加オンタリオ州教職員年金基金、ブラックストーンに負けないリターン

ジム・リーチ氏は、リセッショ ン(景気後退)下でもプライベートエクイティ(PE、未公開株) 投資の手を緩めなかった。2008年にはチリの公益企業サエサ・グル ープを運用先に選び、09年には空港運営の英ブリストル・インター ナショナル・エアポートの株式を2億1100万ドル(約192億円)で 取得した。

同氏は現在、オーストラリアの有料道路運営会社トランスアー バン・グループに対し62億ドル規模の敵対的買収案を提示している。 この取引が成立すれば、約3年前の信用市場の崩壊以降で最大規模 となる。

リーチ氏(62)が交渉の席から絶対に離れる必要のない理由。 それは彼が借入金に頼ったり、投資家を勧誘したりする必要がない 点にある。彼は実際、約30万人もの投資家を抱えている。カナダの オンタリオ州の教職員たちだ。870億カナダ・ドル(約7兆5500億 円)の資産を運用するオンタリオ州教職員年金基金の最高経営責任 者(CEO)として、リーチ氏には彼らの退職後の生活を守る責任 がある。これが米国の3大PE投資会社、ブラックストーン・グル ープとカーライル・グループ、KKRの交渉担当者とリーチ氏との 違いだ。

同氏は、トロントにある同基金の本部でのインタビューで、 「他のPE投資会社が傍観していたときでも、われわれはそこにい た」と語った。

カリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)など大部分 の年金基金は、投資先を選定するのに外部の運用会社を起用する。 しかしオンタリオ州教職員年金基金は、PE案件の約6割を直接取 引している。過去20年間で買収もしくは一部株式を取得した企業は 約300社に上る。

ブラックストーンやKKRに負けないリターン

大手の企業買収専門会社に引けを取らないリターンを上げるオ ンタリオ州職員退職年金基金の動きを見て、退職基金の間ではPE の直接取引を始める動きが広がっている。

ダートマス大学タック経営学大学院のセンター・フォー・プラ イベート・エクイティ・アンド・アントレプレナーシップのディレ クター、コリン・ブレードン氏は、「直接取引への意欲はかつてな く高まっている。対立の恐れも少ない、より簡素な構造だ」と述べ た。

レバレッジを抑えて長期保有するというリーチ氏の戦略が奏功 し、オンタリオ州教職員年金基金の運用成績はブラックストーンや KKRと肩を並べる水準にある。1990年の開始以来、同基金のPE 部門の年平均リターンはプラス19.6%。政府資料によれば、これは トップクラスの企業買収専門会社とほぼ同水準だ。

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