企業金融オペの残高、1年ぶり低水準-終了控え資金調達手段シフト

日本銀行が金融危機対応で導入した 企業金融支援特別オペでは、金融機関の利用残高が約1年ぶりの水準 まで減少した。同オペは今月で終了するため、今後の資金調達を考え て、他のオペなどに調達手段をシフトしているとみられている。

この日の企業金融オペ(3月5日-5月25日)は、金融機関の 利用額が6120億円だった。合計残高は5兆6462億円と、昨年3月 以来の低水準になる。

企業金融オペは、民間企業債務を担保に3カ月物の資金を0.1% で無制限に貸し出すもので、2009年1月に企業の資金繰り支援策と して導入された。残高は開始から順調に増加し、同年6月に7兆5802 億円まで膨らんだ。その後7兆円台で推移していたが、金融市場の落 ち着きと企業の資金需要減少に伴って徐々に減少。10月末の金融政策 決定会合で今年3月の終了が決定された。

セントラル短資の金武審祐執行役員は、「今後は0.1%で確実に 資金が確保できるとは限らなくなるため、企業金融オペが終了した時 の資金の借り換えを考えると、今のうちに他のオペにシフトしておい た方が安心との判断だろう」という。

企業金融オペに応札する担保として使われているコマーシャルペ ーパー(CP)は、上位格付け企業の発行する3カ月物の金利が0.11% 前後まで低下しており、資金調達コストがオペ金利の下限0.10%か ら1ベーシスポイント(bp)上がるだけでも利ざやがなくなる状況に ある。

企業の資金需要の減少や、増資、社債発行による長期資金調達の 増加などから、CPの発行は減少していることも企業金融オペの利用 が減っている要因。日銀はこの日、企業短期経済観測調査(短観)の 3月調査から、CP発行実績のある企業に対する業況判断DIや社数 別構成比、集計対象数などを新たに公表すると発表した。

企業オペからの借り換え

企業金融オペは今月8日、15日、24日の残り3回の実施で終了 する。セントラル短資の金武氏によると、日銀は4月以降に期日を迎 える企業金融オペを共通担保オペ(固定金利方式と金利入札方式)の 拡大で補う見通しだが、「0.1%で無制限に借りられる状況とは異なる」 と指摘する。

通常の共通担保オペは、各金融機関の金利競争入札で調達コスト が決まる上、固定金利方式の新型オペ(全店共通担保オペ、利率0.1%) も毎週8000億円の通知で、金融機関1社が落札できる上限も200億 円強にとどまっている。

もっとも、この日実施された3月期末越えの本店共通担保オペ (3月3日-4月5日)やコマーシャルペーパー(CP)買い現先オ ペ(3月4日-4月1日)は、最低落札金利が下限0.10%だった。

東短リサーチの関弘研究員は、「現状ではCP買い現先オペの方が 資金調達の効率も良い。日銀は企業オペを終了しても短期金融市場に 対する資金供給量を維持するとみられ、共通担保オペで代替しても調 達コストの差は小さいだろう。期末に向けた大量供給を期待する向き もある」という。

日銀は昨年末に当座預金残高を20兆円台まで拡大する資金供給 を実施しており、決算期末にあたる今月末にかけても同額かそれ以上 の資金を供給するとの予想が多い。政府高官から日銀に追加緩和を要 請する声も目立ち、日銀は期末の資金繰りに万全を期すとの見方が聞 かれる。

一方、東短の関氏は、毎週2回のペースで実施されているCP買 い現先オペについては、4月以降は同額か減額を予想する。1回の実 施額はすでに2月16日に4000億円から3000億円に縮小されており、 「リーマンショック直後に近い供給額を維持するのは過剰だ」とみて いる。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE