KDDI債、公益性など評価され完売-予想以上の人気で発行額も割増

ケーブルテレビ国内最大手のジュピ ターテレコム(JCOM)に出資して暫定的筆頭株主となったKDDI が24日に募集を行った国内普通社債(SB:発行額は1000億円)は即日 完売した。通信事業という公共性などが投資家に評価されたほか、予想 以上の人気で発行額も当初予定を7割上回った。

野村証券の宇野篤クレジットアナリストは、KDDI債について、 「社債市場では供給が少なく品薄感がある中、投資家の余剰資金が新規 発行の社債に向かっている」と指摘した上で、電話料金など安定的な収 入を確保できる通信業界の代表的な企業が発行する債券だけに買いや すいと話した。

7年債と10年債で共同主幹事を務めた大和証券キャピタル・マーケ ッツ・デット・シンジケート部の担当者は、発行体の資金使途が明確だ った上、公益性の観点からも投資家の評価は高かったと指摘。銀行、系統 上部、生保、中央の公的機関、年金、投信・投資顧問などの機関投資家に 加えて信金、信組など地方の投資家にも販売できたという。

中央の公的機関と呼ばれる機関投資家には、ゆうちょ銀行、かんぽ 生命保険、国民年金基金連合会、年金積立管理運用、農業者年金基金な どがある。また、系統上部と呼ばれる金融機関では農林中央金庫、全国 信用金庫連合会、信金中央金庫などがある。

KDDI広報部の田中圭一課長補佐は、今回の社債発行で調達した 資金について「ジュピターテレコムの株式取得資金(3617億円)のため に借り入れたつなぎ融資の返済に充当する」と語った。同起債後のKDD Iの有利子負債は1兆2000億円弱となる。

KDDI債をA+と格付けしたR&Iは1月26日に発表した資料で 3000万を超える顧客基盤を持ち、年間9000億円を超えるEBITDA( 利子・税金支払い前、償却前利益)を生み出す収益力・キャッシュフロ ー創出力があるとし、「JCOMへの出資資金の大部分を有利子負債で 賄ったとしても財務構成への影響は限定的」との見解を示した。

スプレッド、前回から大幅に縮小

共同主幹事証券によると、今回のKDDIの起債の内訳は、5年物 が350億円、7年物が250億円、10年物が400億円の3本建て。表面利率は

0.713%、1.045%、1.573%でそれぞれ決まった。発行価格は3本とも 100円。

KDDI債の発行利回りは、対国債比スプレッド(金利上乗せ幅) で昨年5月起債の水準から5割以上も縮小するなど、投資家の購買意 欲が示唆された。

発行体のKDDIと共同主幹事証券は当初、5年物で300億円、7年 物で100億円、10年物で200億円の計600億円を発行総額と想定し、投資 家への需要調査を開始した。発行利回りの対国債比スプレッドは、5年 物が15bp(1bp=0.01%)から22bp、7年物が20bpから27bp、7年物 が22bpから29bpのレンジでそれぞれ提示され、最終的には20bp、23bp、 25bpの上乗せで決まった。

第一生命保険の原田浩志次長は、「スプレッドは、流通市場の水準 よりも若干の厚みがあるが適正な水準だろう。公益性の強い業種なので 買い安定感がある」とコメントした。

世界的な金融危機の影響で投資家から従来よりも厚みの金利を求め られた2009年5月起債当時のKDDI債のスプレッドは5年物が45bp、 10年物が55bpだった。

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