須田日銀委員:先行きのリスクは上下両方向にほぼバランス

日本銀行の須田美矢子審議委員は 10日午前、都内で行われた討論会で、先行きの経済、物価の先行きに ついて「私個人としては、リスク要因は不確実性が高い下で、上下両 方向にほぼバランスした状態にあるとみている」と述べた。

須田委員は「景気は持ち直している」と指摘。先行きについては 「持ち直しのペースは当面緩やかなものにとどまる可能性が高い」も のの、「少し長い目で見ると、輸出を起点とする企業部門の好転が家計 部門に波及していくにつれ、日本経済の成長率も徐々に高まっていく とみられる」と述べた。

リスクとしては「新興国・資源国の経済の強まりなどの上振れ要 因がある一方、米欧のバランスシート調整の帰すうや、企業の中長期 的な成長期待の動向といった下振れ要因」を指摘。物価についても「資 源価格の上振れリスクがある一方、中長期的な予想物価上昇率の低下 といった下振れリスクも意識している」と述べた。その上で、リスク は「上下両方向にほぼバランスした状態にある」と語った。

菅直人副総理兼財務相は1日の衆院財務金融委員会で、消費者物 価指数について「今年いっぱいくらいには何とかプラスに移行しても らいたい」と述べ、日銀に対し「より努力をお願いしたい」と要請し た。日銀は16、17の両日、金融政策決定会合を開く。

物価の下落幅は縮小へ

須田委員は消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)前年比 上昇率については「石油製品価格の動きなどを反映する形で下落幅を 縮小させている」と指摘。先行きは「当面、現状程度の下落幅で推移 するが、マクロ的な需給バランスが徐々に改善することなどから、下 落幅は再び縮小していくと予想している」と述べた。

金融政策運営については「日本経済がデフレから脱却し、物価安 定の下での持続的成長経路に復帰することを促すために、中央銀行と しての貢献を粘り強く続けていく方針であり、具体的な金融政策運営 に当たっては、引き続き極めて緩和的な金融環境を維持していく」と 語った。

須田委員はまた、日本が抱える構造要因に言及し、「現在、わが国 の企業や家計の間では、先行きに対する不透明感や閉塞(へいそく) 感が漂っている」と指摘。こうした沈滞したムードの背景として「少 子高齢化、グローバル化、財政債務問題といった構造的な難問が存在 しているように見受けられる」と述べた。

金融政策は構造改革を進める効果ない

その上で「金融政策は構造改革の進展を間接的に支えることはで きても、構造改革そのものを進展させる効果はない」と指摘。現在の ところ、「持続的成長経路に復することを促すために、緩和的な金融環 境を維持することが最優先課題」としながらも、「景気回復と並んで、 必要な構造改革を果敢に進め、構造変化に応じた新陳代謝を促してい くことも、現在の日本経済にとって重要な課題と言える」と述べた。

須田委員はさらに、「構造改革が先送りされたままでは、金融政策 に期待される景気浮揚効果も減殺されてしまいかねない」と語った。

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