【日本株週間展望】一進一退、日米欧イベント前に様子見-先物主導

3月第2週(8-12日)の日本株 相場は、一進一退が予想される。翌週に日米欧で重要イベントが相次 ぐため、投資家は様子見姿勢を強める見通し。一方で、週末に株価指 数先物・オプション3月限の特別清算値(SQ)算出を控え、SQ絡 みの取引から先物主導で上下に振れる場面は増えそうだ。

フォルティス・アセットマネジメントの清川鉉徳シニア・ファン ド・マネジャーは、「ギリシャ問題の行方は誰にも分からない。為替の 円高進行懸念もあり、輸出関連株を中心に現状水準より上値で買うこ とはできない」と話している。当面の投資戦略は、「来期増益モメンタ ム(勢い)の強い銘柄への押し目買いで対応したい」という。

第1週の日経平均株価終値は、前週末比242円(2.4%)高の1万 368円と4週連続の上昇。週初から方向感がなく、もみ合う展開が続 いたが、日本銀行の追加金融緩和観測が広がった週末5日に急伸した。

日経平均の日足チャートを見ると、25日、75日、200日の各移動 平均線がいずれも1万円台前半で収れんしつつあり、上下どちらにも 行きにくい投資家の気迷い状態が読める。ただ、5日の大幅高により 平均株価が各移動平均線を上回ってきたことで、「チャート分析上は 『三角保ち合い』からの上放れが期待できる」と、立花証券の平野憲 一執行役員は指摘する。

もっとも、「相場が本格的に動意づくには、売買が膨らむ必要があ る」と平野氏。第1週は東証1部の売買代金平均が1兆1347億円と、 今年に入ってからの平均(1兆3900億円)を2割弱下回る。第2週は 経済統計やイベントが豊富な1週と3週に挟まれ、「空白感から模様眺 め気分がさらに強まる。売買水準は一段と低迷する可能性が高い」と 大和投資信託の長野吉納シニアストラテジストは見ている。

中国への注目一段と

第3週は、16日に欧州連合(EU)がギリシャの財政赤字削減策 (行程表)を点検する財務相理事会があるほか、米国では同日に米連 邦準備制度理事会(FRB)が連邦公開市場委員会(FOMC)会合 を開催、日本でも16-17日に日本銀行が金融政策決定会合を開く。

日米欧で目立った材料に乏しい中、中国では全国人民代表大会(全 人代)が5日に開幕した。会期は10日間で、景気刺激策の中身や政策 変更の有無に市場関係者の関心が高い。温家宝首相は先月27日、適度 に緩和的な金融政策を維持する、との考えをあらためて表明。同時に、 経済成長の持続と成長モデルの調整、インフレ期待の制御の要素が絡 み、今年は同国にとって難しい年になるとの認識を示した。

中国は、昨年10-12月期の国内総生産(GDP)が前年同期比

10.7%増となるなど景気が過熱する中、金融政策を危機モードから 徐々に正常化させる過程に入り始めたところ。全人代で、不動産融資 に対する監視強化の具体策などが打ち出される可能性はあるが、「金融 引き締めの方向性は事前に広く想定されているだけに、全人代での政 策議論が世界的なマネーの変調をもたらす事態になるとは考えにくい」 と、フォルティスアセットの清川氏は言う。

中国ではマクロ経済統計の発表も目白押し。10日に2月の貿易収 支、11日には2月の鉱工業生産、小売売上高、消費者物価指数などが 予定されている。金融引き締め加速によるマーケットへの悪影響の懸 念が薄れつつあるだけに、「全人代で新たな景気刺激策が示されたり、 マクロ統計で中国経済の強さが確認できれば、投資家は素直に前向き な反応をし、日本株にもプラスに働く」と、清川氏は予想する。

一方、12日は株価指数先物・オプションのSQ算出日。3カ月に 1度のメジャーSQで注目度は高く、現段階では期先物へのロールオ ーバー(乗り換え)が順調に進んでいるとの声は多い。ただ、材料難 で売買の減少が見込まれ、SQ絡みの持ち高調整に仕掛け的な売買が 加わると、「先物主導で上下に振れやすい」(みずほ証券エクイティ調 査部の三浦豊シニアテクニカルアナリスト)場面も出てきそうだ。

機械受注、住宅版エコポイント

3月2週の経済統計は、国内では8日に2月の景気ウォッチャー 調査、9日に1月の景気動向指数と2月の工作機械受注、10日に1月 の機械受注、11日には昨年10-12月期のGDP2次速報値が発表さ れる予定だ。米国では11日に1月の貿易収支、12日に2月の小売売 上高と3月のミシガン大学消費者信頼感指数など。欧州では、トリシ ェ欧州中央銀行(ECB)総裁の講演が10日に予定されている。

国内では8日から住宅版エコポイント制度の申請受付が始まるこ とから、「分かりやすい材料株として、住宅リフォーム関連銘柄が人気 化するかもしれない」と、東洋証券の土田祐也ストラテジストは予想。 同証では、関連銘柄として大和ハウス工業や積水ハウス、TOTO、 ニチアス、住生活グループなどに注目する。12日に三鬼商事が発表す る2月のオフィス空室状況は、不動産株に影響を与えるとみられる。

【市場関係者の当面の日本株見通し】
●岩井証券イワイリサーチセンター長の有沢正一氏
  「日経平均は三角保ち合いの状況。25日、75日の移動平均線が1
万200円近辺に収れんされ、煮詰まっている。上か下かどちらかに動
き出したら大きく放れる可能性が高く、週末のSQに合わせ先物主導
の展開を予想する。海外勢が先物を買うかどうかは、為替の水準によ
るところが大きい。米雇用統計、中国全人代、ギリシャ問題などを受
けて為替相場がどう動くか、神経質な相場展開も想定される」

●ちばぎんアセットマネジメントの奥村義弘調査部長
  「日経平均で1万-1万500円のレンジを予想。国内では設備投
資関連の指標が発表されるが、腰折れを示すような内容にはならない
だろう。デフレ阻止の日銀金融緩和観測を受けてリスクマネーが戻っ
てくるなら、素材など景気敏感株が注目され、銀行や不動産株も戻り
を試す可能性がある。ただ、観測だけでただちに円安方向に動くわけ
ではない。本格的に株価が上昇するのは、企業業績の改善を織り込む
3月中旬以降となり、4月末には1万1500円を想定している」

●東海東京調査センターの中井裕幸専務
  「4日に、昨年8月来となるドル金利と円金利の逆転が起こった。
待ちに待った大逆転だ。日銀が量的緩和のメッセージを出せば、円高
是正につながる。量的金融緩和は借り手がいないため、景気には効か
ないが、円高対策になる。ようやくそのタイミングがきた。日本株が
上昇しなかった最大の背景は円高だったが、環境は変わりつつある。
08年、09年も3月のSQ前後で相場は反転、今回もそうなりそう」

--取材協力:鷺池秀樹、長谷川敏郎、常冨浩太郎 Editor:Makiko Asai、Shintaro Inkyo

参考画面: 記事についての記者への問い合わせ先: 東京  河野敏 Satoshi Kawano +81-3-3201-2483 skawano1@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net 香港 Darren Boey +852-2977-6646 dboey@bloomberg.net

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE