【日本株週間展望】上値重い、ギリシャに神経質続く-米指標も注視

3月第1週(1-5日)の日本株 相場は、上値の重い展開が予想される。ギリシャの財政問題に伴う為 替の円高進行不安が継続、米国の景況感を確認したいとの姿勢も買い 手控え要因になりそうだ。日経平均株価は、心理的な節目の1万円を 割り込む場面もあり得る。

大和住銀投信投資顧問の門司総一郎投資戦略部長は、「ギリシャ問 題次第でどちらに振れる可能性もある」と指摘。この問題をめぐり現 状は、「欧州連合(EU)の救済や思い切った財政削減を迫る催促相場 に入っており、市場にはマイナスに働きやすい」と見ている。

2月第4週の日経平均は、前週末比2円45銭高の1万126円で終 了。週初は早期の米金融引き締め懸念の後退から大幅高となったが、 ギリシャの財政問題や米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ 議長の発言をきっかけにした円高傾向から、その後は失速した。

ギリシャは4月と5月に、合わせて160億ユーロ(約1兆9300 億 円)を超す債務が償還期限を迎える。こうした中、米格付け会社のム ーディーズ・インベスターズ・サービスは25日、ギリシャのソブリン 格付け「A2」を数カ月内に引き下げる可能性を示唆した。欧州中央 銀行(ECB)は年内に融資担保基準の変更を計画しており、ギリシ ャ国債が格下げされると、変更後の基準で担保として不適格になる。

3つのシナリオ

ギリシャ政府は、3月16日までに財政赤字削減策(行程表)の提 出を求められている。2月最終週は外国為替市場で円が対ユーロで1 年ぶりの高値となるなど、ギリシャ財政問題を背景にリスクの高い資 産の持ち高を解消する動きが活発化。金融市場や為替市場を通じ、日 本株の不安定要因となっている。

門司氏によると、今後予想されるシナリオは第1が「ギリシャ政 府が打ち出す具体策が市場の信頼を得て、市場からの資金調達が可能 になる」、第2は「具体策が市場の信頼を得ないが、最終的には思い切 った赤字削減策が盛り込まれ、市場からの資金調達が可能になる」、第 3は「具体策が市場の信頼を得ず、EUはより厳しい赤字削減策を条 件に財政的な支援に乗り出す」――という3つ。

このうち、楽観シナリオの第1は実現性が低く、第2か第3の可 能性が高いと同氏は分析する。第2のケースは、当初株価やユーロが 売り込まれるが、政府がその後に思い切った策を出すことで行程表発 表を待たずに市場は反発に転じる。第3のケースでは、EUの支援が 発表されるまで市場の下落が続く「催促相場」になりそうだと言う。 3月1週は、引き続き行程表に対する市場の評価や実効性の有無など をめぐり、一喜一憂する公算が大きい。

ISM、雇用統計など米国で重要統計

米国の景況感も焦点になりそうだ。2月最終週に発表された2月 の米消費者信頼感指数は46.0と、09年4月以来の低水準へと落ち込 んだ。「景気、特に個人消費の先行きに対し一定の警鐘を鳴らすもの」 とシティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミストは指摘する。ま た、20日までの1週間の新規失業保険申請件数も3カ月ぶりの高水準 で、ブルームバーグがまとめた事前予想より悪化。雇用減少による消 費環境の厳しさを確認させる結果となった。

米国では、3月2日に2月の米供給管理協会(ISM)の製造業 景況指数、5日に2月雇用統計と相場の方向性を占う重要指標が発表 される。ブルームバーグの事前調査では、ISM景況指数は58.0と前 回(58.4)からやや低下、雇用統計では非農業部門雇用者数が3万人 減と前回(2万人減)から悪化が予想される。

三菱UFJ証券の鮎貝正弘シニア投資ストラテジストは、「米景気 指標はこのところ、予想に対して下振れるケースが出ている。ギリシ ャ問題と併せ、警戒感の方が先に出そう」と話している。日経平均の 1万円近辺は、投資家の中長期の売買コストである200日移動平均線 (1万31 円)などが下値支持線となっているが、3月期末接近で需 給面でも企業の持ち合い解消売りが出やすく、悪材料が重なれば2月 10 日以来の1万円割れとなる懸念はぬぐえない。

業績トレンド、PBRが下支え

もっとも、景気の緩やかな改善による企業業績の回復傾向は、相 場の下値を支えそう。日本の1月の名目輸出は前年同月比で2カ月連 続プラス。1月の鉱工業生産は輸送機械などが寄与、前月比11カ月連 続で上昇し、事前予想も上回った。MDAMアセットマネジメント福 島毅執行役員は、「アジアの恩恵を受け日本の輸出や生産は伸びており、 景気実態は良好。来期の企業業績は5割増益が予想される」と見る。

福島氏によれば、東証1部銘柄の6割以上がPBR(株価純資産 倍率)1倍以下。「PBRは株価を押し上げるドライバーにはならない が、下値のサポート要因になる」という。さらに、投資家の心理状況 を表す東証1部の騰落レシオも75%と、経験的に「売られ過ぎ」とさ れる70%割れに近づいてきた。

国内では、4日に昨年10-12月期の法人企業統計が発表予定。第 一生命経済研究所の斉藤俊輔副主任エコノミストは、「コスト削減や売 上高の持ち直しを背景に、10四半期ぶりの増益に転じたと考えられる」 とし、設備投資も「いくぶん持ち直した可能性がある」と予想する。 設備投資の回復が確認されれば、機械や電機セクターを中心に設備投 資関連株の再評価につながりそうだ。

このほか、海外では1日に中国の製造業購買担当者指数(PMI)、 2日に米国で2月の自動車販売台数、3日に2月の米ADP雇用統計 が発表予定、4日にはECB理事会が開かれる。国内では、2日に1 月の完全失業率や家計調査の公表がある。米自動車販売では、リコー ル(無料の回収・修理)問題で揺れるトヨタ自動車の販売動向が焦点。

【市場関係者の当面の日本株見通し】
●大和証券キャピタル・マーケッツ金融証券研究所・投資戦略部の高
橋和宏部長
  「雇用統計など、米景気動向を見極める上で重要な経済統計の発
表が相次ぐ。バーナンキFRB議長の24日の議会証言で早期の利上げ
懸念が遠のいており、米景気の強い回復を期待して経済指標の内容を
見極めながらの展開になろう。欧州の財政問題などで為替の先行きが
不透明なため、外国人投資家は積極的に買いにくい展開が続きそう」

●オフィスセントポーリアの馬渕治好代表
  「欧州の財政問題や新興国の金融引き締めなど、2月に顕在化し
た不安要因が3月も尾を引き、上にも下にもいけない。日経平均は1
万円近辺で足踏みすると見る。ギリシャ問題は、EU政府がつなぎ融
資を行うなどして最終的に沈静化すると思われるが、年間赤字額の3
分の2と言われる金額の国債償還が4月から5月にかけて行われるた
め、本当に借り換えができるのかという不安から先んじて波乱が起こ
る可能性もある。円がユーロやドルに対し高くなり、日本株相場の重
しとなる可能性がある」

●GCSAMの佐藤博最高投資責任者
  「3月は1週目が株式相場の底になりそう。欧州の財政危機に伴
うユーロ安・円高の流れが続く上、株の持ち合い解消といった需給関
係の悪さもある。また、海外投資家が来期(11年3月期)業績を見極
める動きも予想され、積極的な投資資金が流入しにくい。ただ、3週
目付近から新聞などで来期業績が伝えられ、増収増益期待の高まりを
背景に買いが入ろう」

--取材協力:常冨浩太郎、鷺池秀樹、浅野文重 Editor:Shintaro Inkyo、Makiko Asai

参考画面: 記事についての記者への問い合わせ先: 東京 長谷川敏郎 Toshiro Hasegawa +81-3-3201-8361 thasegawa6@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net 東京 Darren Boey +852-2977-6646 dboey@bloomberg.net

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE