女性・子供の人命救助、時間的余裕ある時だけ-タイタニック実証研究

人命救助はまず「女性と子ども」か ら-。この美徳が実際に行動に移されるには、ストレス下で攻撃する か逃げるかの行動を引き起こす闘争・逃走反応を克服する時間ある時 に限られることが、沈没した客船「タイタニック」号と「ルシタニア」 号それぞれの惨事の研究で明らかになった。

両惨事の記録を分析した経済学者らによると、沈没するまで2時 間40分かかったタイタニック号の乗客は生き残ろうとする利己的な 反応を乗り越えるのに十分な時間があり、女性や子どもを助けた。し かし、18分で沈んでしまったルシタニア号では、われ先にという行動 が大半を占めた。研究結果は米国科学アカデミーの機関誌、米国科学 アカデミー紀要(PNAS、オンライン版)に1日、掲載された。

研究論文の執筆者らによると、18世紀のアダム・スミス以来、経 済学者は人類が自己本位の行動を取ると考えてきたが、最近の研究で は感情や社会的な目標、公正さが決断に影響を及ぼす可能性が示され てきた。タイタニックとルシタニアの分析で、社会的に望ましい行動 を成し遂げるには時間が必要であることが分かった。

執筆者で豪クイーンズランド工科大学のベンノ・トーグラー教授 (経済学)は「極限の状況下では時間的な圧力が大きな要因になる」 と電子メールで指摘。「あまり時間がないと、短期的な逃走反応が支配 的となり、適者生存となる。時間が十分にあると、社会規範が頭をも たげる」と説明した。

1912年4月14日に大西洋で氷山に衝突して沈没したタイタニッ ク号の乗客・乗務員は合わせて2207人。1517人が死亡した。英国の 規則で、乗客数ではなく、船体の大きさに応じて救命ボートの数が決 められていたため、乗船していた半数の人の分しかボートを積んでい なかった。その3年後、第1次世界大戦中にアイルランド沖でドイツ の潜水艦Uボートから警告なく攻撃を受けたルシタニア号では、1949 人中1198人が死亡。船体が片側にひどく傾き、救命ボートを降ろすの は困難だった。研究によると、どちらの客船でも女性と子どもをまず 助けるよう船長が命じ、タイタニックではそれが守られた。

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