1月の鉱工業生産、予想超える伸び-11カ月連続上昇(Update3)

今年1月の日本の鉱工業生産指数 は、輸送機械や化学工業などが寄与し、前月比で予想を上回る伸びと なった。上昇は11カ月連続。アジア向けを中心とした輸出拡大や経済 政策の効果などにより企業の生産活動は持ち直しが続いているが、先 行きは鈍化する可能性がある。

経済産業省が26日発表した1月の鉱工業指数速報(季節調整済み、 2005年=100)によると、生産指数は前月比2.5%上昇し、91.9とな った。ブルームバーグ・ニュースのエコノミスト調査では、生産指数 の予想中央値は前月比1%で、最も高い予想数値の2.3%を超える伸 びだった。

11カ月連続の上昇は、1996年4月から97年3月まで記録した過 去最長の12カ月に次ぐ長さ。前年同月比でも18.2%上昇と2カ月連 続のプラスとなった。同省は1月の生産基調について「持ち直しの動 きで推移している」とし、前月の判断を据え置いた。

日本政策投資銀行調査部の鈴木英介調査役は発表後に、「中国を はじめとするアジア経済回復の恩恵もあり、引き続き速いペースで持 ち直しが続いている」と指摘。一方、先行きは大幅な生産増加局面が 終盤にさしかかっているとし、「基調としては持ち直しの動きが続く ものの、伸び率は鈍化していく」との見方を示した。

政府も23日公表した2月の月例経済報告で、景気は「持ち直して いる」との判断を7カ月連続で維持したものの、個別項目では輸出と 輸入、公共投資を下方修正した。国内需要が引き続き弱い中、景気の 持ち直しを主導してきた輸出の鈍化は生産を抑制する恐れがある。足 元ではトヨタ自動車のリコール問題に加え、ギリシャなどの財政懸念 に伴う株安や円高も景気のリスク要因だ。

発表後の日経平均株価は一時1万159円程度まで上昇、円の対ド ル相場は89円台前半を推移した。

予測指数は2月低下、3月上昇

同省が同時に公表した製造工業生産予測指数によると、2月は前 月比0.8%低下、3月は同1.6%上昇となった。同省調査統計部の志村 勝也経済解析室長は記者説明で、予測指数がそのまま実現した場合、 1-3月期は前期比4.6%上昇、指数水準は91.9になるとの試算を示 した。

志村氏は2月の予測指数の低下について、1月の生産が予想以上 に好調だった反動減の要素があると指摘し、3月は再び上昇が見込ま れていることなどを挙げ、生産の持ち直しに「大きな基調変化はない」 と語った。

伊藤忠商事調査情報部の武田淳主任研究員は予測指数に基づく1 -3月期の上昇率は「年率に換算すると20%近いペース」と指摘し、 「生産活動から見る日本の景気は、在庫調整の進展や国内外における 需要の持ち直しを背景に、緩やかながらも着実に改善している」とし ている。

1月の生産で上昇した業種は、16業種中13業種。生産の上昇に 寄与した品目でみると、普通乗用車や自動車部品の生産が国内外向け に増加した。海外向けは欧州が中心となっている。また化学工業では、 粉末洗剤のリニューアルにより生産が伸びたという。

リコール問題

一方、経産省の志村室長は、トヨタ自動車のリコール問題につい ては、1月の数字には影響は出ていないと述べ、2月の予測指数にも 「織り込んだ形になっていない」と説明した。今後については、「何 らかの影響は出てくるかもしれないが、実際の数字を見て判断したい」 と述べるにとどめた。

菅直人副総理兼財務相は23日、「自動車産業は非常にすそ野が広 いので、日本経済に与える一般的影響も幅広い」と指摘。「海外での 販売状況から、どういう影響が出るのか注意深く見ていかなければな らない」と述べる一方、国内では「かなり受注残があるので、すぐに 影響が出るとは思っていない」との認識を示した。

大和総研の熊谷亮丸シニアエコノミストは、同問題が日本経済に 与える影響について、仮に日本で乗用車生産台数が30万台減少した場 合、最終的に生産は0.19ポイント、名目GDPは0.12ポイント減少 すると試算。トヨタの1月の国内生産は前年比29%増の26万8888台、 海外生産は前年比84%増の37万5037台となっている。

生産活動との相関関係が高い輸出数量は1月に3カ月ぶりに増加 した。内閣府が貿易統計を基に試算した輸出数量(季節調整済み)は、 1月に前月比で8.3%増加。地域別では対アジアが同16.1%増、対欧 州が同1.8%増、対米国が9.9%減となった。内閣府によると、1月の 対米輸出の減少は、リコール問題の影響ではなく、同国向け自動車輸 出の在庫が適正水準に戻ったことが背景にあるとみている。

政策投資銀の鈴木氏は輸出について「1月も引き続き持ち直しが 続いているが、中国等の春節(旧正月)が2月だったため、春節の休暇 シーズン前に駆け込みで輸出が伸びた可能性がある」と指摘。その上 で、「中国経済は足元、堅調だが、不動産価格の上昇等、一部に過熱 感も漂う」と述べ、「3月以降もアジア向け輸出の伸びが続くかが注 目」としている。

--取材協力:Minh Bui, Sachiko Ishikawa  Editor: Norihiko Kosaka, Hitoshi Ozawa

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