債券先物が年初来高値、限月交代控えた買い-緩和観測で短中期に需要

債券市場では先物相場が年初来高値 を更新した。来週の中心限月交代を見据えて売り方の買い戻しが膨ら んだもよう。また、日銀の追加金融緩和観測を受けて現物買いも優勢 になり、2年や5年債利回りは今年の最低水準での取引となった。

岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長は、市場参加者 が想定する金融緩和継続の時間軸が延びたことが、これまで様子見し ていた投資家の背中を押したと説明。「来週以降も国債償還に伴う資金 消化の買いがにじみ出る展開が続きそう」との見方も示した。

東京先物市場の中心限月3月物は前日比8銭高い140円9銭で始 まり、年初来の日中高値を1週間ぶりに更新した。直後にこの日の安 値140円2銭をつけたが、その後はじり高に推移して一時は140円27 銭まで上昇。午後は米雇用統計発表を控えて140円20銭付近でのもみ 合いとなり、結局は18銭高の140円19銭で取引を終えた。

先物市場では11日に3月物の最終売買日を迎えるため、中心限月 交代を意識した売買が活発化した。3月物の未決済残高の建玉は6兆 円程度を残す中、2月後半以降に相場水準が切り上がったことで売り 方の買い戻しが入りやすい地合いが続いたもようだ。

大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥国内債券運用第2グループリー ダーは、追加緩和の思惑などをきっかけに証券会社から10年債入札に 絡むヘッジ売りを解消する動きが出たといい、「これまでの抵抗ライン であった140円を上抜けたことで一段と買い戻された」と話した。

追加緩和観測で短中期買い

また、追加的の金融緩和観測が広がったことを受けて、現物市場 では金融政策変更の影響を受けやすい短中期ゾーンで買いが優勢とな った。この日、新発2年物の290回債利回りは1ベーシスポイント(bp) 低い0.14%で取引されたほか、5年物の87回債は2bp低下の0.46% をつけて、いずれも昨年12月30日以来の水準に下がっている。

市場では、銀行などの買いが前日から短中期ゾーンに膨らんだと みられている。BNPパリバ証券の山脇貴史シニア債券ストラテジス トは、米国経済に対する楽観見通しが弱まっているうえ、国内では追 加緩和期待が広がったことが買い材料になったと指摘。その上で、「4 -6月期に金利が上昇することへの警戒感はあっても、大量償還を控 えてカネ余りが続く銀行などは待ったなしの状況だ」とみていた。

日銀は期間1年以下の短期金利の一段の低下を促すことを軸に、 資金供給手段の拡充などを議論する方向で、4月にも具体策を詰める 可能性があると5日付の日本経済新聞朝刊が伝えた。

10年債利回りは1.305%

現物市場で長期金利の指標とされる新発10年物の306回債利回り は0.5bp低い1.325%で開始。日中はじりじりと金利水準を下げてお り、午後3時前後からは2.5bp低下の1.305%で取引されている。

2日実施の306回債入札で順調な結果が示されたものの、その後 に投資家の買い意欲はやや盛り上がりに欠けており、前日には短中期 債と比べて10年ゾーンの金利低下の勢いは鈍かった。

しかし、新発5年債利回りが0.4%台半ばに差しかかる水準まで 低下したことで、市場では10年ゾーンの出遅れを意識する見方も強ま った。岡三アセットの山田氏は、銀行などは年度末に向けて資金消化 に動かざるを得ないが、5年以下の金利水準がこれだけ下がると買い づらいのは確かだといい、「来週にかけて10年債利回りは再び1.2% 台を探る展開ではないか」と予想する。

米雇用情勢を見極め

この日の午後には米雇用統計を見極めようとの雰囲気から売買は 手控えられたが、市場では週明け以降も相場は堅調地合いが継続する との指摘が出ていた。

岡三アセットの山田氏は、雇用情勢が悪化した場合に大雪の影響 がどの程度なのか判断するには、来月に3月分の数字が発表されるの を待たねばならないといい、「当面は米国の景況感が改善しにくいこと が国内でも債券買いを促しやすくする」という。

一方、米国の雇用情勢が市場で警戒されるほど悪くなかった場合 についても、BNPパリバ証の山脇氏は、「仮に米国で金利が上昇して これに国内債市場も連られるようなら、投資家にとって押し目買いの 好機となる」との見方を示した。

2月の米雇用統計に関する市場予想によると、非農業部門雇用者 数は前月比6.8万人減少と、1月の同2万人減から減少幅が拡大する 見通し。失業率は前月の9.7%から9.8%に悪化するとみられる。

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