3月9日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、 商品相場は次の通り。

◎外国為替市場

ニューヨーク外国為替市場では、ドルがブラジルやカナダといった 商品輸出国の通貨に対して下落。株価上昇で、世界的な景気回復の恩恵 を受ける資産への需要が高まった。

円は大半の主要通貨に対して上昇。3月期末を控え日本企業が 本国への資金還流に動いているとの観測が背景にある。ポンド は 主要16通貨すべてに対して下落。フィッチが、英国の信用プロフ ィルが急激に悪化していると指摘したことを受けた。

ナショナル・バンク・オブ・カナダの外為担当マネジングディ レクター、ジャック・スピッツ氏(トロント在勤)は、「比較的リ スクを取りやすい環境といえる」と指摘。「一時下げていた欧州株 が取引後半に戻してきたことで、為替市場でのリスク許容度が高ま った。経済成長と最も強い関連性のある通貨が恩恵を受けている」 と述べた。

ニューヨーク時間午後4時9分現在、ドルは円に対し前日比

0.4%安の1ドル=89円97銭。前日は90円31銭だった。ユー ロに対しては上昇し、前日比0.3%高の1ユーロ=1.3598ドル(前 日1.3634ドル)。ユーロの対円相場は1ユーロ=122円36銭で、 前日の123円13銭から0.6%下落。

豪ドルは米ドルに対し0.5%高の1豪ドル=0.9138米ドル (前日は0.9092米ドル)。ブラジル・レアルは0.7%上げて1ド ル=1.7757レアル(前日1.7885レアル)。

ドルはこの日を含め過去10日間のうち9日、レアルに対して 下落。株式相場の上昇でキャリー取引が活発になったことが背景に ある。

円が対ドルで上昇した背景には、日本企業が3月期末を控えて 本国への資金還流に動いているとの観測がある。バークレイズの為 替ストラテジスト、アループ・チャタジー氏は9日付のリポートで 「日本への資金還流の動きは向こう数週間、3月末まで続く可能性 が高い」と指摘。「この流れが、対円でのドル上昇を抑えるとみら れ、クロス円(ドル以外の通貨の対円相場)も上値が重くなる可能 性がある」と語った。

7週ぶり高値

豪ドルは米ドルに対し一時、1豪ドル=0.9148米ドルと、7 週間ぶり高値を付けた。豪州の2月の求人広告件数が10年余りで 最大の増加率となり、豪準備銀行(RBA、中央銀行)が来月利上 げを実施するとの観測が広がったことが材料。

クレディ・スイスの指数によれば、スワップトレーダーらは、 RBAが4月6日の政策決定会合で利上げを決定する確率を30% と見込んでいる。前日の時点では25%だった。

フィッチは英国について、対国内総生産(GDP)比の財政赤 字比率を引き下げるため、一段の財政調整が必要だと指摘。これに 反応しポンドは下落。フィッチの世界経済責任者、ブライアン・ク ルトン氏は、ロンドンでの説明会で、歳入・歳出計画の調整のペー スが「遅過ぎる」と指摘。同国は2015年3月までに財政赤字を対 GDP比で4.4%に削減する計画を示しているが、それを3%にす べきだと述べた。

◎米国株式市場

米株式相場は上昇。この日は、S&P500種株価指数が2009年 の弱気相場での最安値を記録してから1年の節目だった。米経済は今後 もリセッション(景気後退)からの回復を続けるとの見方が背景に ある。

保険のアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)は さらに事業資産を売却するとの観測を背景に13%急伸した。エレベ ーターや空調装置などを製造するユナイテッド・テクノロジーズや 複合企業ゼネラル・エレクトリック(GE)、通信のAT&Tを中 心にダウ工業株30種平均は上昇。航空機メーカーのボーイングも上 昇した。米防衛関連大手ノースロップ・グラマンが米空軍からの受 注を断念したことから、争奪戦を繰り広げていたボーイングの株式 に買いが膨らんだ。

ユナイテッド航空の親会社UALが上昇。1マイル当たりの平均 旅客収入が拡大した。この日は引け前1時間で米主要株価指数が一 時下落する場面もあった。

S&P500種株価指数は前日比0.2%高の1140.45。ダウ工 業株30種平均は11.86ドル(0.1%)上げて10564.38ドル。

フェデレーテッド・インベスターズ(ニューヨーク)の株式市場 チーフストラテジスト、フィリップ・オーランド氏は「喜ぶべき節 目だ」と述べ、「米景気はリセッションから脱却し、持続的に回復 しており、株式相場はこのまま徐々に上昇を続けるだろう。投資家 は次の買い材料を待っている」と述べた。

S&P500種は1年前に12年ぶり安値を記録して以来、69% 値を戻した。1930年代以降で最大の上昇率だった。

企業利益の改善でS&P500種構成企業の営業利益を基にした株 価収益率(PER)は18.3倍と、昨年12月の22.9倍から低下し ている。

フィッシャー・インベストメンツ(米カリフォルニア州ウッドサ イド)の最高経営責任者(CEO)、ケネス・フィッシャー氏は「株価 はまだ割安だ。強気相場2年目の始まりの特徴は不安の壁を上り、高 所恐怖症に陥るようなものだ」と述べた。

ウェルズ・キャピタル・マネジメントの主任投資ストラテジス ト、ジェームズ・ポールセン氏は「S&P500種は方向感が定まるま で、いったん1150付近でもみ合うと思う。この水準を上抜く可能性 はあるが、材料が必要だ」と語った。

AIG上昇

AIGを中心に金融株が上昇した。米政府支援を受けて救済され た金融機関の株式も値上がりした。

USグローバル・インベスターズのシニアトレーダー、マイケ ル・ナスト氏は「AIGがさらに事業資産を売却するとの憶測が流れて いた」と述べ、「資本を調達できる力があるというのは前向きな材料 だ。AIGが多くの問題を抱えていたころは会社存続さえも疑問視され ていた。いまでは会社が存続しているだけでなく、AIG傘下の企 業も価値を生み出している」と続けた。

AIGは13%高、シティグループは7.3%値上がりした。経済 専門局フォックス・ビジネスは、米政府が27%を保有するシティグル ープ株の売却を協議しており、早ければ3カ月以内にも実施する可 能性があると報じた。情報源は特定していない。

UTXやUALなど

ユナイテッド・テクノロジーズは、1.4%上昇。ダウ工業株30 種平均銘柄の中で最大の上昇率だった。カウエンが株式投資判断を「ニ ュートラル」から「アウトパフォーム」に引き上げたのが買い材料 だった。

UALも高い。1マイル当たりの平均旅客収入の売上高は2月に 17-19%増加した。

スプリント・ネクステルは6.5%高。前日に続く上昇。同社は今 後数四半期の売り上げ増を見込んでいると発表したほか、負債を返済 し、コスト管理を進めると述べた。

スプリントを中心に電話株は1.2%高。S&P500種産業別10 指数の中で値上がり率最大だった。資本財株も0.8%上昇した。

◎米国債市場

米国債市場では3年債が5日ぶりに上昇。3年債入札は発行額が 過去最高に並ぶ400億ドルだったものの、逃避資金が期間の短い国債 市場に流れた。

応札倍率は3.13倍と、昨年11月以降で最高となった。シカゴ 連銀のエバンス総裁の発言も利回り低下につながった。同総裁は高 失業率が続いているため、低金利は「しばらくの間」必要になる可 能性が高いとの認識を示した。

ロイヤル・バンク・オブ・カナダの金利ストラテジスト、クリ スチャン・クーパー氏は「不透明感が広がったことで需要が高まっ た」と指摘した。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク 時間午後3時10分現在、10年債利回りは前日比1ベーシスポイン ト(bp、1bp=0.01%)低下の3.71%。同年債(表面利率

3.625%、2020年2月償還)価格は3/32上げて99 10/32。S &P500種株価指数が12年ぶりの安値を付けたちょうど1年前、10 年債利回りは2.86%だった。

既発3年債利回りは3bp低下の1.38%。2年債利回りは2b p低下の0.88%。

エバンス総裁は講演後、記者団に対し、米連邦公開市場委員会 (FOMC)が今後「3、4回の会合」にわたり、政策金利を低水 準に維持する可能性が高いとの見通しを明らかにした。また、「長 期にわたり」低金利を維持するとのFOMCの方針を支持する考え もあらためて示した。

CMEグループの取引所の金利先物動向によると、米金融当局 が9月までに少なくとも0.25ポイントの利上げを実施する確率は 41%。1カ月前は48%だった。FOMCは2008年12月以降、政 策金利を0-0.25%のレンジで維持している。次回会合は16日。

ニューヨーク連銀の金融市場担当責任者、ブライアン・サック 氏は、2兆3000億ドル(約208兆円)規模の米連邦準備制度理事会 (FRB)バランスシートを資産売却によって急速に縮小すれば、 金融市場の混乱を招き、政策当局者の現在の目標を妨げる恐れがあ ると指摘した。

その上でサック氏は、バーナンキFRB議長が先月概略を示し たような「緩やかで受動的な」資産の縮小であれば、FRBの1兆 6900億ドル規模の証券購入プログラムの効果で低水準にある長期金 利の反転を抑制することができるとの認識を示した。8日のバージ ニア州アーリントンでの講演で述べた。

入札

米財務省が9日実施した3年債入札の結果によると、最高落札 利回りは1.437%と、入札直前の市場予想1.449%を下回った。

海外の中央銀行を含む間接入札の落札全体に占める割合は

51.8%。過去10回の入札の平均は52%だった。2月の落札利回り は1.377%だった。

三菱UFJフィナンシャル・グループのシニア米国債トレーダ ー、トム・ロス氏は「海外投資家には投資資金がある。米国債以外 に資金を向ける市場がない。米国債は今、最も安全な投資先だ。入 札はその規模にかかわらず、好調が続くだろう」と述べた。

財務省は10日に10年債(規模210億ドル)、11日に30年債 (同130億ドル)の入札を実施する。

一方、BNPパリバ・セキュリティーズの金利ストラテジスト、 サプラト・プラカシュ氏は、「利回りは今後数日、わずかに上昇す る可能性がある。長期債の入札が2回あり、相場を圧迫するだろう。 やや強気な景気見通しは相場には完全には織り込まれておらず、米 国債相場の重しとなり得る」と指摘した。

1年前

1年前のこの日、S&P500種は1996年9月以来の安値水準で 終了。米保険・投資会社、バークシャー・ハサウェイを率いる資産 家ウォーレン・バフェット氏は米経済が「がけから転落した」と発 言した。S&P500種はこの1年間で69%戻している。

株価が09年の安値から戻す中、バンク・オブ・アメリカ(BO A)メリルリンチ指数によると、10年債の過去1年の投資収益率は マイナス3.8%となっている。

バーナンキ議長が景気回復を支援するため政策金利を過去最低 水準で維持する方針を示したため、同じ期間の2年債の収益率はよ り長期の国債よりも良かった。メリル指数によれば、2年債の収益 率は2%、30年債はマイナス14%だった。

◎金先物市場

ニューヨーク金先物相場は続落。ドルの上昇を背景に代替投資 としての金の需要が後退したほか、中国が金を外貨準備の主要投資 先とする可能性は低いとの認識を示したことも売り材料となった。

主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE) のドル指数は一時0.5%高となり、年初来の上昇率は3.4%に達し た。中国国家外為管理局(SAFE)の易綱局長は、同国が保有す る外貨準備を多様化する上で、金が第一の投資先になる公算は小さ いとの認識を明らかにした。

プロスペクター・アセット・マネジメントのレナード・カプラ ン社長は「すべてドルの動きによるものだ」と指摘。「ドルが続伸 している状況では金に勝ち目はない。中国が外貨準備の主要投資先 にできるほど金の量は多くない。ドルを保有せざるを得ない」と語 った。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先 物4月限は前日比1.70ドル(0.2%)安の1オンス=1122.30ド ルで取引を終了。一時は1108.20ドルと、2月26日以来の安値 まで下げる場面もあった。

◎原油先物市場

ニューヨーク原油相場は3日ぶり下落。ドルの対ユーロ相場が 上昇したことで、代替投資としての商品への魅力が後退した。

原油は一時2.1%安。ギリシャの財政問題を引き金にほかの欧 州諸国でもソブリンリスクが発生するとの懸念から、ユーロが下げ たことが背景。米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)が10 日に発表する5日終了週の在庫統計で原油在庫の増加が見込まれ ていることも売り材料となった。

食糧やエネルギー関連の商品に投資するヘッジファンド、ラウ ンド・アース・キャピタルのパートナー、ジョン・キルダフ氏は「世 界の経済情勢と欧州諸国の債務問題について、かなり懐疑的な見方 がある。そのため、ドルが安全な投資先として再び浮上しており、 原油相場に打撃を与えている」と指摘した。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物4月限は前 日比0.38ドル(0.46%)安の1バレル=81.49ドルで取引を終 了した。8日には0.37ドル高の81.87ドルと、終値ベースでは 1月11日以来の高値を付けていた。

◎欧州株式市場

欧州株式市場ではストック欧州600指数がほぼ変わらず。食 品・飲料メーカーやヘルスケア関連企業が上げた一方、欧州EAD Sの2009年通期決算が市場予想より大幅の赤字となったことが重 しなった。

航空大手エアバスを傘下に置くEADSが安い。同社は通期決 算が赤字となったほか、年間配当を見送った。ポルトガル商業銀行 など銀行株も下落。格付け会社フィッチ・レーティングスが、ポル トガルの財政赤字削減計画が「不十分」だった場合、信用格付けを 引き下げる可能性があると説明したことが手掛かり。一方、世界最 大の食品会社ネスレは上昇。JPモルガン・チェースによる投資判 断引き上げが好感された。

ストックス欧州600指数は前日比0.1%未満下げて256.73 で終了した。

アリアンツ・グローバル・インベスターズのRCM部門で最高 投資責任者を務めるニール・ドウェーン氏は「かなり期待先行の部 分がある」と指摘。「市場は強い利益成長を織り込んでいる。市場 は景気回復に失望するはずだ」と述べた。

EADSは2.8%安の15.44ユーロ。1月以降で最大の下げ となった。同社の09年通期決算は、エアバス大型機2機種の開発 計画で予算超過となったことが響き、通期としては2000年の設立 以来で4回目の赤字になった。

ストックス欧州600指数の銀行株指数は0.8%下落と、構成 する19業種中で2番目に大きい下げとなった。ポルトガル商業銀 行は1.9%安だった。

一方この日は、食品・医薬品銘柄が特に上昇。ネスレは1.2% 高の53.55スイス・フラン。JPモルガンは、ネスレ株の投資判 断を「ニュートラル」から「オーバーウエート」に引き上げた。

◎欧州債券市場

欧州債市場ではドイツ国債相場が3営業日ぶりに上昇。企業業 績への失望で株式相場が下落したほか、格付け会社フィッチ・レー ティングスがポルトガルを格下げする可能性を示唆したことを背 景に、安全資産としての国債需要が高まった。

ポルトガル国債とドイツ国債のスプレッド(利回り格差)が拡 大した。航空宇宙・防衛関連企業EADSと英産銅会社アントファ ガスタの業績がアナリスト予想を下回ったことを背景に、この日の ストックス欧州600指数は一時0.8%安となった。ギリシャ国債 は下げに転じた。ギリシャが月内に100億ユーロの国債を追加発 行すると、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が事情 に詳しい当局者の話を引用して報道したことがきっかけ。

INGグループの債券ストラテジスト、ウィルソン・チン氏(ア ムステルダム在勤)は「株式相場が小幅下落したほか、フィッチが ユーロ圏周辺国に関して発表した」と述べ、これが「質への逃避」 を招いたと指摘した。

ロンドン時間午後4時32分現在、独10年債利回りは前日比 3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の3.13%。前 日は先月23日以来の高水準となる3.19%まで上昇する場面もあ った。同国債(表面利率3.25%、2020年1月償還)の価格は0.26 ポイント上げ100.95。2年債利回りは1bp低下の0.99%。

ポルトガルの10年債と独10年債のスプレッドは4bp拡大 し93bpとなった。ギリシャ10年債と独10年債のスプレッドは 5bp拡大の311bp。ギリシャ10年債利回りは6.25%と、前 日から2bp上昇。ギリシャ2年債は12bp上昇し4.91%となり、 8営業日ぶりに上昇した。

◎英国債市場

英国債相場は上昇。10年債利回りは前日比5ベーシスポイン ト(bp、1bp=0.01%)低下の4.05%となった。

同国債(表面利率3.75%、2019年9月償還)価格は0.36ポ イント上昇の97.64。2年債利回りは1.24%と、前日から8bp 低下した。

英公債管理局(DMO)はこの日、2022年償還の国債30億 ポンドを入札した。応札倍率は2.01倍。昨年11月24日の入札 では1.92倍だった。DMOは10日に9億ポンド相当のインフレ 連動債(2032年償還)の入札を実施する。

バークレイズ・キャピタルの英国債セールス責任者、アダム・ マコーマック氏は、「この日の入札は順調だった。インフレ連動債 は過去数日間でやや下げていたが、この日は買われたようだ。明日 のインフレ連動債入札もうまくいくと見込んでいる」と語った。

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参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: ニューヨーク 森 茂生 Shigeki Mori +1-212-617-6107 smori1@bloomberg.net ニューヨーク 名子 知子 Tomoko Nago-Kern +1-212-617-2407 tnagokern@bloomberg.net Editor:Tsuneo Yamahiro、Akiko Nishimae,Shigeru Chiba 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net

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