

30年債と2年債の利回り差は3.66ポイントと、1月以来の 最小に縮小した。今週は3.80ポイントまで拡大する場面もあった。 ブルームバーグのデータによると、2月17日には3.85ポイント と少なくとも1980年以降で最大に拡大した。

2年債利回りは一時0.9961%と、1月8日以来の高水準に上 昇した。週間ベースでは7bp上昇。10年債利回りは2bp上昇 の3.70%、30年債は1bp低下の4.63。

金利見通し

EU首脳は欧州通貨基金(EMF)の創設を検討している。 欧 州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は今週、「欧州通貨基金(E MF)」構想について、まだ詳細を知らないが、ECBとしてはこ の提案を排除しないと述べた。

ブルームバーグが銀行や証券会社を対象に実施した調査によ ると、2年債利回りは年末までに1.89%まで上昇すると予想され ている。

野村ホールディングスの金利戦略責任者、ジョージ・ゴンキャ ルベス氏は「今週は質への逃避を目的にした取引がやや解消された。 投資家は高利回りを求めて期間の長い国債に向かっている」と語っ た。

CMEグループの取引所の金利先物動向によると、米金融当局 が9月までに少なくとも0.25ポイントの利上げを実施する確率は 49%。1週間前は43%だった。FOMCの次回会合は今月16日。

インフレ連動国債(TIPS)と通常国債の利回り差は、景気 回復に伴うインフレ加速を示唆している。10年物の利回り差は

2.30ポイントと、2月19日以来で最大になった。2週間前は2.16 ポイント。

◎金先物市場

ニューヨーク金先物相場は下落。週間ベースでは7週間ぶりの大 幅安となった。中国政府がインフレ抑制策として利上げを実施すると の見方から、貴金属を含む資源への需要が後退した。

11日に発表された2月の中国消費者物価指数(CPI)は前 年同月比2.7%上昇と、上昇率は過去16カ月で最高となった。こ の日は、商品19銘柄で構成するロイター・ジェフリーズCRB指 数が低迷。エネルギー先物を中心に下げた。同指数は今週、5営業 日連続で下落した。昨年は、中国の経済成長加速と低金利が金相場 上昇の一因となり、12月3日には過去最高の1オンス=1227.50 ドルを付けた。

インテグレーテッド・ブローカレッジ・サービシズのヘッドデ ィーラー、フランク・マギー氏は「中国が利上げを実施するとの声 が随分聞かれる。中国が利上げをすれば資源の需要を弱めることに なる。金と原油は敏感に反応するだろう」と指摘した。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先 物 4月限は前日比6.50ドル(0.6%)安の1オンス=1101.70 ドルで取引を終了。週間ベースでは3%安と、1月22日以来の大 幅安となった。

◎原油先物市場

ニューヨーク原油相場は3日ぶりに下落。3月の米消費者信頼感 指数が予想外に低下したことが背景。

原油は一時、1.9%安。3月のロイター・ミシガン大学消費者マ インド指数(速報値)は72.5と、前月確定値の73.6から低下した。 ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想中央値は74 への上昇だった。相場の下落に伴い逆指し値の売り注文が発動したと みられている。

トラディション・エナジー(コネティカット州スタンフォード) の市場調査ディレクター、アディソン・アームストロング氏は「米 消費者信頼感指数の発表後、相場が下げ始めた」と指摘。「これま で動きが不安定だったが、いったん下げ始めると市場の方向感が定 まった。原油は逆指し値の売りをいくつか飲み込んでもまだ下げ続 け、さらに安値を試す展開となっている」と語った。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物4月限は前 日比87セント(1.06%)安の1バレル=81.24ドルで取引を終了。 下げ幅は1日以来で最大。一時は83.16ドルと、1月11日以来の高 値を付ける場面もあった。週間ベースでは0.3%安。

◎欧州株式市場

欧州株式相場は上昇。ストックス欧州600指数は約7週間ぶり の高値を付けた。週間ベースでは2週連続で上昇した。ギリシャが財 政赤字の抑制に失敗するとの懸念が弱まった。

欧州最大の自動車メーカー、独フォルクスワーゲン(VW)の優 先株が上昇。ポルシェ自動車部門の株式取得に向けた資金調達計画を 発表したことが手掛かり。独アイクストロンはテクノロジー株の上げ をけん引。同社は増収を発表した。

ストックス欧州600指数は258.40で取引を終了。前週比では

0.5%上昇。前週は週間ベースで昨年7月以来の大幅高となっていた。 1、2月には、ギリシャやスペイン、ポルトガルの財政赤字をめぐる 懸念に加え、中国が景気過熱を防ぐため、融資抑制策を取ったことで、 同指数は低迷していた。

バークレイズ・ウェルスのヘンク・ポッツ氏(ロンドン在勤)は、 「ギリシャ危機収拾を少しでも示唆する材料が出れば、相場は上昇す る傾向がある」と指摘。「ギリシャ問題について具体的な解決策が出 るのを待ってから、投資家は本格的な強気スタンスに戻ろうとしてい る」と語った。

VW株は10%高。同社が優先株に転換できるオプションまたは 債券の発行について、株主の承認を求める意向を明らかにしたことで、 株主割当増資の可能性が後退した。

ドイツの高級スポーツ車メーカー、ポルシェは週間ベースで

6.6%高。ストックス欧州600指数を構成する19業種中で、自動車 株価指数の上げが最大となった。

ノルウェーの肥料メーカー、ヤラ・インターナショナルは6.2% 高。同業の米テラ・インダストリーズに合併合意の破棄を通知された 後、買収提示額を引き上げない方針を明らかにしたことがきっかけだ った。

◎欧州債券市場

欧州債市場では、ドイツ2年債相場が2週間余りの安値にとどま った。欧州の当局者らがギリシャ救済のためにEUとして債券を発行 する案を協議する中、米国の小売売上高が増加したほか、ユーロ圏の 鉱工業生産が増えたことを背景に、ドイツ国債に対する需要が圧迫さ れた。

独2年債利回りは先月23日以来の高水準付近で推移。株式相 場の上昇やイタリアの国債の追加発行も材料視された。ギリシャ救 済に向けてEU債を発行し、ユーロ圏諸国がこれを保証する可能性 があるという。欧州連合(EU)の財務相らが来週行う会合の準備 について説明を受けた複数の関係者が明らかにした。

INGグループの投資適格級債戦略責任者のパドライク・ガー ビー氏(アムステルダム在勤)は「景気が徐々に回復している兆し があり、こうした流れ継続すれば、ドイツ国債が売りを浴びるきっ かけとなるだろう」と語った。「債券の共同発行に向けた協議も市 場に安心感をもたらした。ユーロ圏全体にとっては良いことだ」と 付け加えた。

ロンドン時間午後5時29分現在、独2年債利回りは前日比1 ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の1.05%。同国 債(表面利率1%、2012年3月償還)価格は0.02ポイント下げ

99.90。独10年債利回りは1bp下げ3.17%となった。

ギリシャの10年債利回りは10bp低下し6.25%、2年債利 回りは12bp低下の4.90%。ギリシャ10年債の独10年債に対 するプレミアム(上乗せ利回り)は7bp縮小の308bpとなった。

◎英国債市場

英国債相場は上昇。10年債利回りは前日比3ベーシスポイント (bp、1bp=0.01%)低下し4.12%となった。

同国債(表面利率3.75%、2019年9月償還)価格は0.2ポイン ト上げ97.13。2年債利回りは1.23%と、前日から2bp低下。

英公債管理局(DMO)は18日に32億5000万ポンド相当の国 債(表面利率4.75%、2020年3月償還)の入札を実施する。予算案 発表と重ならないよう、当初予定の24日から変更された。DMOは 来週、表面利率6%、2028年償還の国債入札も実施する。

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参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: ニューヨーク 楽山 麻理子 Mariko Rakuyama +1-212-617-4903 mrakuyama@bloomberg.net ニューヨーク 名子 知子 Tomoko Nago-Kern +1-212-617-2407 tnagokern@bloomberg.net Editor: Shigeru Chiba 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net

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