【書評】失業中ですか?-危険で低賃金の職探しなら、ぜひ米国で

屈んでレタスをつかみ、茎から切 り離す。体を伸ばし、土を振り落として袋に入れる。袋に入れたレタス を台に置く。それを100回繰り返す。

2008年初めのある日、アリゾナ州ユマの農地でのこの過酷な労働 で31人が約3万個のレタスを収穫した。「Working in the Shadows: A Year of Doing the Jobs (Most) Americans Won’t Do.(仮訳:影の仕事-大半の米国人がしたくない仕事をした1 年)」で著者のガブリエル・トンプソン氏が経験した仕事の1つだ。養 鶏場や花の卸売業者の作業員のほか、レストランの配達員としても働い た。

「Catching Out: The Secret World of Day Laborers. (仮訳:仕事を求めて-日雇い労働者の秘密の世界)」では、著者のデ ィック・J・レビス氏が、労働者らが毎朝、低賃金で数時間の単純な仕 事を求めて集まる日雇い場の様子を描いている。

2人のジャーナリストは搾取やけが、不正行為、感覚のまひした服 従についてリポートする。体や心が耐え抜くさまは目を見張るほどだ。 著者らが将来にあまり望みを見いだしていないため、なおさら読んでい て楽しい本ではない。

スペイン語を話し、この著書の調査に入る前にラテン系移民の取材 に3年間携わったトンプソン氏は、移民労働力に依存する産業に焦点を 当てている。野菜・果物の生産・販売大手、米ドール・フードが雇用す るレタス畑の労働者の賃金は時給8.37ドル(約748円)。「非常に公 正なプログラム」だという。

平均寿命は49歳

著者が出会った労働者の大半は現地在住かメキシコとの国境を越え て毎日通勤している。「明らかな酷使」は見られない。ただ、畑仕事を 回避するか、あるいは定年を迎えられる者はほとんどいない。平均寿命 は49歳だ。

アラバマ州ラッセルビルの養鶏場の労働者らは黒人や白人、ラテン 系とさまざま。出勤日数や時間に応じて時給は8-10ドル。仕事は驚 くほど退屈な上、厳しく危険だ。悪臭も漂う。「ニワトリの首を折る 係、内臓を処理する係、肺を処理する係など」がある。勤務時間中ずっ と箱詰めをしている者もいる。

賃金引き上げを

日雇いの仕事を主な収入源にせざるを得ない人々の生活は厳しい。 レビス氏によると、「大部分を男性が占める最大200万人が毎日雇い場 に姿を見せる」。同氏が引用している調査では、日雇いの仕事を求め、 主にラテン系移民ら約11万7000人が毎朝街頭で職を探している。大 半は建設や造園業で、月収は500-1400ドルだ。

著者2人は米国のリセッション(景気後退)が深刻化する前に調査 を実施したため、この数字は悪化の一途をたどっていると言える。

両著書は改善の方法を提案している。例えばレタスを収穫する仕事 の賃金を40%引き上げること。これにより消費者のコスト負担は1個 当たり数セント増えるだけだ。レビス氏は欧州や日本の例を挙げ次のよ うに警告する。

「正社員と臨時社員の収入や福利厚生に差がある場合、差を縮小す る方法は2つある。臨時社員の処遇を改善する」か、あるいは正社員の 報酬を削減するかだ。後者の方法について、「最低賃金の労働者の利益 を支持することはわれわれの保護につながり、無視すれば彼らのような 運命をたどるリスクにさらされる」と指摘している。(ジェフリー・バ ーク)

(ジェフリー・バーク氏はブルームバーグ・ニュースのエディター です。この書評の内容は同氏自身の見解です)

著書情報:

“Working in the Shadows” is published by Nation Books (298 pages, $24.95).

“Catching Out” is published by Simon & Schuster (203 pages, $23.99).

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