日本株は約1カ月半ぶり高値、輸出など景気敏感主導-日米統計好感

東京株式相場は連騰し、日経平均株 価、TOPIXとも約1カ月半ぶりの高値水準を回復。日米で景気改 善を示す統計が発表されたほか、為替の円安進行も支援材料となり、 自動車や電機、精密機器など輸出関連株が上昇。鉄鋼や海運、商社と いった世界景気に敏感な業種が総じて買われた。

日経平均株価終値は前週末比216円96銭(2.1%)高の1万585 円92銭と、1月22日以来の高値水準。きょうの高値で引けたTOP IXは同16.50ポイント(1.8%)高の927.31と、同25日来の水準を 回復。東証1部33業種は、空運、電気・ガスを除く31業種が上げた。

トヨタアセットマネジメントの浜崎優チーフストラテジストは、 「米国の雇用情勢は緩やかながら着実に回復し、非農業部門雇用者数 は4-6月中に前月比で増加に転じる」と予想。一方で、金融政策の 出口戦略が米国で本格的に議論され始めるのは、雇用増加傾向が定着 する年後半と見ており、「そのころには景気の持続的な回復に伴う『良 い金利上昇』を株式投資家は前向きに評価する」と指摘した。

米労働省が5日に発表した2月の雇用統計によると、非農業部門 雇用者数は前月比3万6000人減った。減少幅は市場予想の中央値(6 万8000人)よりも小幅だった。市場予想平均で9.8%への上昇が見込 まれていた失業率も、前月比横ばいの9.7%。雇用統計を受け、同日 の米株式市場ではナスダック総合株価指数が約1年半ぶり高値を付け た。

みずほ証券の北岡智哉シニア・ストラテジストによると、米雇用 統計は「米東部の大雪といった天候要因で事前に下振れ懸念が強まっ ていただけに、出てきた結果が底堅かったことは、世界景気に敏感な 日本株にはプラス」という。

景気ウォッチャーも後押し

8日の東京外国為替市場では1ドル=90円台半ば、1ユーロ= 123円台後半まで円安が進行。米経済の回復期待と円安で収益の先行 き警戒感が和らぎ、日本の輸出関連株に投資資金が向かった。日経平 均、TOPIXのプラス寄与度上位はトヨタ自動車、ホンダ、キヤノ ン、ファナック、京セラ、TDK、ソニー、信越化学工業、日立建機 など。

この日の日経平均は、節目の1万500円台での堅調な値動きが終 始持続。日本銀行の追加金融緩和観測、円高一服から急伸した前週末 の良い流れを引き継いだ。そうした中で、午後2時に発表された2月 の景気ウォッチャー(街角景気)調査が3カ月連続で改善。内閣府は 「景気は厳しいながらも下げ止まっている」と判断を上方修正し、国 内経済の回復期待を背景に「取引終盤に先物への大口買い注文が断続 的に入った」と、立花証券の平野憲一執行役員は指摘していた。

東洋証券情報部の檜和田浩昭ストラテジストによると、日経平均 が直近の戻り高値(2月22日の1万449円)を上抜け、先高観が出て きたという。「前週末からの上昇ピッチの速さや、テクニカル分析上で 節目となる一目均衡表の先行スパンの雲の上限(1万563円)近辺ま で上げ、いったん戻り売りも出やすい水準」(同氏)だったが、午後中 ごろのもみ合いの後、終盤は再度上昇幅を拡大した。

恐怖指数も1年で最低に

また、投資家の相場への恐怖心理を示すシカゴ・オプション取引 所(CBOE)のボラティリティー指数(VIX指数)が、「楽観と悲 観の境目である20を割り込む水準まで下がるなど、各種信用リスク指 標が楽観に傾きつつある」と、三菱UFJ証券投資情報部の山岸永幸 ストラテジストは指摘していた。同氏によると、世界経済の先行きに 悲観的な見方から売り持ち高を抱えていた市場参加者が、「ショートカ バー(買い戻し)に動き始めている」という。VIX指数は5日、過 去1年間で最低となる17.42まで下がった。

東証1部の売買高は概算で18億9408万株、売買代金は1兆3508 億円。代金は株価指数先物・オプションの特別清算値(SQ)算出日 を除けば、2月9日(1兆3685億円)以来の多さだった。値上がり銘 柄数は1225、値下がり313。

JTや電通高い、富士通は売り

個別では、クレディ・スイス証券が投資判断を「中立」から「ア ウトパフォーム」に上げたJTが買われ、大和証券キャピタル・マー ケッツが判断を「3(中立)」から「2(アウトパフォーム)」に上げ た高砂熱学工業は連騰。2月度の単体売上高が1年4カ月ぶりに前年 同月水準を上回った電通も高い。

半面、6日に前社長の野副州旦氏が昨秋辞任した理由を訂正する とともに、野副氏を相談役から解任した富士通が売られ、日経平均と TOPIXのマイナス寄与度1位。富士通については、「ガバナンス(企 業統治)の不信感につながっている。経営陣が一つの方向にないこと を露呈した格好で、社内対立問題が長引くようだと経営判断にも影響 が出てくる」と、トヨタアセットの浜崎氏は警戒感を示していた。

このほか、既存株主に優先的に新株予約権を割り当てる手法で資 本を増強するタカラレーベンは、1株価値の希薄化懸念から急落。魚 価の低迷や漁獲量の減少で、2010年4月期の連結業績予想を減額した 日東製網、10年3月期の連結最終利益が従来予想を33%下回る見通し のメガネトップも安い。

国内新興3市場は、ジャスダック指数が前日比0.3%高の51.63、 東証マザーズ指数は0.8%高の420.38、大証ヘラクレス指数は0.6% 高の580.00とそろって小幅高。個別では、セプテーニ・ホールディン グス、イリソ電子工業、アドバンスト・メディアのほか、限定商品投 入効果などによる既存店売上高の回復で、今期利益予想を増額修正ス ターバックスコーヒージャパンが上昇。子会社が扱う映画「ハート・ ロッカー」が米アカデミー賞の作品賞と監督賞を受賞、今後の収益貢 献が見込まれたブロードメディアも高い。

半面、アセット・マネジャーズ・ホールディングス、ジェイアイ エヌ、大戸屋、エスクリが下落した。

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