ギリシャのソブリンリスク、日本の長期金利押し上げにも-みずほ証券

みずほ証券の野地慎シニアマーケ ットアナリストは、ギリシャの財政難をきっかけに財政赤字国のソブ リン(公的債務不履行)リスクが市場のテーマとなる中、クレジット・ デフォルト・スワップ(CDS)の保証コスト上昇やユーロ安のほか、 日本でも長期金利を一時的に上昇させる可能性があるとの見方を示し た。

野地氏は16日のインタビューで、昨年後半以降にギリシャの金融 市場が波乱の展開となったことについて、ドバイ・ショックの市場へ の影響がさほど尾を引かなかったことで、投機筋のターゲットが前政 権による財務ねつ造が発覚したギリシャに向かったと指摘。その上で、 「本来はギリシャ国債の保有者がヘッジ目的で買うべきCDSをヘッ ジファンドが買い上がる構図が現在に及んでいる」と分析した。

ギリシャでは財政悪化を背景にフィッチ・レーティングスをはじ め格付け会社が昨年12月に相次いで格下げに踏み切り、同国では金利 上昇や株安が進展した。また、ギリシャ国債のCDSスプレッドは2 月上旬には過去最大の428ベーシスポイント(bp)を記録した。

野地氏は欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)が最終的に は金融面で支援に回るとみており、ギリシャ国債がデフォルト(債務 不履行)に陥る公算は小さいと予想する。

欧州の財務当局者は財政赤字削減に向けてギリシャに圧力を強め ている。EUの行政執行機関、欧州委員会のレーン委員はEU財務相 会合後の記者会見で、「ギリシャによる断固たる自助行為を前提条件に ギリシャの苦境克服を支援することができる」と語った。財務相らは 赤字削減に十分な進展が見られない場合は3月16日までに財政健全 化の追加措置を準備するようギリシャに求めている。一方、ギリシャ のパパコンスタンティヌ財務相は16日、同国政府の財政赤字削減は計 画以上に進展していると述べた。

ユーロ安

しかし、米国での金融規制強化の動きや中国の金融引き締めが世 界経済の回復を鈍らせるようだと、市場では折に触れギリシャの財政 不安が蒸し返されるとみる。ユーロ圏にはポルトガルや、アイルラン ド、スペインなどPIGSと呼ばれる国々もあり、再びCDSのスプ レッド拡大や外国為替市場でのユーロ下落につながりかねないと読む。

ユーロは1月13日につけた1ユーロ=1.4579ドルから2月12日 の安値1.3532ドルまで1カ月で約7%も下げた。また、シカゴマーカ ンタイル取引所(CME)国際通貨市場(IMM)では、ユーロ通貨 先物の取組残高は5万7152枚の売り越しとなり、売り越し幅は2週連 続で過去最大を記録した。

日本の長期金利押し上げも

市場のテーマがソブリンリスクに向かっているかぎり、財政赤字 の拡大が続く日本の国債市場が「ネクスト・ギリシャ」の思惑にさら される可能性も否めないと野地氏はみる。

野地氏は、日本国債のCDSが高止まるなかでは長期債を買いづ らく、さらに政府が6月ごろまでにまとめる「中期財政フレーム」の 内容を見極めようとの雰囲気が強まれば、春先にかけて長期金利がじ り高に推移すると予想。その上で、「ギリシャ問題が一息ついて次は日 本だとの思惑がくすぶるようだと、新発10年国債利回りが1.6%程度 まで上昇してもおかしくない」と予想する。

もっとも、日本国債は国内投資家の保有が9割超に上っており、 海外投資家に7割近くを依存するギリシャとは根本的に違うため、ソ ブリンリスクがいかに高まっても日本の金利上昇には限界があるとも 指摘。野地氏は、大手銀行を中心にカネ余りの構図に変化がないだけ に、「ソブリンリスクが手がかり材料となることで、投資家としては

1.5%台で購入するチャンスも出てくるのではないか」とみる。

新発10年債利回りは、昨年6月11日に1.56%まで上昇して今年 度の最高水準をつけ、夏場以降はおおむね1.25-1.45%のレンジ取引 が続いた。昨年12月1日には一時1.2%台を割り込んだが、その後は

1.3%を挟んだもみ合いとなっている。

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