トヨタ社長、安全性めぐり新たな問題浮上-米公聴会で厳しい追及も

一連のリコール(無料の回収・修 理)問題で、トヨタ自動車の豊田章男社長は現地時間24日の米議会の 公聴会に出席する。トヨタが米当局との「交渉」でリコール費用を約 92億円節約していたことも浮上する中、トヨタが品質問題を把握した 経緯や迅速な対応をめぐり米側の厳しい追及が予想され、豊田社長が どのように説明し、理解を得ることができるかが焦点だ。

トヨタ問題に関する米公聴会は、23日の下院エネルギー・商業委 員会を皮切りに計3回あり、豊田社長が出席するのは2回目の24日の 米下院監視・政府改革委員会。トヨタは当初、米現地法人の稲葉良睨 社長が出席する予定だったが、同委のタウンズ委員長の要請を受け、 豊田社長が証言することを受け入れた。

米側が注視しているのは、トヨタがアクセルペダルの不具合を把 握した時期とその対応。24日に公聴会を行う下院監督委メンバーのダ レル・アイサ議員は、電子メールで「不具合を知ってすぐ当局と安全 性を協議したか」など、安全性軽視の傾向がなかったかを問うという。

さらに、米議会の委員会に送付された文書が新たな議論を巻き起 こす可能性がある。文書は2009年7月付のトヨタの社内説明資料など で、ブルームバーグが21日に入手。資料には「トヨタの勝利」と題し た項目に、乗用車「カムリ」と高級車「レクサスES」のリコールに ついて「交渉をした」ことを通じ、「1億ドル(約92億円)を節約し た」ということや、「不具合がない」という記述がある。

アイサ議員はブルームバーグに送付した電子メールで「トヨタが 自らの利益を守るために厳格なルールの適応を緩和するよう働きかけ ていなかったかただす」とし、さらに「もし、そのためにアメリカ国 民の安全が守られていなかったとすれば、米運輸省道路交通安全局の 役割そのものが問われる」として、米当局がトヨタ車への苦情に適切 に対応していたかも追及する構えだ。

誠心誠意語りたい

公聴会の対応について、豊田社長は19日、誠心誠意語りたいとコ メントした。また、トヨタが17日に発表した品質関連への取り組みに、 米国では原則24時間以内に現地に向かい、1件ずつ調査できる体制を 目指すことなどを盛り込んでおり、こうした取り組みを説明し、理解 に努めていく可能性もある。

しかし、ミズノ・クレジット・アドバイザリーの水野辰哉代表は 「文化的な背景も違うので、公聴会で日本式に対応をしていると米側 から苛立ちや怒りを買うことになる」とし、「慎重を期して発言を控え ることも難しく、厳しい局面になるだろう」と見る。

北米でアクセルペダルにフロアマットが引っかかることが原因と される死亡事故が発生したのは昨年8月。トヨタは3カ月後の11月に 自主改修を発表、さらに09年1月21日にはアクセルペダルの戻りに 問題があるとして北米で8車種、257万台をリコール。リコール台数 は5大陸で約800万台に上っている。

米当局はカローラでも調査開始

このほか、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)はパワーステ アリングの不具合が疑われた11件の負傷事故に関連し、18日にはト ヨタの09-10年型の「カローラ」約50万台を対象に調査を開始して いる。

一連の品質問題で、豊田社長は2月5日に初めて記者会見し、ユ ーザーへ謝罪の言葉を述べた。その後も2回の会見を開き、品質向上 活動の説明などを行った。この中で、豊田社長は「実需以上の売り上 げを伸ばしてきたのは事実」とした上で、「急拡大に対して人材育成に 時間を割いてこなかった」と話している。

急加速の原因の可能性を一部から指摘されていた電子制御スロッ トルをめぐっては、豊田社長が「万一異常が発生しても加速しない」 と述べたものの、外部との実証検査は継続していくとした。

--取材協力:小松哲也、Jeff Green Editor:Hideki Asai、Fukashi Maruta

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