野村:一部の新卒初任給3倍へ、IBなどで旧リーマン水準に

野村ホールディングスは2011年春 の新卒採用から、投資銀行部門など専門性の高い一部業務で、従来の約 3倍近い初任給を支給することが分かった。実績を反映するグローバル な給与体系の導入により有能な人材を確保・育成し、国際的な案件でラ イバルの外資系証券などと互角に競争できる体制を整える。

野村の募集要項によれば、M&A(企業の買収・合併)仲介などの 投資銀行、トレーディング、企業調査、法務部門など一部の新入社員に 年間650万円(プラス賞与)を支給する。従来の240万円(同)の2.7 倍の水準だ。入社1年目から高い専門知識や英語力などを求められる。 また海外勤務の機会もあるとしている。

新たな給与体系は、業績を重視する米ゴールドマン・サックスやモ ルガン・スタンレーなど外資に近づき、08年10月に引き継いだ元リー マン・ブラザーズ社員との給与格差の縮小にもつながる。複数の関係者 によると、破たん前にリーマンが採用し09年春に野村に入社した社員 の初任給は新体系と同額の650万円(プラス賞与)だった。

MDAMアセットマネジメントの笠谷亘シニアアナリストは、東京 やロンドン、ニューヨークで投資銀行業務などを担う人材の獲得競争が 繰り広げられる中、「ライバルがコンペティティブな給与を出している なら、野村も相応額を出すことは必要不可欠だ」と指摘。その上で「新 報酬体系の導入はグローバル化への一歩だ」と述べた。

リーマン統合

野村がリーマンから引き継いだのは約8000人で、一部にはそれま でと同等の年収や賞与を保証した。社員の平均年収はリーマンの33万 2000ドル(約3240万円、07年11月期)に対して野村が約1400万円(08 年3月期)で、給与格差から同じ「野村の社員」の中での不協和音が指 摘されていた。

昨年6月の有価証券報告書で野村は、事業リスクとして「リーマン から承継した従業員と統合前から勤務する従業員との融合が円滑に行 えない可能性」や、「あらかじめ保証された賞与金額を支払う旨の約束 を行っている多くのキーとなる承継従業員が支払い後、流出する可能性」 などを記載していた。

TOEIC

野村広報担当の菅井馨子氏は、11年春からの新給与体系について、 「部門の特性に応じた人事制度で、スペシャリストを育てるのが目的」 と述べた。10年4月に入社する新卒社員は約500人としている。菅井氏 は、新体系にはない残業代や他の福利厚生を加味すると、「初任給の額 だけで待遇は単純比較できない」という。

新体系の「グローバル型」採用では、株式・債券の引き受けやM& A・財務アドバイザリーなどの担当部門で約10人、金融商品開発・販 売やトレーディングなどを担う部門では約20人を募集する。採用にあ たっては、会計・法務などの専門知識や、海外業務を円滑に執行できる 英語力としてTOEIC860点以上などが求められる。

東京の人材コンサルタント、エグゼクティブ・サーチ・パートナー ズの小溝勝信代表取締役は、新卒で650万円という報酬について「野村 がグローバル・スタンダードを導入したとは驚いた」と受け止めている。 「新卒にかなり高い報酬を与えることは明確な方針転換で、ゴールドマ ンやモルガン・スタンレーと戦う意思表明だ」と語った。

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