UBSやシティへの出資でやけど、政府系ファンドの投資回収は道遠し

政府系ファンド(SWF)のシン ガポール政府投資公社(GIC)は、2007年にサブプライムローン損 失で苦しんでいたスイスの銀行UBSへの出資を3日で決定した。一 方、110億スイス・フラン(約9100億円)に上ったその際の投資を回 収するには10年かかりそうだ。

1000億ドル(約8兆9000億円)超を運用するGICは3月5日 の時点でUBSの筆頭株主となるが、これに伴い約56億スイス・フラ ンの含み損を抱える。UBS株価はGICが取得した証券の転換価格 の3分の1になっているからだ。

信用危機のさなかに欧米の金融機関に出資して損失を被っている 政府系ファンドはGICばかりではない。ブルームバーグのデータに よれば、それらのファンドが実施した690億ドル余りの投資で、現時 点での実現損失および評価損は計200億ドルに上っている。金融シス テムの健全性維持に協力した挙句に一部の投資の「塩漬け」に追い込 まれた政府系ファンドは、次回の危機時には銀行救済に慎重になるか もしれない。

コーネル大学のチャールズ・ホワイトヘッド教授(金融法)は「一 度やけどをすると二度慎重になるということわざのようなもの」とし て、「次の危機の時に弱体化した銀行が政府系ファンドの扉をたたいて も、もう返事はないだろう」と話した。

一部の投資は利益につながった。米政府が銀行の資本のうち普通 株を増やすことを要請したため、米銀シティグループは優先株保有者 に、普通株への転換で有利な条件を提示しなければならなかった。こ の結果、クウェートの政府系ファンドとGICは40億ドルの利益を得 たが、当初合意の条件のままならば90億ドルの損失が出るところだっ た。

一方、優先株の形で出資しなかったアブダビ投資庁(ADIA) はこの恩恵にあずかれず、取得したシティの出資証券を今月から株式 に転換するのに伴い48億ドルの含み損に直面する。転換価格は現在の シティ株価の10倍に近い。

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