日本株は急反発、日銀緩和観測や円高一服-輸出や不動産まで幅広く

東京株式相場は急反発。日本銀行が 追加の金融緩和策の検討に入った、との一部報道や米国の新規失業保険 申請の減少、円高一服と好材料が重なり、輸出や素材関連、海運など景 気敏感業種を中心に幅広く買われた。資金流動性向上の恩恵を受けると 期待された不動産の上昇も目立った。

日経平均株価の終値は前日比223円24銭(2.2%)高の1万368円 96銭、TOPIXは13.17ポイント(1.5%)高の910.81。東証1部 33業種は海運や倉庫・運輸、不動産、電機、建設など32業種が上げ、 下落は電気・ガスの1業種のみ。値上がり銘柄は1459、値下がり128 と、全体の87%が高い。

みずほ投信投資顧問の柏原延行執行役員は、「国内のデフレは加速 している兆しがあり、日銀が早期に追加金融緩和を行う可能性は高い。 実行されれば、円高阻止という道筋を通じた景気対策になる」との見方 を示した。

悪化が予想される米雇用統計発表を日本時間今晩に控えながら、金 融緩和観測を支えに終始堅調だった。日経平均は投資家の短期的な売買 コストを示す5日移動平均線が25日線を下から上抜ける「ミニ・ゴー ルデンクロス」が実現した。「決算発表、日銀金融緩和、政府の成長戦 略と、今後は株価の下落より上昇を期待できるニュースが多くなる。底 値確認で株価は上がりやすくなる」と、みずほ投信の柏原氏は言う。

日銀について5日付の日本経済新聞朝刊は、期間が1年以下の短期 金利の一段の低下を促すことを軸に、4月にかけ資金供給手段の拡大な どを議論する方向としていると報道。米新規失業保険申請の減少を受け ドル高・円安が進んだきのうのニューヨーク市場の流れを引き継いだ東 京外国為替相場は、金融緩和期待から円が弱含みで推移した。

野村証券の木内登英チーフエコノミストによると、「実際には新型 オペの資金供給強化策が実施されても短期金利の低下余地は小さく、政 策の実効性は低い」が、追加緩和策の実施は円安・株高傾向を生じさせ る可能性があり、「金融市場の変化を通じた経済への好影響は無視し得 ない」という。

大和証券キャピタル・マーケッツが4日にまとめた上場主要企業の 業績予想では、今期は前期比12%の経常増益、来期が47%増益の見通 し。為替が前提条件(対ドル90円、対ユーロ125円)から円高に推移 していたため、株価は大幅増益を素直に織り込めなかったが、「金融緩 和で円高修正となれば、来期5割弱の増益を4月にかけて徐々に織り込 んでいくことになる」とちばぎんアセットマネジメントの奥村義弘調査 部長は予想していた。

幅広い業種が上昇した中で、不動産や建設、その他金融などが東証 1部の業種別上昇率上位に入った。水戸証券の吉井豊投資情報部長は 「短期金利の低下は不動産やその他金融など有利子負債の多い業種にと ってプラス材料になる」と指摘する。

外国人買いの記憶も

需給面では、日銀が昨年12月、政策金利の0.1%で期間3カ月の 資金を10兆円供給することを決定した際、デフレ対策を評価した外国 人の日本株買い越しが12月と1月にそれぞれ月間で1兆円超に拡大し た経緯がある。

メリルリンチ日本証券の吉川雅幸エコノミストによると、「日本企 業はアジアで潤っているが、外国人投資家が恐れているのは円高。その 懸念がなくなれば、外国人の日本株評価がポジティブになってくる」と いう。そうした期待も追い風となり、東証1部の売買代金は概算1兆 2710億円と2週間ぶりの高水準となった。売買高は同17億4718万株 と6営業日ぶりの多さ。

HISが大幅高、電気・ガス下げ

個別銘柄・業種では、野村証券が首都圏空港の拡大でシェア上昇が 期待できるとし、投資判断を「2(中立)」から「1(買い)」へ引き 上げたエイチ・アイ・エスが急騰。今期業績が従来予想を上回る見込み のマスプロ電工は3日ぶりに急反発し、クロマグロ禁輸観測で養殖マグ ロの需要拡大と飼料事業の伸長が期待された林兼産業は3日続伸。ばら 積み船の国際運賃市況が4日に大幅高したことで、川崎汽船など海運株 が軒並み高。海運指数は東証33業種で上昇率首位だった。

半面、相場全体の先高期待が高まる中、東京電力や東京ガスなど電 気・ガス株は下げ、東証33業種で唯一の下落業種となった。バリュエ ーション手法の変更などから、三菱UFJ証券が「2(アウトパフォー ム)」から「4(アンダーパフォーム)」へ投資評価を2段階引き下げ た昭和シェル石油は続落。東証1部値下がり率上位では、日本調剤が6 日ぶり反落したほか、古河スカイが3日ぶり反落となるなど、直近上昇 銘柄が目立った。

新興市場も高い。ジャスダック指数の終値は前日比1.3%高の

51.49と続伸。東証マザーズ指数は1.1%高の417.15、大証ヘラクレス 指数は0.7%高の576.39とそれぞれ4日ぶり反発した。

個別の材料銘柄では、発行済み株式数の13%に当たる自己株の消 却と、1対2の株式分割を発表したシーティーエスがこの日も大幅高。 いちよし経済研究所が投資判断の「A(買い)」を強調したビットアイ ルは値幅制限いっぱいのストップ高となった。売買代金上位では、ユビ キタス、サイバーエージェント、ブロードバンドタワーが上げた。

半面、アニコムホールディングスが上場3日目も下げ止まらず、急 落。売買代金上位では、第一精工、ドリコム、日本通信が下げた。きょ う東証マザーズに新規上場したエスクリは、公募価格650円を54%上 回る1001円で初値を付けたが、その後一時ストップ安まで売られた。

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