米出口戦略は円債買いの好機、FF上げ11年以降の見方-1.4%がめど

米国が約4年ぶりに公定歩合を引 き上げて金融政策を平時の状態に戻す「出口戦略」に向けて前進した ものの、米経済の先行き不安から政策金利の引き上げは2011年以降と の見方が有力だ。利上げに絡んだ憶測からの金利上昇は一時的とみら れるため、円債市場では買いの好機ととらえられている。

損保ジャパン・アセットマネジメントの平松伸仁シニアインベス トメントマネジャーは、米国では利上げ実施が早まるとの観測が広が ったが、政策金利変更には相当の時間がかかると予想。その上で、「仮 に米金利が出口戦略の憶測から上がる場面があって、足元で全く動意 のない日本の金利が連れ高するなら買いのチャンスだ」と読む。

米連邦準備制度理事会(FRB)は18日、金融機関への貸出金利 である公定歩合を25ベーシスポイント(bp)引き上げて年0.75%と した。2006年6月以来となる引き上げを受けて、市場では短期金利の 誘導目標であるフェデラルファンド(FF)金利が早ければ年内にも 引き上げられるとの観測が一時的に広がった。

しかし、その後に発表された1月の米消費者物価指数(CPI) でエネルギー・食品を除くコア指数が約27年ぶりに低下すると、物価 安定が意識されて早期利上げ観測が後退。さらに、2月の消費者信頼 感指数が10カ月ぶりの低い水準となると米10年債利回りは3.68%を つけて、公定歩合引き上げ後の3.8%台から10bp以上も低下した。

米政策当局は慎重対応との見方

円債市場関係者の間でも、FF金利の年内引き上げは困難との見 方が有力だ。HSBC証券の白石誠司チーフエコノミストは、「米国の 市場参加者には景気循環論を背景に利上げに前向きな声もあるが、日 本では過去のバブル崩壊後のバランスシート調整の経験もあり、米政 策当局による極めて慎重な対応を見込む向きが多い」と話す。

FRBも公定歩合引き上げは政策変更でなく、金融機関向け貸し 出しの「正常化」だと説明しており、バーナンキFRB議長が24、25 日に行う経済と金融政策に関する議会証言では、FF金利の誘導目標 を近い将来引き上げることはないとの考えを示すとの見方もある。

HSBC証の白石氏は、地区連銀総裁からは利上げが11年以降と の発言が続いているほか、バーナンキ議長の議会証言でもFF金利の 早期引き上げに関する市場の思惑を鎮静させる可能性が高いとみる。

10年債の1.4%がめどに

米国の利上げ観測が高まる場面があっても、日本銀行の金融政策 には影響が及びにくいことが円債買いの意欲を強めるとみられ、新発 10年国債利回りで1.4%程度が上昇のめどになるとの声が出ている。

日銀の白川方明総裁は22日の衆院予算委員会で、「デフレから脱 却するために日銀は潤沢に資金を供給していきたい」と述べた。岡三 アセットマネジメントの山田聡債券運用部長は、日銀は追加緩和を迫 られる状況にはなくとも低金利政策見直しに着手するのは相当先にな るとして、「10年債利回りが1.4%に近づけば、運用難の銀行を中心に 来年度の運用を見据えた残高積み増しに動く」と予想している。

10年債利回りは昨年11月に1.485%まで上昇したが、その後の3 週間で一時は1.2%割れに急低下した。年末以降は1.3%を挟むもみ合 いが続いており、今年の最高は2月4日の1.38%にとどまっている。

HSBC証の白石氏は、米経済がぜい弱な中でFRBが利上げを 急ぐようだと、米国の利回り曲線はフラット(平たん)化して、むし ろ長期金利は上がりにくくなると予想。その上で、「米10年債利回り は3.8%付近から上振れする可能性が低いほか、日本では金融緩和の 長期化観測の下で短中期ゾーンの低位安定が見込まれるだけに、長期 金利も4-6月期に市場で懸念されるほどには上がらない」とみる。

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