富士通:東証に詳細説明、「辞任理由」訂正で-株は大幅安

システム構築の国内最大手富士通は 野副州旦氏が昨秋に社長を辞任した理由を「病気療養」から「好ましく ない風評のある企業グループ」との関係に訂正したことなどについて、 8日に東京証券取引所に詳細説明を行った。

富士通の山田悦朗広報IR室長が、ブルームバーグ・ニュースの電 話取材で語った。同氏によると東証からは、野副氏が辞任取り消しなど を文書で求めたことが表面化した5日以降に問い合わせを受けたが、理 由の訂正と、野副氏の相談役解任を6日に機関決定するまで回答を控え ていた。「今後も必要に応じて説明を続ける」という。

8日の富士通株価はイメージダウンを嫌気し反落。前週末比4.5% 安と、昨年11月18日の5.5%以来、約4カ月半ぶりの下落率を記録し た。終値は同16円(2.7%)安の568円。逆に日経平均株価終値は同 216円96銭(2.1%)高の1万585円92銭と、1月22日以来の高値。

東証の広報担当、三村聡氏は富士通が約半年後に報道を受けて辞任 理由を訂正した事情を踏まえ、適時開示の点で問題が認められれば、口 頭で注意を行うか、改善策を文書にして提出するよう求める可能性があ る、としている。

トヨタアセットマネジメントの浜崎優チーフストラテジストは、今 回の件が「ガバナンス(企業統治)への不信感につながっている。問題 が長引くようだと、経営判断に影響が出てくる」と指摘した。

みずほインべスターズ証券の石田雄一アナリストは、当初の辞任理 由が病気療養だった裏に、会社と野副氏の双方を傷つけまいとする「企 業の論理」があったと推察。半年後に「理由が明確に出て、あだになっ た」ことは、海外事業の強化などを盛り込んだ中期計画に沿って「グロ ーバルで戦おうという時に、よろしくない」と評した。

食い違い

6日の発表によると富士通は、野副氏と長年親交のある代表取締役 を抱え「好ましくない風評」のある企業グループを同氏の推進する事業 から外すよう求めたが、野副氏は関係を続けた。昨年9月25日の取締 役会前に経営陣が弁明を求めたところ、野副氏は親交のある人物を企業 グループと切り離して考え富士通の事業に参画させていたが、トップと してそのような認識は通用しないと理解し、辞任を選択した、という。

一方で、野副氏側の畑敬弁護士が8日、ブルームバーグの電話取材 に答えたところでは昨年9月の取締役会前に一部役員が、野副氏が反社 会的勢力と付き合っているとして「辞任しなければ富士通が上場廃止に なる。辞任しなければ解任する」と強要。野副氏は「そのようなことは ない」と反論したが、弁明の機会は与えられなかった。

畑氏によると野副氏側は辞任取り消しだけでなく、富士通のガバナ ンスの問題を検証するよう求めている。

富士通では08年にも、倫理上の問題で役員が辞任した例がある。 同年4月に小野敏彦副社長が突然退任。当時の黒川博昭社長が同6月の 定時株主総会で説明したところでは、これは手形偽造を行っていた財団 の理事長への就任が発覚したのを受け辞任を要求し、本人も承諾した結 果だった。その際、黒川氏は「解任ではない」と述べていた。

--取材協力:小野満剛、北中杏奈、中島三佳子、河野敏

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