東京外為:円が下落、円高進行に警戒感-政府がデフレ是正に圧力

東京外国為替市場では、円が下落 した。ドル・円相場が約1カ月ぶりの円高値を付けたことで、一段の 円高進行に警戒感が生じ、じりじりと水準を切り下げる展開となった。

資産管理サービス信託銀行資金為替部の野村祥宏調査役は、ド ル・円相場が1ドル=89円台を円高方向に抜ける局面が多くなって きていることから、日本の政府当局者の発言には、「一段の円高進行 を懸念する姿勢がにじみ出ている」と指摘。この日は市場の一部で当 局発言を受けて円売りの動きが観測されたとしている。

ドル・円相場は早朝の取引で一時1ドル=88円73銭と、2月 4日以来の水準までドル安・円高が進行。しかし同水準が東京市場の 円高値となり、午後には一時89円26銭まで水準を切り下げた。

菅直人副総理兼財務相はこの日午前の衆院財務金融委員会で、 消費者物価指数について「今年いっぱいくらいには何とかプラスに移 行してもらいたい」と指摘。さらに、「日銀がやっていただいている ことについては、私たちも評価しているが、結果としてまだ物価の下 落が続いている」との見解を示している。

ギリシャ情勢を見極め

一方、ドイツの議員4人が明らかにしたところによると、同国は 国有金融機関の独復興金融公庫(KfW)を通じてギリシャ国債購入 を検討。フランスのラガルド財務相は28日、ラジオ局ヨーロッパ1 とのインタビューで、「ユーロ圏内では幾つかの提案があり、その中 には民間ないし公的なパートナー、あるいはその両方が含まれている」 と語っている。

ギリシャ政府側も、3年間の財政赤字削減計画の実施に引き続き 注力するとともに、審査を受けて必要と考えれば、追加策を検討する 方針を明らかにしている。

三菱UFJ証券クレジット市場部為替課長の塩入稔氏は、ギリシ ャ問題に関して、目先は「いい方向に進展するといった観測が生じて いる」と指摘。ただ、「完全に解決するかどうかには疑問符が残る」 ともみている。

ユーロ・ドル相場は午前の取引で一時1ユーロ=1.3665ドルま でユーロが上昇したあと、1.3592ドルまで押し戻される場面もみら れた。午後の取引は1.36ドル台前半で推移した。

ユーロ・円相場も午前に付けた1ユーロ=121円57銭をユーロ の上値として、午後にかけては121円台を中心に伸び悩む展開が続 いた。

今週は4日に欧州中央銀行(ECB)の金融政策決定会合も控え、 ユーロの上値を追う動きは限定的となっている面もあるようだ。

米経済指標を警戒

また、米国では今週、2月の雇用統計を中心に主要な経済指標の 発表が控えており、内容次第では、連邦準備制度理事会(FRB)に よる利上げ観測が一段と後退する可能性も残る。

この日の米国時間には供給管理協会(ISM)が2月の製造業景 気指数を発表する。ブルームバーグ・ニュースがまとめた市場予想で は58と、前月の58.4からわずかながら低下が見込まれている。

2月の雇用統計に関する市場予想では、非農業部門の雇用者数が 前月比で5万人の減少と、1月の2万人減から減少幅の拡大が見込ま れている。失業率は9.8%と、前月の9.7%から悪化する見通し。

資産管理サービス信託銀の野村氏は、米雇用情勢については悪化 懸念がくすぶっており、「ドル安・円高方向にバイアスがかかりやす い」とみている。

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