緩和観測で中期ゾーンに金利低下余地、5年債は7年ぶり0.4%割れも

債券市場では中期ゾーンの金利に 低下余地が広がってきた。日銀による追加金融緩和観測の高まりで、 金融政策変更の影響が大きい期間の短い債券が買われやすいため。新 発5年国債利回りは7年ぶりに0.4%を割り込むとの見方もある。

中央三井信託銀行総合資金部の関一也次長は、日銀が2009年12 月に導入した新型オペの期間延長などを決めてターム物金利の低下に 働き掛ければ、債券市場でも中期ゾーンまでは素直に買い材料視され ると指摘。その上で、「5年債利回りでみて0.4%がターゲットとなり、 その後は0.3%台が視野に入ってくるのではないか」と予想する。

新発5年債利回りは今年に入ると0.5%を中心としたもみ合いが 続いたが、前週後半から0.4%台半ばに水準を切り下げている。市場 で節目とされる0.4%を割り込めば2003年8月以来となる。

中期ゾーンの金利水準が下がった背景として、日銀の追加緩和観 測が高まったことが挙げられる。三菱UFJ証券の石井純チーフ債券 ストラテジストは、日銀は新型オペの資金供給期間の3カ月から6カ 月への延長や、現行10兆円の供給規模の拡大を早ければ来週16、17 日の金融政策決定会合で決めるとみている。その場合には、「債券市場 で5年以下の金利押し下げの要因となりうる」との見方を示す。

みずほ証券の三浦哲也チーフマーケットアナリストは、東京銀行 間貸出金利(TIBOR)3カ月物金利は01年3月からの量的緩和局 面に15bp程度の低下となったため、昨年12月の0.5%前後から0.3% 台半ばまで下げ余地があると分析。「TIBORを下回るポテンシャル を持つ5年債利回りが0.4%を割り込む可能性は高い」と読む。

新発5年債とTIBOR3カ月物金利の格差は足元で2bp程度 に縮小しており、昨年12月には5年債利回りの低下を背景に逆転する ケースも出ていた。

長期ゾーンの金利観は二分

中期ゾーンの金利に低下余地があるとみられる一方、長期金利の 先行き見通しに関する市場の見方は割れている。

06年以降では長期金利が4-6月期に上昇するパターンが続い た経緯もあり、短中期ゾーンへの投資家の買いが長期ゾーンには波及 しないとの指摘がある。しかし、みずほ証の三浦氏は、利回り曲線上 で中期債の利回りが平たんになることで、投資資金は長期ゾーンにも にじみ出てくるといい、「新発10年債利回りは1.2%台で足場を固め て、いずれは昨年12月1日につけた1.19%を目指す」とみる。

三菱UFJ証の石井氏は、「仮に春先に金利が上振れるにしても、 投資家の期初買いでいったん金利が押し下げられてから、その後に反 動売りで上がる展開ではないか」とみている。

一方、10年債利回りの1.2%台での安定推移に懐疑的な見方もあ る。日興コーディアル証券の野村真司チーフ債券ストラテジストは、 そもそも日銀の追加緩和に新味は乏しく、5年債利回りの低下余地は

0.4%付近が限界だと予想。その上で、「財政悪化を背景とした増発懸 念がくすぶる中、長期ゾーンについては今後の金利上昇リスクを踏ま えて買いが入りづらい構図は変わらない」と話す。

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