【コラム】次の10年の花形は為替トレーダー、金持ちへも最短-Mリン

わたしは時々、就職についてアド バイスを求める電子メールを読者からもらうのだが、普段はこれらに 返信するのには慎重だ。

しかし時に、今年大学を卒業する人々や転職を考えている人が選 ぶべきことがあまりにも明白で、指摘せずにはいられないような道が 見えることがある。今がそうだ。

ヘッジファンドは問題外。プライベートエクイティ(未公開株) ファンドも避けよう。デリバティブ(金融派生商品)の世界の君たち は、難しい数学の公式をごみ箱に捨てなさい。それよりも、為替トレ ーダーになろう。金融市場に君臨する新しい王者は、きっと彼らだ。

国債危機、ドルの没落、新たな準備通貨の創設。これらは皆、今 後の数年間、金融界での名声と富が外為市場で築かれることを示唆し ている。

どの10年間にも、金融市場の中で主導的な役割を果たす分野があ るものだ。新しいことが次々と起こり、世界にとってひどく重要なた め、若く野心的な人間が他の分野よりもはるかに容易に頭角を現すこ とができる-。金融の世界の一角に、そんな場所が生まれる。

1980年代にはそれがM&A(企業の合併・買収)だった。90年代 にはハイテク企業を支えたベンチャーキャピタル(VC)とインター ネット関連企業の新規株式公開(IPO)を助けた銀行だった。

熱い外為市場

2000年代にはヘッジファンドと、彼らに商品を供給したデリバテ ィブトレーダーが重要な役を演じた。しかし10年代の主役は、為替ト レーダーだ。外為市場の「熱さ」を示す兆候は既にある。

ドイツ銀行は先月、同行が個人投資家向けに提供する為替取引プ ラットホームの09年利用顧客数が前年比40%増だったことを明らか にした。一般投資家たちは、外為取引が自分たちにとって妙味のある 市場分野だとはっきり気付いている。

世界の外為取引の中心であるロンドンでも、取引高の急激な伸び は明らかだ。イングランド銀行(英中央銀行)の調査によれば、1日 当たりの取引高は昨年10月時点で1兆4300億ドル(約129兆円)と 同年4月に比べ13%増えていた。米連邦準備制度理事会(FRB)系 列の調査では、米国での外為取引は昨年10月までの半年間に28%増 えて1日当たり6750億ドルに達した。すごい数字だ。ロンドンの取引 高は、危機前の水準に戻ってはいないものの、近づいている。

外為取引が10年代の金融市場の主役になると考える幾つかの理 由がある。

国債危機

第1が国債危機だ。各国政府は金融崩壊を防ぐために巨額の債務 を背負ってしまった。これは真の解決ではなく、問題を1つの場所か ら他の場所に移しただけだった。今では各国の債務履行能力について 疑問が生じている。市場が政府に規律回復を迫る唯一の道は、外為市 場での「判決」だ。最終的に危機がどのように収束するにしても、こ れを導くのは外為市場の参加者たちだろう。

第2に、ドルは長期的な下落基調にある。米景気回復の強さの度 合いにかかわらず、中国やブラジル、インドなど新興経済の台頭は米 国の世界での主導的地位がかつてのままではあり得ないことを意味す る。従って、ドルは最終的にその特別な地位を失うだろう。ここでも、 この移行を導くのは為替トレーダーだ。

第3の理由は、新たな準備通貨の登場だ。ドル凋落(ちょうらく) の中で、世界は価値を保全する信頼できる器を求めるだろう。候補は 幾らもある。金かもしれないし、国際通貨基金(IMF)の特別引き 出し権(SDR)かもしれない。新しい世界通貨でもいい。まだ誰も 考え付いていないものもあるかもしれない。何が機能し何が使えない かを最終的に決めるのも為替トレーダーたちだろう。

影響大

このほか、あまりありそうもないが影響は大きいような出来事を 理由に加えよう。ギリシャやポルトガルを支えるのにうんざりしたド イツがユーロを離脱する、中国が人民元を世界の基軸通貨にしようと 決める。どちらもありそうなシナリオではないが、もし現実になれば 市場への衝撃波は何年も続くだろう。

金融市場のある分野が主導的な役割を演じるには通常、2つの条 件がある。1つは技術革新、もう1つはボラティリティ(変動性)だ。 今現在、外為取引はこの2つを満たしている。

そういうわけで、もしも金融市場で働くなら、ユーロを円に替え る、あるいはドルをポンドに替えるうまい方法を考えるのが最良の仕 事だと思われる。金を稼ぐ最速の方法であることは確かだ。 (マシュー・リン)

(リン氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。こ のコラムの内容は同氏自身の見解です)

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