3月8日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、 商品相場は次の通り。

◎外国為替市場

ニューヨーク外国為替市場では、円が大半の主要通貨に対して下 落。欧州各国が必要に応じてギリシャを救済するとの観測が広がり、 高利回り資産を選好する動きが強まった。

ユーロは円とドルに対して上昇していたが、上げ幅を縮めた。 ギリシャのパパンドレウ首相が「節度を知らぬ投機家」を抑制しない 限り、同国の財政危機が欧州域外に広がる恐れがあると述べたこと が嫌気された。円は南アフリカ・ランドに対し6週間ぶり安値、ニュ ージーランド(NZ)ドルに対しては2週間ぶり安値に下落。サルコ ジ仏大統領がユーロ圏はギリシャを支援する用意があると述べたこと に反応した。

フィッシャー・フランシス・ツリーズ・アンド・ワッツ(ニュー ヨーク)の資産運用担当者、デービッド・ティーン氏は「市場はギリ シャのニュースでの細かいプラス材料には反応しなくなり始めている」 と分析。「リスク面では、短期的に引き続きかなり前向きな傾向が見 られている」と指摘した。

ニューヨーク時間午後4時19分現在、円はユーロに対し前週末 比ほぼ変わらずの1ユーロ=123円3銭。一時0.7%安の123円 90銭を付けた。前週末の5日は123円ちょうど。対ドルでもこの 日、ほぼ横ばいの1ドル=90円26銭(前週末90円28銭)。ユ ーロの対ドル相場は1ユーロ=1.3630ドル(同1.3626ドル)。 一時は0.6%上昇し、1.3705ドルを付ける場面もあった。

円はNZドルに対して0.5%安の1NZドル=63円23銭(前 週末62円92銭)。一時63円58銭と、2月23日以来の安値を 付けた。対ランドでは1ランド=12円22銭。一時0.8%安の12 円28銭と6週間ぶり安値を付ける場面もあった。

ドミノ倒し

ギリシャのパパンドレウ首相は投機をめぐり、欧米諸国に対処を 呼び掛けた。

同首相は8日、ワシントンでの講演で、「目先の利益にしか価値 を置かず、広範な経済システムに与える影響をまったく無視するよう な投機家に対して、欧米は『もうたくさんだ』と声を上げる必要があ る」と言明。さらに、「ユーロ危機が続けばドミノ倒し的に影響が広 がり、大規模な財政赤字を抱える他国の借り入れコストを押し上げ、 世界的に債券価格や為替レートの大幅変動を引き起こすことになるだ ろう」と続けた。

円はランドやNZドルを含め主要16通貨中13通貨に対して値 下がり。サルコジ仏大統領は7日、ギリシャ政府が財政再建に苦慮し た場合はユーロ圏が同国を支援する用意があると述べた。

米国の支援

パパンドレウ首相は8日、クリントン米国務長官と会談。クリン トン長官は、ギリシャの財政赤字削減に向けた「厳しい」経済措置を 米国は支持すると述べた。

ギリシャ危機を受けたユーロの将来についての意見は割れている。 米連邦準備制度理事会(FRB) 元議長のポール・ボルカー氏は 6日、ユーロ圏にとって初めての重大な危機が比較的小さい国で起き たことは欧州当局にとって幸運だと語るとともに、ユーロが存続する と確信していると述べた。

ボルカー氏は「わたしはなおユーロを信じている」と明言。欧州 中央銀行(ECB)を後押しする統一した政府の欠如は「構造上の欠 陥」だとし、それが「恐らく幸運にも、対処不可能ではない資金調達 問題を抱えたギリシャのような小さい国によって試されている」と語 った。

一方、米ニュースレター「ガートマン・レター」のエディターと して知られるエコノミスト、デニス・ガートマン氏は、欧州の通貨統 合は1国がデフォルト(債務不履行)に陥れば、「あと2年もたない」 と指摘する。

ガートマン氏はブルームバーグラジオのインタビューで、「1国 がデフォルトに陥ったとたん、それで終わりだ」と言明。「EUとい う生地はほころんでいる」と述べた。

◎米国株式市場

米株式相場は総じて上昇。保険会社アメリカン・インターナショ ナル・グループ(AIG)が155億ドルでの事業部門売却を発表し たほか、携帯電話事業者スプリント・ネクステルが今後数四半期は売 上高の伸びを見込んでいると述べたのが手掛かりだった。一方、製薬 株は売られた。

AIGは上昇。同社は米国外で生命保険事業を手掛けるアメリ カン・ライフ・インシュアランス(アリコ)部門を生保メットライ フ に売却することで合意した。外食産業最大手マクドナルドは、 世界既存店売上高が市場予想を上回ったのが買い材料となり上昇 した。

S&P500種株価指数は過去7営業日で初めて下落。オバマ 大統領が医療改革の実現へ向け、世論や議会への説得攻勢を強めたの が嫌気された。ヘルスケア関連株が安い。

ニューヨーク証券取引所(NYSE)の騰落比率は6対5。S &P500種株価指数は前営業日比0.1%未満下落して1138.50。 ダウ工業株30種平均は13.68ドル(0.1%)下げて10552.52 ドル。ナスダック総合指数は0.3%上げて2332.21だった。

ジョンソン・イリントンのヒュー・ジョンソン会長兼最高経営 責任者(CEO)は、「AIGが立ち直り始めているという事実は 明るいニュースだ」と述べ、先週の経済統計は心強い内容だった。 今週はこの明るいトーンを損ねるような材料は見当たらない」と述 べた。

先行き不透明

資産運用会社リーマンのシニア・ポートフォリオマネジャー、 イーサン・アンダーソン氏は「今の市場で大きく賭けに出たい投資 家は多くない」と述べ、「市場参加者は材料を探しているが、買い 材料になりそうな要素と売り手掛かりになりそうな材料が多数混 在している。見通しを立てるには厳しい状況だ」と続けた。

株式投資信託はポートフォリオの現金比率を18年間で最も急 ペースで減らし、2007年以来の低水準に圧縮している。これは米 国株の指標S&P500種株価指数の上昇が鈍化する可能性を示唆 している。

米投資信託協会(ICI)のデータによると、1月の現金比率 は3.6%と、2009年1月の5.7%から低下し、ファンドマネジャ ーが保有する現金は1720億ドルに減少した。

AIGは上昇。メットライフの8日の発表によると、同社は 68億ドルを現金、87億ドルを資本証券などで支払う。メットライ フは5.1%高と、S&P500種の中で最大の値上がり率を記録し、 2008年10月以来の高値に上昇した。

スプリント・ネクステル、ファイザー

スプリント・ネクステルは3.7%高。ボブ・ブラスト最高財 務責任者(CFO)は投資家向け会議に出席し、引き続き「厳格な」 コスト管理を進めると語り、今後数四半期の売上高の伸びを見込ん でいると述べた。

マクドナルドは2.3%高。同社の2月世界既存店売上高は前 年同月比で4.8%増。ジェフリーズやロバート・W・ベアードなど 4社のアナリスト予想の平均では4%増だった。

製薬ファイザーや医療保険ユナイテッドヘルスが安い。オバマ 大統領はこの日フィラデルフィア地域を訪れ、医療改革案への支持 を訴えた。10日にはセントルイスを訪問する。

◎米国債市場

米国債市場では10年債が下落。利回りはほぼ2週間ぶりの高水 準となった。財務省は今週、総額740億ドルの国債入札を予定して いるが、現在の利回り水準では応札が鈍る可能性があるとの懸念から 売りが優勢になった。

ギリシャが財政赤字の補てんに苦慮すればユーロ圏は同国を救 済する用意があると、サルコジ仏大統領が発言。最も安全な資産と される米国債への需要が弱まった。米連邦公開市場委員会(FOM C)が9月までに利上げを実施するとの見方が強まったことも売り 材料。

グッゲンハイム・パートナーズの米金利トレーディング責任者、 トム・ディガロマ氏は「市場の関心は今週の供給に移りつつある。 入札に向けて売りが出ている」と述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク 時間午後3時9分現在、10年債利回りは前営業日比3ベーシスポイ ント(bp、1bp=0.01%)上昇の3.71%。一時は3.73%と 2月23日以来の高水準を付けた。同年債(表面利率3.625%、 2020年2月償還)価格は1/4下げて99 9/32。30年債利回り は4.67%と、前週末から3bp上昇。

2年債と10年債の利回り差はこの日、2.82ポイントとなった。 5日には期間が短めの国債を中心に売りが出たため、2.71ポイン トまで縮小した。過去最大は2月18日の2.94ポイント。

入札

財務省は9日に3年債(規模400億ドル)、10日に10年債 (同210億ドル)、11日に30年債(同130億ドル)の入札を実 施する。3年債の発行額は過去最高と同額。

スタイフェル・ニコラスのボルティモア部門で政府債トレーデ ィング責任者を務めるマーティン・ミッチェル氏は「今週は入札が 主な材料で、経済指標は二の次だ」と指摘した。

CMEグループの取引所の金利先物動向によると、米金融当局 が9月までに利上げを実施する確率は47%。1週間前は31%だっ た。

ニューヨーク連銀は、今後本格的にリバースレポを実施する際 には取引相手に国内のマネー・マーケット・ファンド(MMF)も 含めると発表した。リバースレポは金融システムから流動性を吸収 する手段。

ニューヨーク連銀の8日の発表文書によると、プライマリーデ ィーラー(政府証券公認ディーラー)18社との取引を通じて「見込 まれるリバースレポ効果よりもさらに流動性吸収力を強化させるため に」取引相手を拡大すると説明した。

ギリシャ危機

ユーロ圏はギリシャを救済する用意があると、サルコジ仏大統 領が欧州連合(EU)首脳の中では最も明確に発言したため、ギリ シャ国債が上昇した。ギリシャのパパンドレウ政権は先週、追加の 財政赤字削減措置を発表。50億ユーロ相当の国債も発行した。

サルコジ大統領は7日、パリでギリシャのパパンドレウ首相と 会談後、「明確にしたいのは、必要となれば、ユーロ圏諸国が約束 を果たすだろうということだ」と述べ、「この点に関して疑問はあ り得ない」と強調した。

◎金先物市場

ニューヨーク金先物相場は下落。ギリシャの債務問題が解決す るとの見方から、安全逃避先としての金への需要が弱まり、1カ月 ぶり大幅安となった。

フランスのサルコジ大統領は、ユーロ圏諸国はギリシャを救済 する用意があると発言した。ギリシャが自国の財政赤字を抑制でき るとの楽観的見方の高まりを背景に、クレジット・デフォルト・ス ワップ(CDS)市場では社債保証コストが7週間ぶり低水準とな った。

ラサール・フューチャーズ・グループ(シカゴ)のトレーダー、 マット・ジーマン氏は「ギリシャ情勢が落ち着けば、投資家は現物 資産を保有することにそれほど興味を示さなくなるかもしれない。 金は相場上昇の勢いを失いつつある」と語った。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先 物 4月限は前営業日比11.20ドル(1%)安の1オンス=1124 ドルで取引を終了した。中心限月の下げ幅としては2月4日以降で 最大。前週は週間ベースで1.5%上昇していた。

◎原油先物市場

ニューヨーク原油相場は上昇。金融商品よりも投資収益率が高 い原油や燃料先物に投資資金が流れたことで、8週間ぶり高値を付 けた。

IAFアドバイザーズ(ヒューストン)のマネジングディレク ター、カイル・クーパー氏は「実需に裏打ちされていなくても、投 資資金の流れにより原油はじきにバレル当たり85ドルに達する可 能性がある」と指摘。「多額の資金が原油市場に流れている」と述 べた。

原油は過去1年間で80%上昇。この間のダウ工業株30種平均 の上昇率は59%だった。この日は株とドルがともにもみ合いとな り、原油は1.66ドルのレンジ内で上げ下げを繰り返した。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物4月限は前 営業日比0.37ドル(0.45%)高の1バレル=81.87ドルと、終 値ベースでは1月11日以来の高値で取引を終了した。

◎欧州株式市場

欧州株式相場はほぼ変わらず。ヘルスケア関連株が下落したも のの小売株が買いを集め、全般はほぼ値を保った。

ドイツの小売り最大手メトロは上昇。米モルガン・スタンレー が同社株の投資判断を引き上げたのが好感された。英石油サービス のペトロファクも利益がアナリスト予想を上回り上昇した。英製薬 のアストラゼネカは、がんの試験治療薬の効果が競合他社に及ばな かったことが嫌気され値下がりした。

ストックス欧州600指数は前営業日比0.1%未満下げて

256.87で引けた。先週は週間ベースで4.6%上昇し、年初からの 下落分を埋めた。

オクトパス・インベストメンツ(ロンドン)のローザー・メン テル最高投資責任者(CIO)は「やや慎重にみている」と述べ、 「今年は昨年のように過度にリスクを容認する年ではない。当社は 若干、保守的なポジションを増やした」と述べた。

メトロ、ペトロファクなど

メトロは1.8%高。モルガンは同社の株式投資判断を「アン ダーウエート」から「イコールウエート」に引き下げた。

ペトロファクは4.1%高。同社は通期純利益が33%増の3億 5360 万ドル。ブルームバーグがまとめた利益予想の同3億3100 万ドルを上回った。

アストラゼネカは1.4%安。同社が結腸がん治療のために開 発していた治療薬の試験結果が、競合他社のスイス企業ロシュ・ホー ルディングの試験治療薬に及ばなかった。

◎欧州債券市場

欧州債市場ではギリシャ国債相場が上昇。これに対し、ドイツ 国債は先週値下がりした流れを引き継いだ。サルコジ仏大統領が必 要となれば、ユーロ圏諸国がギリシャを救済する用意があると発言 したことを背景に、比較的安全とみられる独国債に対する需要が細 った。

ギリシャ5年債とドイツ5年債のスプレッド(利回り格差)は 縮小し、6週間で最小となった。ギリシャのパパンドレウ首相は先 週のメルケル独首相との会談に続き、先日はサルコジ大統領と会談 した。独10年債利回りはこの日、過去1週間余りでの高水準を付 けた。同日発表された1月のドイツ鉱工業生産指数が前月比0.6% 上昇し、昨年12月の低下から反発したことが材料となった。

クレディ・アグリコルCIBの債券ストラテジスト、オーラン ド・グリーン氏(ロンドン在勤)は「サルコジ大統領の発言は最も 積極的なものだ。フランスはユーロ圏諸国の団結促進に非常に意欲 的な一方で、メルケル首相はかなり慎重だ」と分析。仏大統領発言 が「ギリシャ債へのプラス要因だった。ドイツ国債への支援がやや 弱まり始める可能性がある」と語った。

ロンドン時間午後4時半現在、ギリシャの2年債利回りは前週 末比8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の4.69%。 5年債利回りは16bp低下し5.82%。

一方、独10年債利回りは3.17%と、前週末を1bp上回った。 一時は3.18%まで上げ、先月23日以来の高水準となった。同国債 (表面利率3.25%、2020年1月償還)の価格は0.11ポイント 下げ100.65。2年債利回りは1%となっている。

◎英国債市場

英国債市場では10年債相場が下落し、同利回りは1週間ぶり 高水準を付けた。英金融サービス機構(FSA)が金融機関に証券 積み増しを義務付ける規制案導入を先送りする方針を明らかにした ため、将来の国債需要が圧迫されるとの見方から売りが出た。

英10年債のドイツ10年債に対するプレミアム(上乗せ利回 り)が拡大した。今年の英総選挙に伴う議会審議のこう着で、財政 赤字削減に向けた取り組みが後退するとの懸念が背景にある。英国 政府は今週、2022年償還の国債(9日)など、合わせて39億ポン ド相当の国債入札を実施する。

ロンドン時間午後4時半現在、10年債利回りは前週末比3ベ ーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の4.09%。一時は

4.11%まで上げる場面もあった。同国債(表面利率3.75%)価格 は0.26ポイント下げ97.32。2年債利回りは1.30%と、前週末 からほぼ変わらず。

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参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: ニューヨーク 森 茂生 Shigeki Mori +1-212-617-6107 smori1@bloomberg.net  Editor: ニューヨーク 名子 知子 Tomoko Nago-Kern +1-212-617-2407 tnagokern@bloomberg.net Editor: Akiko Nishimae, Shigeru Chiba 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net

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