10-12月期GDPは年率3.8%増に下方修正-持ち直し維持

昨年10-12月期の日本の国内総 生産(GDP)2次速報値は前期比年率3.8%増と1次速報値から下 方修正された。修正幅は、ほぼ事前の予想通り。在庫投資などの下方 修正が主因で、輸出回復と政策効果により日本経済が持ち直している 基調には変化ない。成長率は先行き一時的に鈍化すると予想されてい るが、マイナス成長に陥るとの見方は後退している。

内閣府が11日発表した四半期別国民所得統計(2次速報)による と、10-12月期の実質GDPは前期比0.9%増となった。1次速報で は同1.1%増(年率換算4.6%増)。設備投資は法人企業統計の内容を 加味した結果、前期比0.9%増(1次速報は1.0%増)に下方修正され たが、成長率への寄与度はプラス0.1%と変わらず。

一方、民間在庫投資の寄与度は、1次速報のプラス0.1%からマ イナス0.1%に下方修正された。自動車の流通在庫と、製粉や鉄鋼製 品などの仕掛品在庫の減少が響いた。

津村啓介内閣府政務官は記者説明で、景気の「『二番底懸念』が 若干薄らいだ」と述べ、「自律的な回復の可能性が出てきた」と期待 感を示した。自動車の流通在庫の減少は、需要増加が要因との可能性 を示唆し、必ずしも景気に「マイナスではない」と指摘。設備投資に ついては「製造業を中心に持ち直しつつある」としながらも、景気は 民需主導の「緩やかな回復と言える状況ではない」との見方を示した。

成長率なお高い

第一生命経済研究所の新家義貴主任エコノミストは「ほぼ事前の 市場予想並みであり、特に意外感はない。下方修正されたとは言って も、年率3.8%という成長率はなお高い」と指摘。「設備投資もプラ スを確保するなど内容もさほど悪くなく、景気回復基調が続いている という現状認識の変更を迫る結果ではなかった」との見方を示した。

日本経済は当面、輸出と政策効果による下支えが見込まれる。国 際通貨基金(IMF)の予測では、今年の世界経済の成長率はプラス 4%程度で、昨年のマイナス0.8%から急回復。中国などの高成長で 日本の輸出や生産も恩恵を被る。内需では、エコカー補助やエコポイ ントの政策効果が一巡するものの、新たに「住宅版エコポイント」制 度がスタートしたほか、子ども手当も6月に支給が始まる見通し。

ブルームバーグ・ニュースによる事前のエコノミスト調査では、 2次速報値の予想中央値は前期比1.0%増、年率換算では前期比4.0% 増だった。名目GDPは前期比0.2%増が見込まれていた。統計発表 後の東京外国為替市場の円相場は午前12時04分現在、1ドル=90円 30銭で推移。発表直前は90円48銭付近だった。日経平均株価の午前 終値は前日比94円24銭(0.9%)高の1万658円16銭。

2期ぶりのプラス成長

1次速報値では、10-12月期は3四半期連続のプラス成長だった が、今回の2次速報で7-9月期が前期比横ばいからマイナス0.1% に下方修正されたため、2期ぶりのプラス成長となった。ただ、津村 政務官は今後、7-9月期が再びプラスに改定される可能性にも言及 した。

2次速報では、GDPの約6割を占める個人消費は政府の景気刺 激策の効果が続き前期比0.7%増で1次速報から変わらず。また、住 宅投資は同3.3%減(1次速報3.4%減)、公共投資は同1.3%減(同

1.6%減)となった。内需の成長率への寄与度はプラス0.4%(1次速 報はプラス0.6%)、輸出から輸入を引いた外需の寄与度はプラス

0.5%(同プラス0.5%)だった。

鳩山政権が重視している名目成長率は、前期比0.1%増、年率換 算では0.5%増と1次速報時の前期比0.2%増(年率換算0.9%増)か ら下方修正された。名目GDPを実質GDPに変換する際に用いられ る物価指数のGDPデフレーターは前年同期比2.8%低下と1次速報 値の同3.0%低下から修正された。過去最大の下落率は変わらない。 前期比では0.8%低下(1次速報は0.9%低下)。

1-3月期以降は鈍化

シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミストは、1-3月 期以降について、これまでの政策措置の効果が弱まることや在庫復元 が輸出を強く押し上げる初期局面が一巡することから、「成長ペース は昨年10-12月期に比べより緩やかなものになる」と予想する。

ただ、新年度は①輸出の増加基調が維持される②設備投資と住宅 投資の上向き基調が続く③政府による新たな家計向け支援策(子供手 当など)が始まる-ことを背景に、「GDP成長率は年率1.5-2.0% 程度の巡航速度に回帰しよう」との見方を示した。

明治安田生命保険運用企画部の小玉祐一チーフエコノミストは、 1月から6月ぐらいまでは、政策効果の低下により「内需を中心に停 滞感を強める可能性がある」としながらも、「外需では中国経済が圧 倒的に強いため、マイナス成長に陥ることは回避するだろう」と予測。 6月以降は、子ども手当が10年度にGDPを0.3ポイント程度押し上 げると分析し、個人消費を下支えするとの見方を示した。

内閣府の外郭団体の社団法人経済企画協会が9日に発表した民間 エコノミストを対象としたESPフォーキャスト調査(回答期間2月 23日-3月2日、回答数38人)によると、1-3月期の実質成長率 (前期比年率)は平均1.17%、4-6月期は同1.22%、7-9月期は 同1.63%が見込まれている。

2次速報値と同時に発表された09年のGDP成長率は実質で前 年比5.2%減(1次速報5.0%減)、名目で同6.1%減(同6.0%減) となった。それぞれ比較可能な1955年以降で最大の下落率には変わり ない。同年の日本の名目GDPは5兆771億ドルで、中国の4兆9090 億ドルを3.3%上回り、2次速報ベースでも辛うじて世界第2位の経 済規模を維持した。

--取材協力:Minh Bui, Sachiko Ishikawa Editor:Norihiko Kosaka, Hitoshi Ozawa

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