山口日銀副総裁:市場は政府の対応を常に注目-財政規律

日本銀行の山口広秀副総裁は24 日午後、鹿児島市内で会見し、「日本の財政バランスが非常に厳しい状 況にある」とした上で、政府がどのような形で財政規律を発揮してい くのかについて「金融資本市場は常に注目している」と述べた。

消費者物価指数(除く生鮮食品)の動向については「全体として 見る限り、われわれの見通しから大きく乖離(かいり)しているとい うことではない」としながらも、「微細な動きを見ていくと、下落幅の 縮小ペースが少し鈍いかなという印象を私自身持っている」と述べた。

山口副総裁は同日の講演で「デフレが起点となって経済が悪化さ せる状況、つまり、デフレがデフレを呼ぶ状況を生まないためにも、 企業マインドが萎縮(いしゅく)しないように働き掛けていくことが 大切だ」と述べた。会見で、企業マインドを委縮させないために追加 緩和を行う可能性について問われると、「状況、状況に応じて、必要と 考えられる政策をその時点で実行していく」と述べるにとどめた。

内閣府が19日公表した企業行動に関するアンケート調査による と、上場企業による2010年度から5年間の日本経済の予想成長率はプ ラス1.3%と低水準にとどまった。会見では、企業マインドは既に大 きく下振れているのではないか、という質問も出た。

企業マインドはなお慎重

山口副総裁は「景気は全体として緩やかではあるが持ち直しの方 向には来ており、世界経済も新興国を中心とした力強い回復にリード されて緩やかながら回復に向かっているという意識は、企業経営者は 皆さんお持ちだろうが、そのスピードが非常に緩やかだということも 多分実感されている」と指摘。そういう中で「企業が持つ先行きの見 通しが慎重なものになってくるのはごく当然のことだ」と語った。

さらに、「今の生産水準で採算が取れるかというとなかなか厳しい 状況にもある。そうしたことを前提に先行きの経営環境を考えると、 やはり慎重な見方をせざるを得ないということではないか」と指摘。 「企業マインドが萎縮しているという表現をするのかどうか、という ことはあるが、私自身は企業の方々が先行きについてなお慎重な見方 をしていることは、違和感なく受け止めている」と述べた。

みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは山口副総 裁のこの日の講演を受けて、「いずれにせよ、日銀の超低金利政策がデ フレ下で長期化するだろうという予想は動かない」と指摘した。

財政バランスは非常に厳しい

山口副総裁は長期国債市場については「長期国債の消化という点 で言えば、これは問題なく消化が行われている。長期金利は非常に低 いところでほぼ安定的に推移していると言ってよい状況にある」と指 摘。「従って、市場の財政に対する評価は非常に安定した状態が続いて いると日本の市場については言えると思う」と述べた。

その上で「日本の財政のバランスが非常に厳しい状況にあるのは 事実だ。従って、どのような形で財政バランスを回復していくのか、 あるいはどのような形で財政規律を発揮していくのか、このところが 非常に重要なポイントだろう」と言明。「長期市場に限らず、広い意味 での金融資本市場はそういったことについて、政府がどのような対応 をするか、常に注目している」と語った。

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