大手商社で投資抑制から積極化へ、三井物や伊藤忠が計画上回る見通し

商社の間で積極投資に乗り出す動き が出てきた。三井物産は期初の投資計画3600億円を上回り今期は前期 並みの5000億円に達する見通し。伊藤忠商事は4-12月期で期初計画 を上回った。リーマンショック以降、財務強化を優先して各社投資抑制 を打ち出していたが、投資好機と判断するなど姿勢を転換しつつある。

三井物の4-12月期の累計投資額は2500億円。さらに1-3月期 で同額の投資を計画。松本順一副社長は「投資環境はだいぶ良くなって おり、この1年間で投資機会は大変増える」と話す。16日には米でのシ ェールガス開発事業への参加を発表。最大54億ドル(約4900億円)を 投じるといい、サハリン2天然ガスプロジェクト以来の大型エネルギー 案件となる。

伊藤忠も4-12月期の投資実績が2200億円と今期計画の2000億円 をすでに上回った。前期実績の4100億円には届かないが通期では2500 億円程度にまで上振れる見通しという。三菱商事は2100億円と計画の 最大6000億円と比べると進ちょく率は低いが上田良一常務執行役員は 「6000億円のうち6-7割はコミットしている」と説明する。

08年秋のリーマンショックを契機に金融不安の再燃リスクを懸念 するなど各社は積極的な投資姿勢から今期は財務体質の改善に重点を 置くとの方針に転換。4-12月期の大手6社の累計投資額は約9000億 円と前期実績の2兆3500億円に比べ6割減と大幅に減少した。ただ、 市場関係者は今後の投資動向に関心を集める。

大和証券キャピタル・マーケッツの五百旗頭治郎シニアアナリスト は「投資動向は最注目ポイント」と指摘する。「商社は優良なアセット を積み増していかないと中長期的な成長は見込めない」ためだ。金融危 機以前のように欧米の投資ファンドが入札価格を吊り上げるような状 態には戻っておらず、実需に近い価格で買収できる環境だと見ている。

財務の健全性の指標となるネット有利子負債倍率は各社大きく改 善した。三菱商事や三井物産が1倍台前半。住友商事や伊藤忠も2倍を 切った。ムーディーズジャパンの山本哲也シニアアナリストは「ネット 有利子負債倍率のみをもって格付けを決定している訳ではないが、同比 率が2倍以上とならないことがシングルA格付けの一つの目安」と語 る。

ムーディーズの格付けでは三菱商や三井物、住友商がシングルA 格。財務体質の改善に伴い投資余力が生まれてくる中、各社どのような 投資戦略を打ち出すのか市場は注目している。

【大手商社6社の投融資実績・計画】
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               4-12月期      10年3月期    NET有利子
               投融資実績     投融資計画      負債倍率
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三菱商事         2100         6000(7000)       1.1(1.2)
三井物産     2500      3600(5200)    1.0(1.3)
住友商事          1600         NA (3000)       1.9(2.4)
伊藤忠          2200         2000(4100)       1.8(2.1)
丸紅               480         1000(3200)       2.5(3.1)
双日               165          700(1000)      2.3(2.7)
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(注)各社資料から。単位:億円、カッコ内は前期実績、負債倍率は12
   月末時点でカッコ内は3月末時点。住商は同社基準のリスクアセ
   ットとしての投資積み増し計画を開示しており、今期から2年間
   で2000億円を計画。
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