円高進めば追加金融緩和も、87円超えが引き金か-ドイツ証・深谷氏

1ドル=87円を超えて円高が進む 展開となれば、日本銀行は追加金融緩和のカードを切る―。ドイツ証 券の深谷幸司シニア為替ストラテジストは、ドル・円相場が昨年11 月に付けた約14年ぶり円高値(84円83銭)に向かうような流れにな った場合、日銀が新型オペの期間延長や長期国債買い入れ増額に動く 可能性があるとみている。

深谷氏は16日のブルームバーグとのインタビューで、「景気の状 況は足元やや持ち直している感はあるが、日銀の景気見通し自体が年 前半はやや停滞するという認識で、現状の金融政策はどちらかという とまだ緩和バイアスということだ」と語った。

その上で、深谷氏は、為替動向が日銀が追加緩和に向かう1つの 契機になると指摘。円相場が90円前後にある現状で「日銀はあえてカ ードを切らない」が、87円台まで円高が進めば、「かなり警戒感が出 てくる」と語った。

一方、円高が進んだ場合の為替介入の可能性については、「ユーロ 高阻止の介入をしないままユーロの割高感が順調に修正され、米国は 何もやる意志がないという中でやりにくいのは確か」としながらも、 ドル・円が85円を割り込み、ユーロ・円でも1ユーロ=115円まで円 高が進めば、円全面高となるので「やる権利はあるのではないか」と の見方を示した。

時間軸効果は十分、追加は量的部分

日銀は昨年12月1日に開いた臨時金融政策決定会合で、政策金利 の0.1%で期間3カ月の資金を10兆円供給する新たな供給手段(新型 オペ)の導入を決定。同18日の会合では、デフレ脱却に向け、消費者 物価指数(CPI)の「ゼロ%以下のマイナス」を許容しない姿勢を 打ち出した。

ブルームバーグ・ニュースの調査によると、有力日銀ウオッチャ ー16人の大勢が17、18両日の日銀金融政策決定会合で金融政策の現 状維持を予想している。

深谷氏は、「時間軸効果という意味ではもう十分で、あとは量的な 部分で何か追加的なものをやるかどうかだ」と語り、追加緩和策とし ては、長期国債買い入れ増額のほか、新型オペの期間を6カ月物とし 「オペレーションとしての時間軸を伸ばす」ことも選択肢になると指 摘した。

新型オペの導入以降、それまで円高要因の一つとされていたロン ドン銀行間貸出金利(LIBOR)でみた円とドルの利回り格差が縮 小。英国銀行協会(BBA)によれば、16日時点で3カ月物の円建て LIBORは0.254%、ドル建てLIBORは0.250%となっている。 一方、6カ月物LIBORは円建てが0.457%で、なおドル建てを7 ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)程度上回る。

17日の東京外国為替市場では円相場が1ドル=90円台前半で推 移。昨年11月には一時、84円83銭と1995年7月以来の水準まで円 高が進んだが、その後下落に転じ、今年1月には一時93円台後半まで 円安に振れた。

深谷氏は、「昨年11月の『デフレ宣言』以降、政策スタンスの明 確化により確かに円高が止まった」とし、日本政府が「デフレ脱却」 を第一の政策課題に掲げ、日銀との協調に動いていることを評価。円 高容認発言で物議を醸し出した藤井裕久前財務相の後を継いだ菅直人 財務相についても「具体的な水準に言及するのはご法度だが、円安方 向が望ましいということをはっきりと言うこと自体はいい」と語った。

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