円相場50%切り下げでもデフレ消えず、長期金利の急騰も-クレディS

クレディ・スイス証券の白川浩道 チーフエコノミストは17日のインタビューで、政府・日本銀行が「仮 に円相場を50%切り下げたとしても、日本経済はデフレから脱却でき ないだろう」と語った。財政再建にも悪影響を及ぼすデフレへの処方 箋に関連して述べた。

白川氏は同日付のリポートでは、世界的な金融危機を背景に、デ フレ要因となる供給過剰・需要不足が国内総生産(GDP)の8%程 度に上っていると推計。民間貯蓄や長期金利などが変動しないなら、 円相場を主な貿易相手国の通貨に対し50%程度切り下げれば、この大 規模な負のGDPギャップも解消し得ると試算した。

しかし実際には、急激な通貨安は資本の海外流出や長期金利の急 騰を招く可能性が高いとも指摘。輸入原材料・製品の価格上昇などに より、結局は国内需要が抑制されるため、GDPギャップの解消には 至らないと分析した。

総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは2009年10-12 月期に前年同期比マイナス3.0%と、過去最大の下落率を記録。全国 の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は12月まで10カ月 続けて前年同月を下回った。

内閣府は昨年12月、日本経済が巡航速度で拡大する潜在成長力 を0.8%と推計。日本銀行は10月末に公表した「経済・物価情勢の 展望」(展望リポート)で「0%台半ば」とした。7-9月期の実質G DP成長率は0.0%、10-12月期は4.6%だった。

円相場は18日午前8時57分現在、1ドル=91円8銭、1ユー ロ=123円90銭。長期金利の指標とされる新発10年物国債利回りは 17日、1.32%前後で取引された。

インフレ目標値

菅直人副総理兼財務相は16日の衆院予算委員会で、物価上昇率 については1%程度を「政策的な目標にすべきだ」との見解を示した。

日銀は06年3月、中長期的にみて物価が安定していると理解す るインフレ率である「中長期的な物価安定の理解」を公表。消費者物 価指数の前年比で0-2%程度、中心値は大勢で1%程度とした。

昨年12月18日の金融政策決定会合では、声明文で「ゼロ%以下 の値は許容していない」と表明。ただ、白川方明総裁は同日の記者会 見で、短期的な物価変動のみに焦点を合わせた金融政策運営は「適切 ではない」とも強調した。

クレディ・スイス証券の白川氏は今回のインタビューで、中央銀 行に達成義務を負わせるインフレ目標値には「軽々に言及すべきでは ない」と批判。鳩山由紀夫内閣が真剣に導入を考える場合には、イン フレになると実質所得が目減りする恐れがある中・低所得者層や年金 受給者も含め、広く国民の理解を得る必要があると指摘した。

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