債券先物3日ぶり反落、株価大幅続伸で売り-長期金利は1.3%台前半

(第10段落以降に現物債の潜在需要に関する内容を追加します)

【記者:赤間信行】

2月17日(ブルームバーグ):債券先物相場が3営業日ぶりに反 落(利回りは上昇)した。米国株式相場の上昇を受けて国内株価が大 幅に続伸したため、約1カ月半ぶり高値圏に達していた先物市場で売 りが優勢となった。一方、投資家の取引手控えで長期金利は1.3%台 前半での小動きが続いた。

HSBC証券の白石誠司チーフエコノミストは、米国は株高、金 利低下となったが、国内市場は株高の勢いが強かった分だけ債券に調 整売りが出たと指摘。また、「世界的に財政悪化への警戒感が強いこと が、心理的に長期ゾーンを買いにくくさせていた」との見方も示した。

東京先物市場の中心限月3月物は前日比変わらずの139円70銭で 始まった。開始後こそ1銭高の139円71銭をつけたが、その後は株高 を受けて小幅なマイナス圏で推移。もっとも、日中の値幅はわずか12 銭にとどまり、結局は9銭安い139円61銭で終了した。

前日の海外市場の株高を受けて日経平均株価が4日以来の水準ま で切り上がったため、債券先物市場は売り優勢の展開となった。米国 ではニューヨーク地区の2月の製造業景況指数が改善したことなどを 手がかりに景気回復期待が高まり、16日にはダウ工業株30種平均な ど主要な株価指数が軒並み上昇した。日経平均の終値は272円58銭高 の1万306円83銭。

1カ月半ぶり高値圏に到達

先物3月物は4日の日中取引で138円69銭まで下落したが、その 後はじりじりと水準を切り上げており、前日には139円76銭と昨年 12月30日以来の高値圏に到達した。BNPパリバ証券の山脇貴史シ ニア債券ストラテジストは、「海外ファンドなどがある程度は先物を買 い戻したとみられる中で上値は抑えられていた」と指摘した。

一方、日銀が17、18日の両日に開催する金融政策決定会合に関し て、日銀ウォッチャーの大勢は金融政策の現状維持を予想しており、 市場では債券相場への影響は限定されるとの見方が多い。日興コーデ ィアル証券の野村真司チーフ債券ストラテジストは、デフレ圧力が根 強いだけに日銀への金融緩和圧力は残るが、景気の二番底懸念が和ら ぐ中で追加緩和が差し迫った状況にあるとみる向きは少ないという。

10年債利回りは1.325%

現物市場で長期金利の指標とされる新発10年物の305回債利回り は前日比0.5ベーシスポイント(bp)高い1.325%で始まり、日中取 引では1.32-1.325%での小動きに終始した。

305回債利回りは4日の取引で1.38%まで上昇したものの、ここ では投資家の買いが入ったとみられており、15日午前には1月末以来 の低い水準となる1.315%をつけた。

もっとも、投資家の多くが新規の残高積み増しに慎重なため、10 年債の利回り1.3%割れへの抵抗感は強い。日興コーディアル証の野 村氏は、年度内の売買をほぼ終えた投資家にとって、金利が動かない ことはむしろ歓迎すべきことだと指摘。

その上で、野村氏は「ここ数年は4-6月期に金利水準が切り上 がる傾向が多いため、足元で無理をして残高を積む必要はないと考え る向きも多いようだ」との見方も示した。

潜在需要が金利上昇を抑制

今後、期末が接近すれば取引が一段と控えられる公算が大きいも のの、市場では銀行勢はじめ投資家の潜在需要はおう盛とみられてお り、こうした良好な需給が金利上昇を抑制するとの見方も多い。

HSBC証の白石氏は、景気が循環的な回復局面にあるとはいえ、 デフレ圧力が解消されない中で日銀の低金利政策は変わらないとも指 摘。その上で、期末前はさすがに積極的な買いが入りにくいとしても、 いずれ銀行などの待機資金がにじみ出てくる可能性は高く、「4-6月 期にかけて意外に金利は上がらないかもしれない」と予想する。

日銀が8日に発表した1月の貸出・資金吸収動向等によると、全 国銀行の貸出残高は前年同月比1.7%減少して、前月の同1.2%減から マイナス幅を拡大させた。一方、都銀と地銀、第二地銀の実質預金と 譲渡性預金(CD)の残高は同3.0%増加していた。

みずほ証券の三浦哲也チーフマーケットアナリストは、昨年10- 12月期の実質国内総生産(GDP)が事前予想から上振れても金利上 昇にはつながらないなど、市場参加者は先行きの景気循環の不透明さ に焦点を向け始めたと分析した上で、「来年度以降のキャリー(金利収 入)収益の積み増しを意識したアプローチが必要」という。

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