ドルLIBOR、米公定歩合引き上げで上振れ警戒-スワップ金利高

国際的な短期金利の指標であるドル LIBOR(ロンドン銀行間貸出金利)の上振れが警戒されている。米 連邦準備制度理事会(FRB)の公定歩合引き上げが、市場金利全体の 底上げにつながるとみられているためだ。

ドル金利スワップ市場では、LIBOR3カ月物との交換対象であ るスワップレートの2年物が米公定歩合引の引き上げを受けて10ベーシ スポイント(bp)以上も急上昇した。

三菱東京UFJ銀行金融市場部トレーディンググループの木下英明 次長は、「過剰反応する必要はないが、米国経済の二番底懸念が遠のき 正常化に向け着実なステップを踏んでいる。短期金利も今までの水準で はいられない。結果的にドルの中期ゾーンも上昇した」という。

FRBは18日、公定歩合を0.25ポイント引き上げ0.75%にした。声 明で「FRBの融資手段の一段の正常化を意図している」とした上で「 家計と企業にとって金融条件の引き締めにつながるとは予想されない。 経済と金融政策の見通し変更を示唆するものではない」と説明した。

FRBは金融引き締めを否定しているが、市場では金利正常化に向 けた動きとの受け止め方が多い。ドルLIBOR3カ月物は、バーナン キFRB議長が10日発表の議会証言テキストで新たな政策目標にする ことを示唆した超過準備の付利金利である0.25%で下げ止まっており、 市場では緩やかな上昇に転じるとの見方がある。これまで政策目標だっ た実効ベースのFFエフェクティブ・レートは0.25%を大きく下回って いる。

FRBの資金吸収、金利上昇を促す

公定歩合は連銀貸し出しの適用金利(プライマリー・クレジット) にあたり、翌日物金利の上限になっている。下限は超過準備の付利金 利0.25%。FRBはこの上下の格差を拡大することで、市場金利の水 準を徐々に引き上げていくとみられている。

国内大手銀行の資金担当者は、連銀貸し出しの利用残高は140億ド ル程度(1.3兆円程度)残っている上、今後は利用期間も翌日物に短縮 されると指摘。金融市場の自立を促し、民間金融機関同士の資金取引を 増やすことで、ターム物金利も徐々に上昇すると予想する。

東短リサーチの加藤出チーフエコノミストは16日付のリポートで FRBの試験的な資金吸収オペが数カ月後に始まると指摘。吸収オペ の金利は付利0.25%を上回ることが予想される一方、公定歩合を上回 ることはできないため、吸収オペの前に公定歩合を引き上げると予想 していた。

FRBが米連邦公開市場委員会(FOMCの声明文を変更し、吸 収オペによる超過準備の縮小を本格的に始めれば、オペの金利上昇が LIBORの上昇を促す可能性が高い。加藤氏は、FRBは数カ月か けて超過準備を一定額吸収し、付利金利を0.25%から引き上げるとみ ている。

日米金利差は拡大へ

三菱東京UFJ銀の木下氏は、日本銀行の金融政策については、 「海外が出口政策を進める中で、政府からの追加緩和要請に対抗しや すくなる面はあるが、引き締めに転じるのは主要国の中でも最後だろ う」として、現在の緩和的な政策が当面続くと予想している。

FRBが金融緩和の出口政策を進める一方、日銀が現在の金融緩 和を続ければ、ドルと円の短期金利の格差は拡大していくとみられて いる。

18日のLIBOR3カ月物でみた日米短期金利差は0.125ベーシス ポイント(bp)と、ドルが円を約16年ぶりに下回った昨年8月24日以来 の水準まで縮小している。

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