TIPSに売り圧力-リーマン破たん以降最大の下落も

米国債市場で、インフレ連動債 (TIPS)が2008年の米証券リーマン・ブラザーズ・ホールディン グス破たん以降で最大の下落を記録しつつある。消費者物価の上昇がわ ずかにとどまっている状況で割高感があると投資家はみている。

米資産運用会社ブラックロックや債券ファンドのパシフィック・イ ンベストメント・マネジメント(PIMCO)、約4兆5000億ドルの 運用を手掛けるFAFアドバイザーズはTIPSの売りに動いており、 相場が今月1.13%下落する一因となった。1月は1.5%、2009 年は 10%のそれぞれ上昇だった。今月は、リーマン破たん後の08年10月 に8.47%下落となって以来、最大の下落を記録しそうなペースだ。

4カ月前には、景気回復や8兆2000億ドルに上る米景気刺激策が インフレにつながるとの懸念からTIPSを買い進めていた投資家は、 方針を転換している。ドル上昇や銀行の融資抑制、世界各国の財政赤字 拡大で世界の経済成長が鈍化しかねないなかで、物価上昇に備える必要 性はほとんどないとの見方だ。

PIMCOのTIPS投信「リアル・リターン・ファンド」(運用 資産156億ドル)を運用するミヒル・ウォーラー氏は「ここ1カ月程 度はかなり積極的に売っている」とし、「今後1年間のインフレ率はマ イナス1%とみている」と指摘した。

少なくとも現時点では、鈍い経済成長や債券市場でのインフレ率低 下懸念によって、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長やオ バマ大統領に刺激策の抑制を求める圧力は弱まりそうだ。ただ、財政赤 字への取り組みを投資家が政府に促す局面に入れば、状況は変わるとみ られる。米政権の試算によると、今後5年間の財政赤字は4兆3000億 ドルに達する見通し。

CPI

今週発表の米政府統計では、インフレが引き続き抑制されているこ とが示される見込みだ。労働省が1月15日に発表した昨年12月の米 消費者物価指数(CPI)は食品とエネルギーを除いたコア指数で前月 比0.1%上昇。上昇率は過去10年間の平均(0.2%)を下回る水準だ。 ブルームバーグがまとめたエコノミスト61人の予想中央値によると、 1月も0.1%上昇が予想されている。

指標となる10年物TIPSの利回りは現時点で1.43%。ブレー ク・イーブン・インフレ率(BEI)と呼ばれる、通常国債との利回り 格差は225bpとなっている。インフレ期待を示す同格差は1月11日 に付けた今年のピーク(249bp)から縮小してきている。

2年物米国債利回りも5日に0.72%と、8週間ぶりの低水準を付 けており、インフレ懸念の後退を示している。財政赤字拡大が欧州経済 の安定を脅かすなかで、投資家は米国債の安全性を取ろうとした。利回 り低下は、FRBが政策金利を過去最低水準付近に維持するとの市場の 予想も示唆するものだ。

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