償還資金が長期債に流入か、金利面の妙味高い-米雇用統計前の買いも

債券市場では長期債への資金流入を 予想する見方が増えている。国債大量償還を迎えることで余裕資金の 膨らむ投資家が、来年度以降の運用を見据えて金利水準面から妙味の ある長期債の債券残高を積み増すとみられるためだ。

みずほ証券の野地慎シニアマーケットアナリストは、国債大量償 還を迎える3月は債券の投資環境が非常に良好だとした上で、「5年債 の0.5%前後の利回り水準は投資妙味が乏しく、投資家は長期ゾーン に資金を振り向けざるをえなくなる」とみている。

長期金利の指標である新発10年国債利回りは、昨年11月半ば以 降に1.3%を挟むボックス相場を形成している。今年に入ると投資家 が売買手控えの姿勢を一段と強めたことから、1、2月の値幅は1.29 -1.38%とわずか9ベーシスポイント(bp)に収束した。

しかし、3月は国債償還を迎えることから、需給がひっ迫して長 期金利が低下方向に動意づくと見込む向きが多い。トヨタアセットマ ネジメントの深代潤チーフファンドマネジャーは、米国公定歩合引き 上げ後も金利は小動きだったため、押し目買いを狙う投資家は動くに 動けなかったといい、「今後は投資資金があぶり出されて、償還対応の 買いにめどがつく月央くらいまで金利はじり安歩調をたどる」と読む。

5年ゾーンの妙味乏しい

日銀の低金利政策が長期化するとの観測が強いため、本来であれ ば価格変動リスクの小さい短中期ゾーンの債券購入によって安定的な 収益確保を狙える。しかし、5年債利回りは0.5%付近と2005年以来 の水準で推移しており、金利面で妙味が乏しい。ブルームバーグ端末 によると、5年-10年の利回り格差(スプレッド)は、年初以降に80bp 前後と05年3月以来のレベルを維持している。こうしたことが長期債 志向を強めそうだ。

3月には10兆円超の国債償還を迎える。利付国債の発行額から償 還額を引いたネット供給額について、三菱UFJ証券の石井純チーフ 債券ストラテジストは、3月は約3.9兆円の償還超過が見込まれてい ると指摘。1月は5.5兆円、2月は5.9兆円の供給超過だったので、 荷もたれ感が軽減するとともに、貸し出しが落ち込む銀行などの運用 難が強まっていると分析する。

こうした中、財務省が2日に実施した10年国債入札は好調な結果 となり、債券市場の需給の良さが示された。日興コーディアル証券の 山田聡チーフクオンツアナリストは、金利が今後も横ばい圏で推移す ると予想するのであれば、債券を購入してキャリー(金利収入)確保 を狙う投資家が増えるといい、「今回の入札好調は証券会社が潜在需要 を見越して在庫確保に動いた結果が示された」と分析する。

10年物の306回債の入札結果では、最低落札価格は100円60銭 となり、市場予想100円59銭を小幅ながら上回った。また、平均落札 価格は100円60銭に決まり、入札における好不調の目安されるテール は5カ月ぶり低水準となる2銭に縮小した。

米雇用統計前の駆け込み買いも

さらに、市場参加者の注目度が高い米雇用統計の発表を控えて、 投資家から駆け込み的な買いが膨らむ可能性も指摘されている。

岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長は、償還に伴う 実需は時間の経過とともに膨らむとしながらも、雇用統計が弱かった 場合は米国の金利低下などを通じて週明けの国内市場でも金利を押し 下げると予想する。このため、「債券を持たざるリスクを意識する投資 家は、雇用統計発表前でも買いに動く可能性がある」とみている。

2月の米雇用統計に関して、ブルームバーグ調査では、非農業部 門雇用者数は前月比6.5万人減少と、1月の同2万人減から減少幅が 拡大する見通し。失業率は前月の9.7%から9.8%に悪化するとみられ る。

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