【経済コラム】「次のギリシャ」探しで市場の目が集まる先-ペセック

次のギリシャ探しがたどり着こう としている先は、およそ無縁と思われる国になりそうだ。それは、日 本だ。

日本が「ネクスト・ギリシャ」観測に直面していることについて、 みずほ証券の野地慎シニアマーケットアナリストらの警告を真剣にと らえた人はほとんどいなかった。日本銀行の白川方明総裁が同じよう なリスクを示唆するまでは。

白川総裁は先週、ギリシャの財政問題を受けて日本も市場の信認 を確保できなくなると警鐘を鳴らし、鳩山由紀夫首相に財政再建を求 めた。これは異例の発言だ。政治家は日銀に対して常に厳しい姿勢を 示している。日銀が反攻に出たのは驚きだ。

日本はギリシャと違って、自国通貨を印刷し、自国の金融政策を 管理している。経常収支も黒字で、状況が悪くなったときに利用でき る膨大な家計貯蓄もある。国債の9割強が国内で保有されていること で、資本逃避のリスクは解消されている。

3つの難題

しかし日本は今後数年間、厄介な3つの難題に向き合うことにな る。デフレ、偏った人口構成、格付け会社が注ぐ厳しい視線がそれだ。

デフレは悪化している。物価指数の国内総生産(GDP)デフレ ーターが2009年10-12月期に前年同期比で過去最大となる3.0%低 下したのがその証拠だ。それは今年がどれほど厳しい年になるかも示 唆している。

急速な高齢化は長期的な懸念だが、格付け会社がこれまで以上に 注目しているのは活力だ。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P) は先月、日本の「AA」格付けを引き下げる可能性があると表明した。 実際の格下げもそう遠い先ではあり得ない。

鳩山首相は財政再建計画の概要をまだ示してはいない。リスクは、 欧州の債務問題への検証が深まることで注意が日本に向くことだ。結 局、日本政府は過去最大規模の2010年度予算を支えるため、市場最大 の新規国債発行を準備している。

市場への影響

市場に影響を与えず、高水準の借り入れを維持する方法を考え出 すことに時間を浪費している余裕はほとんどない。日本の当局者が選 択肢を検討している間に、ヘッジファンドの運用担当者らは日本国債 相場の下落を予想している。

日本の利回りはすでに上昇している。10年物国債利回りは1.32% と、米国の3.77%、英国の4.17%に比べると低いが、債務残高が経済 規模の2倍に膨らむ状況では金利が緩やかに上昇しても打撃となる。

予測できないのが円だ。日本の財政への信認低下は円安につなが るだろうか。製造業者は円安を好むだろう。ただ、どの国についても 言えることだが、円売りは日本経済を不安定化させる恐れがある。

デフレのリスク

仏ソシエテ・ジェネラルのアジア太平洋担当主任エコノミスト、 グレン・マグワイヤ氏(香港在勤)は「日本は基本的に、少なくとも もう数年間はデフレが続くと考えている」と述べ、「これは金利が上昇 せず、円が下落することを意味する。唯一の疑問はどのくらい円安に なるかだ」と指摘する。

米連邦準備制度理事会(FRB)が公定歩合を0.25ポイント引き 上げて0.75%に設定したことはドル上昇を招いた。FRBは流動性吸 収、日銀は流動性拡大と日米が反対方向に動くことで、円は今後下落 するだろう。トレンドを秩序立った対処可能な状態に維持できるかど うかが鍵となる。

悲惨なニュース

実は日本はまだ、大量借り入れとゼロ金利の助けを借りずに成長 する手立てを持たない。鳩山政権誕生で古い問題に新しい考え方がも たらされるとの期待は打ち砕かれている。

結論は国債発行と06年に日銀が解除した量的緩和政策の復活と いう、ほぼ同じことの繰り返しだ。一方、日本の競争力向上に必要な 改革は後回しにされている。さらなる債務拡大、利回り上昇、成長低 下を予想した方が良い。

日本が次のギリシャにならないとしても、日本の債務の動向は決 して安心できるものではない。投資家にとってそれは暗いニュースだ。 (ウィリアム・ペセック)

(ウィリアム・ペセック氏は、ブルームバーグ・ニュースの コラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE