モンゴルのハーバード卒エリートら、資源開発の「オランダ病」回避へ

モンゴルに眠る数十億ドル規模の 銅や金、ウラン、石炭は、チンギスハンが13世紀にモンゴル帝国を築 き上げて以来の巨額の富を同国にもたらすと期待されている。

これらの資源は危機を生み出す可能性もある。突然の繁栄が経済を 圧倒し、商品価格の変動にさらされることもあり得る。米ハーバード 大学や英ケンブリッジ大などで学んだモンゴルの一部リーダーらは、 「オランダ病」を回避することを固く決意している。オランダ病とは、 富の急増が最終的には景気拡大を妨げる現象だ。

モンゴルのリーダーらは世界銀行と協力し、政府当局者をチリなど の国々に派遣している。チリは銅資源を有効に利用し順調に成長を加速 させた。また、民主主義の下、輸送手段への投資拡大や金属価格の変動 の影響抑制を目指す予算関連の新法策定などの政策への支持を固めてい る。

自由市場経済を研究するペルーのエコノミスト、エルナンド・デ・ ソト氏はモンゴルの首都ウランバートルでのインタビューで「大半の発 展途上国に行くと、『われわれは助かった。ウランを発見したのだか ら』と言う。モンゴルの大統領は、『多くの天然資源を発見したために 深刻な危険にさらされている』と言う。あらかじめ警告されているとい う事実が希望につながる」と指摘する。

デ・ソト氏は先週、モンゴルのエルベグドルジ大統領、バトボルド 首相と会談した。エルベグドルジ大統領はハーバード大ケネディ行政大 学院を卒業。デ・ソト氏が2000年に出版した「The Mystery of Capital」のモンゴル語への翻訳を助けた。

収入の急増

「オランダ病」は、オランダで1960年代に天然ガス田が発見され 収入が急増したものの、通貨が上昇し輸出競争力が低下、製造業の収益 性が低下したことから名付けられた。

モンゴルは昨年、オユ・トルゴイ銅・金鉱床開発に関し、カナダの アイバンホー・マインズと英・オーストラリア系リオ・ティントと 合意。モンゴル政府はこのプロジェクトが300億ドル(約2兆7000億 円)の収入につながると予想している。

バトボルド首相は9日、記者団に対し、これらの資源開発による新 たな収入増により国内総生産(GDP)が「極めて短期間に数倍に」 拡大するとの見通しを示した。世銀によると、同国の08年のGDPは 53億ドルだった。

突然の繁栄

突然の繁栄が生活水準の向上につながらない可能性もある。アフリ カ最大の石油輸出国、ナイジェリアの1人当たりのGDPは過去30年 間ほとんど伸びていない。世銀によると、南米最大の石油輸出国、ベネ ズエラの1人当たりのGDPは2008年より1977年の方が多かった。

モンゴル政府はチリの政策を基に、資源価格の下落局面でも予算を 安定させるため価格が高水準にある時期に鉱物ロイヤルティーの余剰収 入を確保しておく法律を提案している。09年には、ロイヤルティーの 一部を市民に配分する米アラスカ州のプログラムをモデルにした「人間 開発基金」を創設した。

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