3月5日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、 商品相場は次の通り。

◎外国為替市場

ニューヨーク外国為替市場ではドルが対円で上昇。午前に発表さ れた米雇用者減少幅がエコノミスト予想を下回ったことから、市場参 加者の間では米連邦準備制度理事会(FRB)が景気の回復に応じて 金利引き上げの方向に近づく可能性があるとの見方が広がった。

ユーロは対ドルで上昇。ユーロ圏財務相会合(ユーログループ) のユンケル議長(ルクセンブルク首相兼国庫相)がギリシャの財政赤 字追加削減策は「堅実」との認識を示したのが背景。円は南アフリ カ・ランドとカナダ・ドルに対して下落。米雇用統計を受けて、高リ スク資産への需要が高まった。

為替取引を手がけるテンパス・コンサルティングのストラテジス ト、ジョン・ドイル氏は、「米労働市場は安定しつつある」と述べ、 「統計内容は今後の金利見通しを支え、対円でのドルを押し上げる」 と指摘した。

ニューヨーク時間午後2時1分現在、ドルは対円で1.6%上昇 して1ドル=90円44銭(前日は89円2銭)。ユーロは対ドルで

0.2%値上がりして1ユーロ=1.3612ドル。前日は1.3581ドル だった。円は対ユーロで1.2%値下がりして、1ユーロ=123円 10銭。

金利先物市場動向によると、FRBが11月の会合までに少なく とも0.25ポイント利上げする確率は59%。前日は53%だった。

雇用統計とカナダ・ドル

米雇用統計を手掛かりにカナダ・ドルは上昇。週間ベースで円に 対して3カ月ぶりの大幅高を記録した。

米労働省が発表した2月の雇用統計によると、非農業部門雇用者 数(事業所調査、季節調整済み)は前月比3万6000人減少した。 ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミストの予想中央値は前 月比6万8000人減少だった。

UBSの為替ストラテジスト、ブライアン・キム氏は「カナダ・ ドルは米経済と結び付きが深いことから、この雇用統計によって恩恵 を受けるはずだ」と述べた。

ギリシャ問題

ユンケル議長がギリシャの赤字削減追加措置を前向きに受け止め る見解を示したのが好感され、ユーロは対ドルで上昇した。

ユンケル議長はギリシャのパパンドレウ首相との会談後にルクセ ンブルクで記者団に対し、「金融市場も同じように、ギリシャの財政 再建策を堅実なものと判断することを望む」と表明。それにより「金 融市場のすべての根拠のない行動が終結することを期待する」と述べ た。

ギリシャ議会は5日、48億ユーロ規模の賃金削減、増税を盛り 込んだ赤字削減追加策を承認した。

ウェルズ・ファーゴの為替ストラテジスト、ヴァシーリ・セレブ リアコフ氏(ニューヨーク在勤)は「過去数日間でギリシャ問題に対 する懸念が和らいだように見受けられる」と述べ、「ネガティブでは ない材料がユーロ安を防ぐ」と続けた。

この日ドルは対円で一時、昨年12月11日以来で最大となる

1.76%高まで買い進まれる場面もあった。2月の米雇用統計による と、失業率は前月と同じ9.7%だった。

◎米国株式市場

米株式相場は上昇。S&P500種株価指数は6営業日続伸とな った。2月の米雇用統計で非農業部門雇用者数の純減幅が市場予想を 下回ったことで、景気回復が力強さを増しつつあるとの見方が強まっ た。

アメリカン・エキスプレス(アメックス)とボーイングが高い。 雇用統計によれば、2月の雇用者数は前月比3万6000人減少した。 ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミストの予想中央値は6 万8000人減少だった。アルコアはダウ工業株30種平均の構成銘 柄中で3番目の上げ。金属価格の上昇が材料視された。また原油相場 が7週間ぶり高値となったことを手掛かりに、S&P500種のエネ ルギー株指数を構成する40銘柄すべてが値上がりした。

LPLファイナンシャルのエコノミスト、ジョン・キャナリー氏 は「労働市場は健全さが増しつつあり、今後は雇用者数の増加が見ら れそうだ」と指摘。「これにより、市場では景気の改善が一段と明確 で、自律的回復になっているとの見方が広がるようになるだろう」と 述べた。

S&P500種株価指数は前日比1.4%高の1138.70。ダウ工 業株30種平均は前日比122.06ドル(1.2%)上げて10566.20 ドル。前週末比ではS&P500種は3.1%、ダウは2.3%それぞれ 上昇した。

2008年10月の高値

S&P600種小型株指数は1.9%上昇し、08年10月以来の高 値を付けた。週間では5.4%高と、5カ月で最大の上げ。

ニューヨーク証券取引所の騰落比率は9対1。雇用統計によれば、 2月の失業率は9.7%と、前月と変わらず。景気回復は昨年から始 まっているものの、いまだ雇用に持続的な増加は見られず、家計が消 費を抑えるなか回復ペースが鈍化するリスクが高まっている。

MFCグローバル・インベストメント(トロント)で資産運用に 携わるクリス・ヘンセン氏は、「雇用統計の数字は正しい方向に向か っている」と指摘。「市場は雇用の状況を見て、『いずれ良くなると いうことは分かっている』と判断している」と述べた。

「緩和的」政策

シカゴ連銀のエバンス総裁は4日、金融政策の引き締めを支持す るには、経済が「極めて持続的」に成長しているという確証が必要だ と言明。セントルイス連銀のブラード総裁は、「緩和的」な政策を続 けるべきとの認識を示した。

またアラン・クルーガー米財務次官補(経済政策担当)は、労働 市場が「なお圧力に直面しているが、その程度は緩和されつつある」 と述べた。

JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ(BOA)、 ウェルズ・ファーゴが上昇。S&P500種の金融株指数は主要10 業種中で最大の上げとなった。米連邦準備制度理事会(FRB)が発 表した1月の消費者信用残高は、市場予想に反して増加した。増加は 1年ぶり。

アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)は

5.1%高。同社は、再保険会社トランスアトランティック・ホールデ ィングスの持ち株の残りを売却すると発表した。

上場する銅生産会社では最大手の米フリーポート・マクモラン・ カッパー・アンド・ゴールドは2.4%高の80.71ドル。アルコア は3.1%上昇し、13.84ドルだった。

◎米国債市場

米国債市場では2年債が下落し、年初来では最長となる3日続落。 この日発表された米雇用統計で、雇用者の純減幅が市場予想を下回っ たことが手掛かりになった。

2年債利回りは2週間ぶりの大幅上昇。米労働省が発表した2月 の雇用統計によると、非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済 み)は前月比3万6000人減少した。ブルームバーグ・ニュースが まとめたエコノミストの予想中央値は前月比6万8000人減少だっ た。市場参加者らは、米金融当局による利上げの確率が高まったとの 見方を強めた。ギリシャ議会は同国政府が打ち出した最新の財政赤字 削減策を承認した。

シティグループ・グローバル・マーケッツの先物部門の金利スト ラテジスト、ジェームズ・コリンズ氏は「いずれ実施となる引き締め に関するうわさが、この日はここ数日間に比べ一段と多く聞かれた」 と指摘。「景気回復がかなり定着したとの見方に基づいている」と述 べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後4時31分現在、2年債利回りは前日比4ベーシスポイント (bp、1bp=0.01%)上昇の0.90%。一時は0.93%と2月 19日以来の高水準を付ける場面もあった。週間では8bp上昇。同 年債(表面利率0.875%、2012年2月償還)価格は3/32下げて 99 31/32。

10年債利回りは3.68%。一時は10bp上昇する場面もあっ た。週間では7bp上昇。

FTNファイナンシャルの機関債調査責任者、ジム・ボーゲル氏 は「当社は本日、利回り0.95%水準で2年債の買いを強く推奨、神 経質な投資家以外には0.89%でも安心して買いを勧めている」とし、 「3月16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の売りの目標は

0.82%だ」と述べた。

利上げ確率

雇用統計発表後のフェデラルファンド(FF)金利先物相場の動 向によれば、米連邦公開市場委員会(FOMC)が9月の会合までに 少なくとも0.25ポイントの利上げを実施する確率は44%。統計発 表前の同確率は38%だった。1カ月前は43%。政策金利は08年 12月以降0-0.25%に設定されている。

キャボット・マネー・マネジメントの債券ポートフォリオマネジ ャー、ウィリアム・ラーキン氏は「ゼロ金利というのはおかしな話だ。 恐慌のリスクはなくなったからだ」と述べた。

ミラー・タバクの主任経済ストラテジスト、ダン・グリーンハウ ス氏は顧客向けリポートで、FOMCが今月の会合でFF金利を「長 期にわたり異例な低水準に」維持するとの見通しを示す確率は50% だと記述した。

インフレ期待

消費者物価の見通しの指標となる10年債と同年限のインフレ連 動債(TIPS)の利回り格差は2.23ポイントに拡大した。1週 間前は2.16ポイントだった。

この日の雇用統計で、家計調査に基づく2月の失業率は9.7% と、前月と変わらず。エコノミストの予想中央値は9.8%だった。

アラン・クルーガー米財務次官補(経済政策担当)は、米経済が 依然として圧迫されていると指摘。「労働市場はなお重圧にさらされ ている。ただこうした圧力は和らいでいる」と述べた。

◎金先物市場

ニューヨーク金先物相場は上昇。通貨保有に代わる投資先として の金への需要が増し、週間ベースでも上昇した。

主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)の ドル指数はもみ合い。ユーロの対ドル相場は一時0.4%下げた後で 値を戻した。ギリシャの財政問題をめぐり、同国のパパンドレウ首相 と欧州連合(EU)の各国首脳との会談が始まったことが背景。ユー ロ建て金相場は過去最高に達した。

フューチャーパス・トレーディングのトレーダー、フランク・レ シュ氏は、「投資家は価値を維持できる通貨を保有したがっている」 と指摘。「金は今や、一種のクロス通貨となっている。国際通貨は金 だ」と語った。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 4月限は前日比2.10ドル(0.2%)高の1オンス=1135.20ド ルで取引を終了。週間ベースでは1.5%上昇した。

◎原油先物市場

ニューヨーク原油相場は上昇。2月の米非農業部門雇用者数の純 減幅が予想を下回ったことが手掛かり。

原油は一時2.3%高。米労働省が発表した2月の雇用統計によ ると、非農業部門雇用者数は前月比3万6000人減少した。エコノ ミストの予想中央値は前月比6万8000人減少だった。米エネルギ ー省エネルギー情報局(EIA)が3日に発表したリポートによると、 過去4週間平均の米国の燃料使用量は1930万バレルと、前年同期 から3%増加した。

MFグローバル(ニューヨーク)のエネルギー担当バイスプレジ デント、マイク・フィッツパトリック氏は「雇用統計の内容は予想と 比べればずっと良かった。市場の反応がそれほどでなかったのが意外 だ」と語った。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物4月限は前日 比1.29ドル(1.61%)安の1バレル=81.50ドルで終了。一時 は82.07ドルと、1月12日以来の高値を付けた。週間ベースでは

2.3%上昇。

◎欧州株式市場

欧州株式相場は6営業日続伸。過去6カ月で最長の上昇局面とな った。2月の米雇用統計で非農業部門雇用者数の純減幅が市場予想を 下回ったほか、欧州連合(EU)がギリシャ救済の非常時対策を取り まとめていることが明らかになり、買いが膨らんだ。

銅相場の上昇を受けてリオ・ティントなど鉱業株が高い。ユナイ テッド・ビジネス・メディアは昨年7月以降で最大の上げ。税金問題 の和解費用がアナリスト予想を下回ったことが好感された。低カロリ ー甘味料「スプレンダ」を製造する英テート・アンド・ライルは、ク レディ・スイス・グループが投資判断を引き上げたことに反応し、買 い進まれた。

ストックス欧州600指数は前日比1.6%高の257.09で終了 した。

CPRアセット・マネジメント(パリ)のファンドマネジャー、 バファ・アーマディ氏は米雇用統計について、「明らかに良い数字だ」 と指摘。「株式市場にとっては非常にプラスのサインだ。労働人口が 増えているのに失業率が一定ということは、雇用が創出されているこ とを意味する」と述べた。

リオ・ティントは2.7%高の3701ペンス。ストックス欧州 600指数の資源株指数は、構成する19業種中で2番目に大きい上 げとなった。

ユナイテッド・ビジネス・メディアは6.6%高の494ペンスと、 上昇率は昨年7月31日以来最大。

テート・アンド・ライルは3%上昇し、455.5ペンス。クレデ ィ・スイスは、投資判断を「ニュートラル」から「アウトパフォーム」 に引き上げた。

◎欧州債券市場

欧州債市場ではドイツ国債が下落。10年債利回りは1週間余り の最高となった。1月のドイツの製造業新規受注が大幅増加したほか、 2月の米国の非農業部門雇用者数の純減幅が予想よりも小幅だったこ とが背景にある。

独2年債も下落。独10年債は週間ベースでは過去4週間で3週 目の下げとなった。ギリシャ政府が財政赤字の補てんに向けた資金調 達に失敗するとの懸念が緩和したことがきっかけ。ギリシャの50億 ユーロ相当の新発10年債は初日の取引で上昇した。

WestLBの債券ストラテジスト、ジョン・デービーズ氏(ロ ンドン在勤)は「米雇用統計は予想よりもやや強い内容だったほか、 失業率は恐らくピークに達したようだ」と述べ、「これが見通しを一 段と明るくした。ドイツ債が突然売られたのも驚きではない。市場は ギリシャに対する楽観を高めている」と語った。

ロンドン時間午後5時現在、独10年債利回りは前日比3ベーシ スポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の3.15%となった。一 時は先月24日以来の高水準となる3.17%まで上げた。週間ベース では5bpの上昇。同国債(表面利率3.25%、2020年1月償還) 価格は前日比0.24ポイント下げ100.82。2年債利回りは1%と、 前日を2bp上回っている。

米労働省の5日の発表によると、2月の雇用者数は前月比3万 6000人減少した。ブルームバーグがまとめたエコノミスト82人の 予想中央値では6万8000人減少だった。一方、ドイツ経済技術省 によると、1月の製造業新規受注指数は前月比4.3%上昇した。エ コノミスト予想では1.3%上昇だった。

◎英国債市場

英国債相場は下落。米雇用統計で非農業部門雇用者数の純減幅が 予想よりも小幅だったことが手掛かりになった。

米労働省の5日の発表によると、2月の雇用者数は前月比3万 6000人減少した。ブルームバーグがまとめたエコノミスト82人 の予想中央値では6万8000人減少だった。

ロイヤルバンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS) の英国担当金利ストラテジスト、ジェイソン・シンプソン氏は「米 雇用統計は極めて力強い内容だったことから、英国債が若干売られ た」と語った。

ロンドン時間午後4時33分現在、10年債利回りは前日比6ベ ーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の4.06%。同国債 (表面利率3.75%、2019年9月償還)価格は0.46ポイント下げ

97.56。2年債利回りは7bp低下の1.12%となった。

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