3月4日の海外株式・債券・為替・商品市場(Update2)

欧米市場の株式、債券、為替、 商品相場は次の通り。

◎外国為替市場

ニューヨーク外国為替市場ではユーロが対ドルで下落。欧州中央 銀行(ECB)のトリシェ総裁は、国際通貨基金(IMF)がギリシ ャを救済するのは「適切ではない」との見解を示した。

ドルは対円で上昇、ここ2週間で最大の値上がりだった。午前に 発表された週間失業保険申請件数が前週比で減少したのが好感された。 ユーロは主要16通貨のうち12通貨に対して下落。トリシェ総裁は この日の定例政策委員会で政策金利の据え置きを決定、一部金融支援 策については継続を決めた。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの外国為替調査部門バイスプレ ジデント、メグ・ブラウン氏(ニューヨーク在勤)は、「IMFの行 動は別の意味のシグナルを送ることになる」と語り、「欧州連合(E U)は自分たちで問題を解決しようとしている」と続けた。

ニューヨーク時間午後4時11分現在、ユーロは対ドルで

0.8%下落して1ユーロ=1.3583ドル。前日は1.3697ドルだっ た。この日、対円では1ユーロ=120円99銭(前日は121円17 銭)に下げた。ドルは円に対して2月17日以来で最大となる

0.7%上げて1ドル=89円8銭。前日は88円47銭。

欧州政策金利

BNYメロンの為替グループのマネジングディレクター、サマル ジット・シャンカー氏(ボストン在勤)は、「欧州財政懸念はECB の機動性を低下させ、政策決定での足かせとなっている」と述べ、 「市場参加者はECBがギリシャ支援の可能性の1つを排除したこと をユーロの悪材料と受け止めた」と続けた。

ECBは4日、フランクフルトで定例政策委員会を開き、短期金 利の調節手段である短期買いオペ(売り戻し条件付き債券買いオペ= レポ)の最低応札金利を過去最低の1%に据え置くことを決めた。ブ ルームバーグ・ニュースが実施したエコノミスト調査でも、52人全 員が据え置きを予想していた。

ECBはまた、固定金利での無制限の資金供給を、7日物と1カ 月物について少なくとも10月12日まで継続する一方で、定例の3 カ月物資金のオペを、危機前と同じ変動金利での入札方式に戻す。

ソシエテ・ジェネラルの為替ストラテジスト、デービッド・デド ゥッシュ氏は「流動性供給策は主にタカ派的な行動と受け止められる。 IMFに関する言及がなければ、これはユーロにとっての強材料だっ ただろう」と指摘。財政悪化に直面しているギリシャなどにとって 「資金供給手段の1つとなり得る方策にECBは反対している」と述 べた。

ユーロは過去3カ月間でドルに対して8.7%下落。市場参加者 がギリシャなど一部欧州諸国による財政赤字削減への取り組みに懸念 を抱いているのが背景。

米失業保険申請件数

米労働省が発表した2月27日に終わった1週間の新規失業保険 申請件数(季節調整済み)は46万9000件と、前週の49万8000 件(速報値49万6000件)から2万9000件減少した。ブルーム バーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値は47万件だ った。

みずほコーポレート銀行の米通貨セールス担当責任者、ファビア ン・エリアソン氏(ニューヨーク在勤)は「失業保険申請件数が予想 よりも少なかったことから、ドルに買いが入った」と述べた。

◎米国株式市場

米国株式相場は上昇。S&P500種株価指数は5営業日続伸と なった。投資判断の引き上げに反応したほか、小売り企業の売上高増 加や新規失業保険申請の減少、労働生産性の上昇が好感された。

ウォルト・ディズニーが高い。バンク・オブ・アメリカ(BOA) は投資判断を「買い」に指定した。コカ・コーラとボーイングは、U BSによる投資判断引き上げを受けて上昇。アバクロンビー&フィッ チ(アバクロ)など小売株も買い進まれた。アバクロの2月の売上高 は市場予想を上回った。

ただ、原油相場の下落を受けてエネルギー株が下げたことで、相 場全体の上値は抑えられた。

フィラデルフィア・トラスト(フィラデルフィア)の最高投資責 任者(CIO)、リチャード・シーシェル氏はこの日の経済指標につ いて、「こうした数字を市場は好感するかもしれない」と指摘。「景 気の回復継続で鍵となるのは雇用だ。雇用が良くなれば住宅市場にも プラスとなる。必ずしも素晴らしい数字が出るとは限らないが、改善 はしてきている」と述べた。

S&P500種株価指数は前日比0.4%高の1122.97と、6週 間ぶり高値。ダウ工業株30種平均は47.38ドル(0.5%)上昇し

10444.14ドル。ニューヨーク証券取引所の騰落比率は4対3。

この日は小売りやメディア、総合金融が上昇をけん引した。27 日に終わった1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は46 万9000件と、前週の49万8000件(速報値49万6000件)か ら2万9000件減少した。また10-12月(第4四半期)の労働生 産性は前期比年率6.9%上昇した。

雇用統計

チャンネル・キャピタルのチーフ投資ストラテジスト、ダグ・ロ バーツ氏は「今回のこれらの指標はほぼ予想通りで、5日発表の雇用 統計で予想から大きく外れた数値が出る可能性が低いことを意味して いる」と指摘した。

ブルームバーグ・ニュースがエコノミスト62人を対象に実施し た調査の中央値では、2月の非農業部門雇用者数は6万5000人減 少と見込まれている(前月2万人減)。失業率は9.8%に上昇(前 月9.7%)すると予想されている。

レナーなど住宅建設株の下げが影響し、この日の相場は一時もみ 合う展開となった。全米不動産業者協会(NAR)が4日に発表した 1月の中古住宅販売成約指数(季節調整後)は前月比7.6%低下し た。

オムニベスト・グループ(ニュージャージー州プリンストン)の 最高投資責任者(CIO)、トーマス・ソワニック氏は「中古住宅販 売の数字は市場には驚きだったが、これまでもこの統計は数字が大き く変動していた」と指摘。「1月はいくらか天候要因が関係している と思う」と述べた。

エネルギー株、ディズニー、アバクロ

サウスウエスタン・エナジーは4.1%安。S&P500種を構成 するエネルギー関連の40銘柄中、32銘柄が下落した。ドル上昇で 原油相場が値下がりしたことが嫌気された。

ディズニーは2.9%高の32.57ドル。コカ・コーラは1%上 昇し54.47ドル。ボーイングは1.7%高の65.55ドル。

アバクロは15%高と急伸し、41.52ドル。S&P500種構成 銘柄中で最大の上げとなった。

◎米国債市場

米国債市場では2年債が下落。利回りは1週間ぶりの水準に上昇 した。5日に発表される米雇用統計で雇用者の純減が従来予想よりも 小幅になるとの観測が強まった。

2年債利回りは2日連続で上昇した。ギリシャの財政赤字削減 能力に対する懸念が和らいだことも背景にある。この日の米経済指標 では、新規失業保険申請件数がなお高水準ながら、前週を下回った。 米財務省は来週の入札で中長期債740億ドルを発行すると明らかに した。米セントルイス連銀のブラード総裁は、米連邦準備制度理事会 (FRB)が現在実施している前例のない金融刺激策について、米景 気が回復の初期段階にあることを踏まえ、適切な措置だとの認識を示 した。

ジェフリーズ(ニューヨーク)のチーフ金融エコノミスト、ウォ ード・マッカーシー氏は「市場参加者はどうにか切り抜けている。今 後もこうした調子が続くだろう」と指摘。「雇用統計を控えて過剰な リスクを負いかねないポジションは避けるべきだ。特に、大雪の影響 で統計データにゆがみが出る度合いが未知数のときはなおさらだ」と 述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後4時32分現在、2年債利回りは前日比5ベーシスポイント (bp、1bp=0.01%)上昇の0.86%。同年債(表面利率

0.875%、2012年2月償還)価格は3/32下げて100 1/32。 10年債利回りは2bp低下の3.60%。

2年債と10年債の利回り格差は2.74ポイントと、2月5日 以来の水準に縮小した。

雇用統計

ブルームバーグがまとめたエコノミスト81人の予想中央値によ ると、米労働省が発表する2月の雇用統計で非農業部門雇用者数は前 月比6万5000人の減少。1月は2万人減だった。2月の失業率は

9.8%への上昇が見込まれている。1月は9.7%だった。

米財務省発表によると、9日実施の3年債入札規模は400億ド ル、10日の10年債入札が210億ドル、11日の30年債入札が 130億ドルとなる。

FRBは「引き続き傍観者」

米労働省が発表した2009年第4四半期の非農業部門労働生産 性指数(確定値)は前期比年率6.9%上昇と、速報値の6.2%上昇 から上方修正された。一方、第4四半期の単位労働コスト指数(単位 当たりの生産に要する労働コスト)は5.9%低下と、速報の4.4% 低下からマイナス幅が拡大した。09年通年では1.7%低下した。

債券ファンド最大手、米パシフィック・インベストメント・マネ ジメント(PIMCO)の市場ストラテジストでポートフォリオマネ ジャーのアンソニー・クレセンツィ氏は顧客向けリポートで、「ほか の多くのデータと照らし合わせると、今回の労働生産性の上昇は米雇 用の周期的回復を示している」と指摘、一方「構造的な問題が回復の 度合いを抑制するだろう」と述べた。その上で、FRBは「景気回復 が引き続き脆弱(ぜいじゃく)であるため、傍観者の立場を維持する だろう。今年の利上げはないだろう」と続けた。

バーナンキFRB議長は先月の議会証言で、労働市場のたるみや 低インフレを背景にFOMCがフェデラルファンド(FF)金利誘導 目標を「長期にわたり」0-0.25%のレンジに維持するだろうとの 見通しを示した。

ブラード、エバンス総裁

ブラード総裁はミネソタ州セントクラウドでの講演後の質疑応答 で、「現時点の景気は回復の初期段階にあるため、われわれは非常に 緩和的な措置を維持したいと考えている」と述べた。

米シカゴ連銀のエバンス総裁は講演で、2007年12月に始まっ た景気後退が「狭いテクニカルな意味合いで終了したようだ」と発言。 「現在の極めて緩和的な金融政策をあまりに長期間にわたって継続す れば、いずれインフレ圧力の高まりを招くだろう」と述べ、「金融政 策に対して受け身でいるわけにはいかない」と語った。

◎金先物市場

ニューヨーク金先物相場は下落。ドルの上昇を背景に代替投資先 としての金への投資需要が弱まり、下げ幅は過去1週間余りで最大と なった。

ドルの対ユーロ相場は一時1.1%高。欧州中央銀行(ECB) が景気テコ入れを目的とした刺激策の一部を継続すると決定したほか、 政策金利を1%に据え置いたことが背景。2009年には金は24%値 上がりし、ユーロはドルに対して2.5%上昇した。

プロスペクター・アセット・マネジメントのレナード・カプラン 社長は「ドルの騰勢は強まるばかりだ」と指摘。「ギリシャの財政問 題は消えてなくならず、ECBは苦境に立たされていると誰もが考え 始めている。こうした状況で投資家はドルに戻り、これが金を押し下 げるだろう」と語った。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 4月限は前日比10.20ドル(0.9%)安の1オンス=1133.10ド ルで取引を終了。下げ幅は2月23日以来で最大となった。

◎原油先物市場

ニューヨーク原油相場は下落。ドルの対ユーロ相場が2週間ぶり 大幅高となったことで、代替投資先としての商品の魅力が薄れた。

欧州中央銀行(ECB)が政策金利を過去最低に据え置いたほか、 景気テコ入れを目的とした刺激策の一部を継続すると決定したことを 受け、原油は一時1.5%安まで売られた。1月の米中古住宅販売成 約指数が市場予想に反して低下したことも弱材料となった。

BNPパリバ・コモディティ・フューチャーズのエネルギー担当 シニアアナリスト、トム・ベンツ氏は「ドルは騰勢を強めており、こ れがエネルギー相場に影響を与えている」と指摘。「住宅販売統計が 弱かったことも相場の押し下げ要因となっているようだ」と語った。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物4月限は前日 比0.66ドル(0.82%)安の1バレル=80.21ドルで終了。3日 には80.87ドルと、終値としては1月11日以来の高値を付けた。

◎欧州株式市場

欧州株式相場は5日続伸。世界最大の建設会社、仏ヴァンシの予 想を上回る決算や、オランダの小売り大手ロイヤル・アホルドの増配 発表を好感した。

ヴァンシが2.6%値上がりしたほか、アホルドも昨年5月以来 の大幅高となった。英資産運用会社のシュローダーは10カ月ぶりの 大幅高。同社の昨年の資金純流入額が過去最高だったことが好感され た。一方、世界最大のコンテナ船輸送会社を所有するデンマークのA Pモラー・マースクは下落し、4カ月ぶりの大幅安。戦後初めて通期 の赤字を計上したことが嫌気された。

ストックス欧州600指数は前日比0.2%高の253.00で引け た。一時は年初来の下げを消す場面もあったが、1月の米中古住宅販 売成約指数が予想外に低下したことが示されると上げ幅を縮小した。

ロベコ・アセット・マネジメントの投資ストラテジスト、ロナル ド・ドエスウィク氏は、「この日の米中古住宅販売成約指数のように、 ここ数週間は一部にやや軟調な経済指標がみられたが、基調は引き続 き上向きであることに間違いはない」と指摘。「欧州に関する限り、 なお景気回復の段階にある」と述べた。

ヴァンシが高い

ヴァンシは2009年通期の利益がアナリスト予想を上回ったほ か、買収効果で売上高が今年は増加するとの見通しを示した。

ロイヤル・アホルドは4.8%高。同社は配当を28%引き上げた ほか、5億ユーロ相当の自社株買いの計画を明らかにした。

シュローダーは6%高。一方、APモラー・マースクは3.9% 下げた。

◎欧州債券市場

欧州債市場ではドイツ10年債が今週初めて上昇。欧州中央銀行 (ECB)が政策金利を過去最低に据え置いたほか、景気テコ入れを 目的とした刺激策の一部を継続することを決めたことが背景にある。

ドイツ10年債利回りは先月末に付けた5カ月ぶり低水準まで2 ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)未満となった。ECB はこの日、固定金利での無制限の資金供給を、7日物と1カ月物につ いては少なくとも10月12日まで継続することを明らかにした。ト リシェ総裁は、戦後最悪のリセッション(景気後退)からの回復に関 し「起伏のある状態が続く」と語った。ECBは昨年5月に主要政策 金利を1%に引き下げた。

モニュメント・セキュリティーズ(ロンドン)のストラテジスト、 マーク・オスワルド氏は「ユーロ圏の金利上昇は予想されない。流動 性供給が10月まで継続するという事実がそう示唆している」と述べ、 「ドイツ国債には悪い材料は何もない。好調な状態が続くだろう」と 続けた。

ロンドン時間午後5時現在、独10年債利回りは3.11%と、前 日を2bp下回っている。先月26日には昨年10月初め以来の低水 準となる3.09%を付けた。同国債(表面利率3.25%、2020年1 月償還)価格は0.18ポイント上げ101.11。2年債利回りは

0.97%。

一方、ギリシャ10年債は前日比3bp上昇の6.12%。ドイツ 10年債とのスプレッド(利回り格差)は5bp拡大し301bpとな った。

◎英国債市場

英国債相場は上昇。イングランド銀行(英中央銀行)の金融政策 委員会(MPC)はこの日、政策金利を過去最低の0.5%に据え置 いた。

ブルームバーグがまとめたエコノミスト60人を対象にした調査 でも全員が据え置きを予想していた。MPCはまた、資産買い取りプ ログラムを現状の2000億ポンド(約26兆円7800億円)で維持 することも決めた。

2年債利回りは前日比3ベーシスポイント(bp、1bp=

0.01%)低下の1.05%と、今週に入ってから最大の下げとなった。 10年債利回りも3bp低下の4%。

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