東京外為:ドルと円が下落、世界景気の不透明感緩和-リスク選好

東京外国為替市場では、ドルと円が 下落。米雇用情勢やギリシャの財政赤字問題に対する懸念が緩和したこ とから、リスク許容度の回復期待を背景に調達通貨のドルと円に売り圧 力がかかった。

JPモルガン・チェース銀行為替資金本部の棚瀬順哉シニアFXス トラテジストは、基本的にギリシャは自力での財政再建が可能とみられ 、「不透明感が払しょくされつつある」と指摘。米雇用関連指標の強含 みもあり、「リスク志向の改善」を受けて、週明けの東京市場もドルと 円が売られやすい流れを引き継いでいるとしている。

ユーロ・円相場は一時1ユーロ=123円85銭と、2月23日以来 の水準まで円安が進行。ユーロ・ドル相場は午後に一時1ユーロ=

1.3692ドルと、ドルが2営業日ぶりの安値を付けている。

一方、ドル・円相場は午前に一時1ドル=90円68銭と、2月23 日以来の円安値を更新。しかし、その後は対他通貨でのドル売りに押さ れ、ドル高・円安の進行は限定的となり、午後は90円台前半で取引さ れた。

棚瀬氏は、ドル・円相場について、ドルも円も弱く、方向感が出な いという「リスク志向が改善する際の典型的な動き」になっていると説 明している。

米雇用情勢の悪化懸念緩和

米国で5日に発表された2月の雇用統計では、非農業部門の雇用者 数の減少幅が市場の予想を下回った。これを受けて、前週末の米株式市 場では主要3株価指数がそろって上昇。株価の予想変動率の指標である シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX 指数)は2008年5月以来の水準まで低下しており、投資家の間でリス ク資産を敬遠する姿勢が緩和する可能性が示されている。

この日のアジア市場は、株価がほぼ全面高の展開となり、投資家の リスク志向が下支えされた。

東海東京証券金融市場部トレーディンググループマネージャー、二 瓶洋氏は、米雇用統計は強めの内容で、株価の安定推移を背景にリスク 志向が戻っていると説明。また、金利面でも米長期金利が上昇する一方 、日本では日銀の追加金融緩和観測が浮上しており、「全般的に円の弱 含みを支援する材料が多い」と指摘している。

一方、フランスのサルコジ大統領は、7日にパリで行ったギリシャ のパパンドレウ首相との会談後に、「明確にしたいのは、必要となれば 、ユーロ圏諸国が約束を果たすだろうということだ」と述べ、「この点 に関して疑問はあり得ない」と強調。ギリシャは現状では支援を必要と しないものの「われわれには方策があり、用意と決意がある」と語った 。

三菱UFJ信託銀行資金為替部の中路邦彦グループマネージャーは 、米雇用統計の結果が良好だったほか、ギリシャの財政赤字問題につい ても、フランスなどが支援する姿勢を示しており、世界景気に関する不 透明要因が「少しずつはけてきている」と指摘。目先は「ややリスク資 産への投資をしやすい環境になっている」として、円買い持ち高の解消 に伴う円売りが進みやすいと説明している。

中国経済指標を見極め

半面、中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は6日の記者会見で 、「為替相場メカニズムはダイナミックなプロセスであり、中国政府の 全般的な戦略と政策に従って実行される必要がある」と述べた上で、危 機的状況に対応するために特別な「短期的」人民元政策が必要になる可 能性もあるとの認識を示した。

人民銀の蘇寧副総裁も、緩やかで長期的な人民元の上昇は中国にプ ラスだとの見解を示している。

さらに、人民銀は、適度に緩和的な金融政策と「かなり十分」な流 動性を維持する方針も明らかにしており、金融・為替政策両面で中国の 動向が注目されている。

そうした中、週後半にかけては中国で2月の小売売上高や鉱工業生 産などの経済指標が発表される。

JPモルガン・チェース銀の棚瀬氏は、中国の指標について、悪い 結果であれば、リスク資産向け投資の収縮につながる可能性がある一方 で、良い内容となった場合も、短期的に金融引き締め観測が強まり、中 国株が下落する懸念もあると予想。「一時的な株価の調整を警戒する必 要がある」とみている。

ただ、棚瀬氏は、中国の指標が強含みとなった場合、「長い目でみ れば、リスク志向の改善につながる」として、金融引き締め観測を受け た株価の下落は長続きしないと指摘。予想外の指標悪化とならなければ 、今週は足元のリスク選好的な動きを妨げるような材料は見込みにくい としている。

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