温暖化基本法案を閣議決定-排出量取引で産業界に配慮

表現などをめぐって調整が難航し ていた地球温暖化対策基本法案が12日、閣議決定された。議論の焦 点となっていた排出量取引では、企業に温室効果ガスの排出総量を 設定する方式のほか、生産量当たりの排出量に上限を設ける「原単 位方式」について検討することも法案に併記し、産業界に一定の配 慮を示した。直嶋正行経済産業相が閣議後の会見で明らかにした。

鳩山由紀夫首相は12日朝、首相公邸前で記者団に地球温暖化 対策基本法について、「非常にいいものができていると思う。2020年 までの25%削減を明記するということが一番大きなことだ」との見 解を示した。

直嶋経産相は12日朝の閣議後の会見で「総量規制だけにすると 衰退産業ほど有利になる。だから、総量規制と原単位の両方を使って いく」と語った。

温暖化対策基本法施行後1年以内に、排出量取引の具体的な制度を 定める方針。小沢鋭仁環境相は11日夜の閣僚委員会後の会見で「環境 と成長の両立という観点から基本法案を作成した」と話した。20年ま でに温室効果ガスの排出量を1990年比で25%削減することも法案に明 記した鳩山政権。排出量取引の導入に向けた具体的な方針が固まった ことで、削減目標達成に向けて一歩前進した。

民主党は政権獲得前から、「キャップ&トレード」と呼ばれる排出 量取引市場の創設を訴えていた。すでにキャップ&トレード取引で先行 している欧州では、各企業に排出総量の上限(キャップ)を設定し、 その過不足を売買する方式が採用されている。

しかし、鉄鋼や石油、電力、自動車などの業界9団体は先月末、技 術的な裏づけがないままにキャップが割り当てられれば企業の国際 競争力が損なわれると法案への反対を表明。排出量取引の手法をめぐる 議論が紛糾していた。

削減幅の設定が今後の焦点

原単位方式では生産量当たりの排出量だけを制限するため、生産量 が増えた場合には排出総量が増えることを危惧する声が根強い。しか し、原単位方式であっても設定する上限の水準が十分に厳しいもので あれば、総量を削減することも可能。三菱総合研究所の西村邦幸主席研 究員は「総量規制であっても原単位であっても、どれだけ厳しい削減幅 を決めるかが今後の焦点」と指摘する。

さらに西村氏は「削減幅については今後個別の法律で定めることに なるだろう。産業界は政府に対して、今まで以上に強い交渉態度で挑む ことになる。一方、政府も国際競争力の低下を避けるため、排出の削減 幅については慎重な議論を進めていかざるを得ない」との見解を示し た。

法案には、地球温暖化対策を推進するため、11年度に環境税を導 入することや原子力発電所の利用を促進することも明記。さらに太陽 光、風力、地熱、水力、バイオマスなど再生可能エネルギーを利用して 発電した電力をすべて一定の価格で電力会社に買い取らせる制度の創設 も盛り込まれた。昨年11月に電力会社に買い取りを義務付ける制度が 始まっているが、対象は家庭や企業などが太陽光で発電した電力に限定 されている。

1割を再生可能エネルギーに

幅広い再生可能エネルギーを対象にした買い取り制度を導入するこ とで、政府は1次エネルギーの供給量に占める再生可能エネルギーの割 合を10パーセントまで引き上げることも目指す。国際エネルギー機関 (IEA)のデータによると、日本の1次エネルギー供給に占める再生 可能エネルギーの割合は07年に3.3%だった。

--取材協力:稲島剛史, 広川高史 Editor:Takeshi Awaji, Chiaki Mochizuki

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