1月景気一致指数はリーマン・ショック前の水準上回る

日本の景気の現状を示す景気一致 指数は1月に10カ月連続で上昇し、一昨年秋のリーマン・ショック直 前の水準を上回った。半年程度先を示す景気先行指数も11カ月連続で 改善した。輸出の増加を背景に生産の持ち直しが続いていることが主 因で、先行きも改善傾向が続くとの見方が多い。

内閣府が9日発表した1月の景気動向指数(速報、2005年=100) によると、一致指数CI(コンポジット・インデックス)は前月比2.5 ポイント上昇の99.9と、リーマン・ショック直前の08年8月(99.1) を上回った。上昇幅は比較可能な1980年以降で、89年3月に付けた 前月比2.7ポイントに次いで2番目。先行指数CIは2.4ポイント上 昇の97.1。景気に数カ月遅れて動く遅行指数CIは2.2ポイント上昇 の85.1だった。

一致指数は08年9月のリーマン・ショックを受けて、09年3月 に過去最低の84.5の水準まで落ち込んだが、その後は一貫して上昇傾 向を維持している。ただ、足元の景気回復は依然としてアジア向けを 中心とした輸出主導で、内需主導の自律的回復には至っていない。

津村啓介内閣府政務官は記者説明で、「広範な系列を扱っている 景気動向指数がこのところ安定した上方トレンドを示していることは、 今後の景気判断の中でも重要な判断材料の1つとして注目していきた い」と語った。

第一生命経済研究所の新家義貴主任エコノミストは発表前に、 「CI一致指数は09年3月をボトムとして上昇しているが、10年に 入っても景気が順調に回復していることが確認できるだろう」と予測。 「上昇ペースもこれまでよりもむしろ速まっており、景気に減速感が 出ている様子は今のところうかがえない」との見方を示していた。

景気判断をミスリードの可能性も

内閣府は一致指数について、景気拡張の可能性が高いことを示す 「改善」の基調判断を前月に続き維持した。一致指数の10カ月連続の 上昇は1996年2月から97年1月までの12カ月連続以来。ブルームバ ーグ・ニュースのエコノミスト調査の予想中央値は一致指数が99.6、 先行指数が96.6だった。

ただ、第一生命の新家氏は一致指数がリーマン・ショック直前の 水準まで戻ったことについて、「現在公表されているCIはかなりミ スリーディングである」とし、「景気の水準を大幅に過大評価してい る可能性が高い」と指摘する。

鉱工業生産指数や大口電力使用量など11の構成指標の変化率を 合成して作成される一致指数CIは、1つの系列が極端に変動した場 合、全体の動きに大きく影響する。このため、内閣府は変動をより緩 やかにするため、変化率が大幅となった場合、一定の増減幅の範囲内 に抑え込むため、いわゆる「刈り込み」という技術的な作業を行って いる。

今の手法適切か今後検討

内閣府の杉原茂景気統計部長は記者説明で一致指数について「仮 に刈り込みを行わなかった場合は、リーマン・ショック前までは戻っ ていない」と認めた上で、過大評価をしない方が良いかもしれないと 指摘した。また、現在の「景気循環の途中で計算方法を変えることは 良くない」と述べる一方、今の手法が適切かどうかは今後検討してい くと語った。

杉原氏によると、刈り込みを行わなかった場合、リーマン・ショ ックが起こった08年9月の水準(98.2)は14-15%程度低くなると いう。また、刈り込みは上昇よりも急激な低下時に適用される傾向が 多く、リーマン・ショック後はほとんどすべての構成指標が刈り込み の対象になったという。

新家氏は、仮にこうした技術的な修正が行われない場合には、直 近の底である09年3月の水準は60.1となり、公表値の84.5と比べて 約3割も低い水準になると指摘。その上で「正しく景気動向を把握す れば、景気の水準は依然としてかなり低い」との見方を示した。

--取材協力 Minh Bui,Sachiko Ishikawa Editor:Hitoshi Ozawa,Norihiko Kosaka

参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 伊藤辰雄 Tatsuo Ito +81-3-3201-3655 tito2@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net 東京 Chris Anstey +81-3-3201-7553   canstey@bloomberg.net

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE