再生機構:ウィルコム支援を決定、1378億円規模-放棄8割弱

官民出資の企業再生支援機構は 12日、2月に破たんしたPHS会社ウィルコムに対する総額1378億 円の支援を決定した。同社を既存事業と高速データ通信「XGP」の 事業に分離した上で投資ファンドのアドバンテッジパートナーズ(A P)や国内通信3位ソフトバンクなどから出資を受ける。

再生に向けた基本合意によると、社債分も含めて総額1145億円の 債権放棄を要請予定。この額は対象とする債権の77%。機構は出資せ ず120億円の融資枠を設定する。機構の支援決定は1月の日本航空に 続き2例目で、PHSの公共性などが理由。3年以内の再建を目指す。

XGPの運営会社には、議決権のある普通株ベースでAPとソフ トバンクが3分の1ずつ、各30億円を拠出。残り30億円は別に出資 者を探す。APは優先株引き受けで20億円を追加出資する。一方、X GP分離後のウィルコムはAPが3億円を全額出資する会社となり、 機構の融資枠の対象になる。

ウィルコムはデータ高速化を進める携帯各社に対抗するため 2007年末に次世代無線の免許を取得、15年度末までに2000億円を投 じ390万件の契約を獲得する計画だったが、投資負担で増大した負債 の返済繰り延べに失敗。2月18日に会社更生法の適用を申請し、機構 に支援を要請していた。2月末のPHS契約数は417万件。

支援は機構の第三者委員会が決めた。同委の瀬戸英雄委員長は12 日夕の会見で、機構が出資を行わない点を「消極的な関与」だと認め、 ウィルコム支援は、機構が巨額の出資を行う日航支援とは「対極にあ るパターン」だと説明した。今回決定は全会一致だったとしている。

30億円

ソフトバンクは07年の免許獲得合戦で落選しており、出直す形。 12日の同社発表資料は、出資でウィルコムの基地局設置場所を活用で き「ソフトバンクの通信基地局展開の加速とコスト削減が可能になる」 とした。支援による資金拠出に伴う今期(10年3月期)損益への影響 は軽微で、今後の財務計画も変更はないとしている。

同社は06年に携帯電話事業参入でボーダフォン日本法人(当時) を買収した際に1兆2800億円を借り入れ、04年7月の日本テレコム (同)買収で1433億円を費やした。

1月にソフトバンク出資を最大50億円と予言していたクレデ ィ・スイス証券の早川仁アナリストは「米国での入札の例では、周波 数1メガヘルツの価値が1人当たり約100円」として「XGPに割り 当てられた30メガに日本の人口1億2000万を掛ければ3600億円の価 値がある」と述べ、30億円出資の利点を強調した。ただ、他社が高速 化を進めている中で「XGPの将来性には疑問符が付く」とも述べた。

XGP会社出資に関しては、総務省が次世代免許入札の際、事業 主体への大手通信会社の普通株保有を3分の1以下に抑制するよう義 務付けた前例がある。未定となっている残り30億円の出し手について、 ソフトバンク広報担当の抜井武暁氏は「複数の会社と交渉中」と述べ ている。

ソフトバンク株の12日終値は前日比0.6%高の2280円。年初か らは5.1%上昇と、指標となる日経平均株価の上昇率1.9%を上回って 推移している。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE