米シティとBOA、JPモルガンの現金保有が拡大-利益率低下の恐れ

米銀が手元に保有する現金が最 大1兆2900億ドル(約116兆円)と、企業向け融資にほぼ匹敵す る規模となっている。融資残高1ドル当たりでは、過去最高の98 セントだ。

ブルームバーグ・ニュースがまとめた米連邦準備制度のデータ によれば、この割合は2008年6月の21セントから4倍余りに拡 大。同期間に企業向け融資は14%減少して1兆3200億ドルとなっ た。銀行がデフォルト(債務不履行)抑制で貸し出し基準を厳格化 し、手元流動性の確保を求める当局に対応したためだ。

米経済における借り手からの資金需要低迷と、当局が金融危機 の再来予防を目的に金融機関に一段の手元流動性を要請するとの懸 念から、銀行はより多くの現金を保有する状況となっている。これ によって利益は抑制され、株主資本利益率(ROE)は危機前の水 準から約33%下がると、KBWのアナリストらは指摘する。

調査会社クレジットサイツのシニア金融アナリスト、デービッ ド・ヘンドラー氏は、ウォール街での成長産業という銀行のイメー ジが失われるとみて「魅力の薄れたビジネスだ」と指摘した。

失業率の低下を目指す米オバマ政権が銀行に融資を促しても、 現金保有高は積み上がった。資産規模でみた米銀上位3行で、企業 向け融資に対する現金保有の割合が最も高かったのはシティグルー プ。ブルームバーグのデータによると、米政府が27%出資する同 行の昨年末時点の現金および他行に預け入れた預金は合わせて 1930億ドルと、総額1670億ドルの企業向け融資1ドル当たりでは

1.15ドル。この割合は08年6月時点の倍で、当時は融資2220億 ドルに対して現金保有額が1130億ドルだった。

JPモルガン・チェースは2位で、商業向け融資残高に関する 直近リポートを米証券取引委員会(SEC)に提出した昨年9月現 在で融資1ドル当たり1.08ドル。資産規模で米銀最大手のバン ク・オブ・アメリカ(BOA)の現金・預金は1460億ドルで、融 資1ドル当たり64セントだった。

KBWのアソシエートディレクター、フレデリック・キャノン 氏によれば、使われない現金は利益に響く。景気と金融の状況が通 常に戻った際に銀行のROEは10-14%となり、危機前の20年間 続いた18-20%の水準を下回ると同氏は予想。「銀行は流動性の余 剰分の一部を投資するか、融資を伸ばす方法を見つけ出さねばなら ない」と語った。

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