東京外為:円が対資源国通貨で下落、中国景気底堅くリスク選好の売り

東京外国為替市場では、円がオー ストラリア・ドルなどの資源国・高金利通貨に対して下落。中国の経 済指標が堅調になるとの観測を背景に、低金利の円にリスク選好に伴 う売り圧力がかかった。

クレディ・スイス証券経済調査部の小笠原悟エコノミストは、中 国が1月に預金準備率を引き上げて以降、世界景気への影響懸念が生 じていたが、2月の指標の堅調が見込まれる中で、「市場の反応が過剰 だった」感があると指摘。中国当局が景気の急減速ではなく、ソフト・ ランディング(軟着陸)を意図しているとの見方に落ち着けば、資源 関連通貨は買われやすいと説明している。

円は高金利通貨のニュージーランド・ドルに対して一時1NZド ル=63円63銭と、2月23日以来の安値を更新。資源国・高金利通 貨の豪ドルに対しても一時1豪ドル=82円50銭と、2営業日ぶりの 水準まで下落している。

ドル・円相場は対他通貨での円売りが波及する格好となり、午後 の取引で一時1ドル=90円11銭と、前日のニューヨーク時間午後遅 くに付けた89円97銭からやや円が水準を切り下げている。

ユーロ・円相場は午前の取引で一時1ユーロ=122円60銭と、 ニューヨーク時間午後遅くに付けた122円35銭から円安が進行。午 後も122円台半ば近辺で取引された。

中国経済指標を見極め

中国で10日に発表された2月の貿易統計によると、輸出が前年 同月比で45.7%増と、ブルームバーグ・ニュースがまとめた市場予 想の38.3%増を上回る伸びとなった。また、輸入も同44.7%増と、 市場予想の38%を上回った。

中国ではあすも引き続き、2月の物価関連指標のほか、小売売上 高や鉱工業生産などの重要指標が発表される。

クレディアグリコル銀行外国為替部の斎藤裕司ディレクターは、 豪州では求人広告が急激に伸びており、豪ドルに「見直し買いが入っ ている」と指摘。さらに、中国の指標発表を控えて、「強い数字となれ ば、豪ドルが一段高になる可能性もある」とみており、円には売り圧 力がかかりやすいと説明している。

半面、中国の温家宝首相は5日に全国人民代表大会(全人代、国 会に相当)で、インフレ率の目標を3%としており、インフレ指標の 上振れには警戒感がくすぶりそうだ。

日興コーディアル証券国際市場分析部の為替ストラテジスト、松 本圭史氏は、中国の指標で市場の想定以上の数字が出てくると、「金融 引き締めが連想されやすい」として、「円高の進行に注意が必要」だと みている。

欧州財政不安くすぶる

一方、ギリシャの財政再建計画の実現性に不透明感が残るほか、 他のユーロ参加国の財政赤字問題も懸念されていることから、ユーロ 買いを進めにくい面も残る。

格付け会社フィッチ・レーティングスのポール・ローキンス氏と クリス・プライス氏は、ロンドンで9日に行われた会議での資料で、 スペインの税収減少ペースは「懸念」されると指摘している。また、 プライス氏は、同会議でギリシャ政府が財政赤字削減計画を実行に移 すとの保証はないとの認識も示した。

さらに、ローキンス氏はインタビューで、8日にポルトガル政府 が発表した財政再建計画の評価は「平凡」と指摘。ポルトガルの信用 格付けについて、財政健全化に向け追加措置を取らなければ現在の「A A」から格下げの可能性があると説明した。

三菱UFJ信託銀行資金為替部の酒井聡彦営業推進役は、財政問 題がくすぶる中、「欧州通貨についてはまだ引き続きネガティブで見て いる」としている。

ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.35ドル台後半を中心に、前日 のニューヨーク時間午後遅くに付けた1.3602ドルからユーロが水準 を切り下げて推移した。

訪米中のギリシャのパパンドレウ首相は9日、オバマ米大統領と 会談。同首相は記者団に対し、「われわれは誰に対しても救済や金融支 援を要請していない」とした上で、「われわれが行っているのはまず自 国経済の立て直しであり、経済を正しい軌道に乗せるための措置を講 じている」と強調した。

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