1月の失業率は4.9%と予想外の大幅低下、有効求人も改善

1月の国内雇用指標は、完全失業率 が予想外の大幅低下で10カ月ぶりに4%台となり、有効求人倍率も4 カ月ぶりに改善した。輸出や生産の回復を背景に雇用環境は改善傾向 にあるが、 景気の先行き不透明感が残る中、企業は慎重な採用姿勢を 崩していない。

総務省が2日発表した労働力調査によると、1月の完全失業率(季 節調整値)は4.9%と、前月から0.3ポイント低下した。一方、厚生 労働省が発表した1月の有効求人倍率(同)は0.46倍と前月から0.03 ポイント改善した。ブルームバーグ・ニュースが行ったエコノミスト 調査の予想中央値は、完全失業率が5.1%、有効求人倍率が0.47倍だ った。昨年12月の完全失業率は5.1%から5.2%に上方修正された。

菅直人副総理兼財務相は2日午前の閣議後の会見で、同日発表さ れた雇用指標について「多少いい傾向になった」と評価した。総務省 の栗原直樹・労働力人口統計室長は記者説明で失業率が低下したこと について「全体として景気の持ち直しが背景にある」と述べる一方で、 「5%台に近い数字なので予断を許さない」との慎重な見方も示した。

第一生命経済研究所の新家義貴主任エコノミストは発表後、「雇用 者数が底を打ってきており、3四半期連続のプラス成長の影響が雇用 にも多少波及してきた」と述べ、失業率が以前予想された6%台まで 上昇しなかった背景として、企業が賃金を大幅に削減することで雇用 の保持を図ってきたことを挙げた。

有効求人倍率を見る上で先行性があるとされる景気ウォッチャー 調査の雇用関連の現状判断DIは、1月に2カ月連続で改善した。雇 用関連指標は足元で改善しているが、中期的な企業の採用意欲は高ま っていない。内閣府が2月19日に公表した上場企業の「企業行動に関 するアンケート調査」の結果によると、2010年度から3年間の雇用者 数の見通しは全産業で0.4%増と低い伸びにとどまっている。

過去最悪は5.6%に改定

毎年1月に実施される季節調整値の改定に伴い、昨年7月に付け た完全失業率の最高値は5.7%から5.6%に改定された。1月の完全失 業率を男女別でみると、男性は前月から0.1ポイント低下の5.2%、 女性は0.5ポイント低下の4.6%だった。

完全失業者数は前月比16万人減少の328万人。内訳は、倒産やリ ストラなどの「非自発的な離職」が前月比9万人減少し、「自発的な離 職」も同2万人減った。就業者数は前月比54万人増加し6303万人と なった。1973年10月の65万人増以来の増加幅となった。産業別就業 者を前年同月比でみると「製造業」や「卸売業、小売業」などで減少 する一方、「医療、福祉」などで増加した。

伊藤忠商事の丸山義正主任研究員は「問題は、今回の雇用改善 の持続性だろう」と指摘。「デフレが深刻化する中で、すう勢的には卸 小売業の苦戦が続いており、雇用増加のけん引役としての役割は当面 期待し難い」とした上で、「2月以降に失業率は再び上昇し、5%台に 乗せる可能性が高い」との見方を示した。

消費支出

一方、総務省が2日発表した1月の家計調査によると、2人以上 の世帯の消費支出は前年同月比1.7%増加した。6カ月連続の上昇。 エコノミスト調査の予想中央値は同2.5%の増加だった。季節調整済 み前月比では1.3%減少した。エコカー購入の補助や家電製品に対す るエコポイントの政策効果により、自動車や自動車関連用品、薄型テ レビ、電気冷蔵庫などへの支出が増加した。

勤労者世帯の実収入は、前年同月比で実質0.5%減少する一方、 消費支出は同1.5%増加。総務省消費統計課の大貫裕二課長は記者説 明で、勤労者世帯の消費増加について「政策効果」などの理由と挙げ る一方、エコポイントの政策効果については徐々に「薄れている」と の認識も示した。

第一生命の新家氏も「これまでけん引役だった自動車販売には頭 打ち感が出ている」と述べ、所得が伸びない中で「消費は1-3月期 に減速感が出るだろう」との見方を示した。ただ、日本経済は外需に 支えられ、失速はしないとの認識を示した。

政府の2月の「月例経済報告」では、個人消費について「持ち 直しの動きが続いている」と判断を据え置いた。エコカー購入の補助 やエコポイント制度の政策効果で、自動車や家電製品は堅調を維持し ている。ただ、1月の国内新車新規登録・届出台数が内閣府の試算で 前月比0.3%減少したことや、内閣府の聞き取り調査で2月の新車の 受注が伸び悩んでおり、懸念材料も出ている。

日本自動車販売協会連合会(自販連)が1日発表した2月の登録 車販売台数は前年同月比35%増の29万4887台と7カ月連続して前年 同月を上回った。BNPパリバ証券の加藤あずさエコノミストは、9 月末まで延長された自動車の補助金制度は「当面は販売の下支えとな る」としながらも、「政策の限界的な販売押し上げ効果は既に減衰し始 めているとみられる」と指摘している。

--取材協力 伊藤亜輝 Minh Bui,Sachiko Ishikawa Editor::Hitoshi Ozawa, Norihiko Kosaka, Masahiro Hidaka

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