「日銀サーベイ」金利予想、経済物価情勢、金融政策の展望コメント

【記者:日高正裕】

2月16日(ブルームバーグ):ブルームバーグ・ニュースは17、 18日開かれる日銀の金融政策決定会合を前に、有力「日銀ウオッチャ ー」16人に内外の経済・物価情勢、金融政策の展望を聞いた。質問内 容は以下の通り。アンケート回答期限は15日午前8時。エコノミスト 予想のまとめ記事は「財政悪化で日銀へ緩和圧力が高まる可能性も- 消費税めぐる議論前倒し」をご覧ください。

1)今回の会合で予想される政策、2)日銀が政策金利を「引き 下げる」時期、3)日銀が政策金利を「引き上げる」時期、4)~11) 政策金利の予想水準(氏名50音順、カッコは前回回答)、12)経済・ 物価情勢の展望、13)金融政策の展望。

●三菱UFJ証券の石井純チーフ債券ストラテジスト 1)今回会合 :現状維持 2)利下げ時期 :利下げなし(同) 3)利上げ時期 :2012年10-12月(同) 4)10年3月末 :0.10%(同) 5)10年6月末 :0.10%(同) 6)10年9月末 :0.10%(同) 7)10年12月末 :0.10%(同) 8)11年3月末 :0.10%(同) 9)11年6月末 :0.10%(同) 10)11年9月末 :0.10%(同) 11)11年12月末 :0.10%(同)

12)米国経済は在庫調整の一巡などで循環的な回復局面を維持してい るが、力強さを欠き、先行きも下振れ要因が目白押し。全く楽観でき ない。欧州も米国と同様、循環的な回復局面を維持しているが、日本 より脆弱(ぜいじゃく)。先行きも南欧諸国の財政不安(ソブリンリス クの高まり)が企業・消費者心理に影を落とし、内需の自律拡大の足を 引っ張る。

中国は預金準備率引き上げと融資規制で引き締め政策にかじを切 った。バブル崩壊のような景気失速は回避できても、上海万博の終了 前後より息切れ感が出てくる。日本経済は外需主導で上振れ気味。ア ジア向けを中心とした輸出増→関連生産の拡大が持続している。内需 は著しいデフレギャップを背景とした資本・雇用ストック調整が大変 厳しい。

企業の期待成長率の低迷、家計の将来不安の強まりといった心理 要因も引き続き重い足かせ。このため「輸出・生産拡大→所得増→支出 増」という景気の好循環メカニズム(=自律回復力)がいまだ作動せ ず。結果、設備投資と個人消費は低迷基調。実質国内総生産(GDP) 成長率はならしてみると年率+1%台。

13)日銀は基本的にデフレ脱却(物価上昇率のプラス定着)が展望で きるような情勢になるまで現行の非伝統的な金融緩和政策(実質ゼロ 金利+広義の量的緩和+緩やかな時間軸)を堅持。その間、円高、株 安が再燃してデフレスパイラルや景気二番底のリスクが一段と高まっ たり、政府の要請が強まったりする場面では、追加緩和に踏み切る。

タイミングの1つの候補は、政府が「新成長戦略」の工程表や「財 政運営戦略」「中期財政フレーム」を具体化する6月ごろ。蓋然(がい ぜん)性が高そうな順番に、①新型オペ増額や6カ月物固定金利オペ の導入②明確な時間軸政策の復活③(狭義の)量的緩和政策の復活+ 長期国債買い入れ増額④完全ゼロ金利政策の復活またはゼロ-0.1% レンジターゲット政策の導入など。

一方、実質ゼロ金利政策の解除(利上げ)は前述のとおり最短で 12年度下期。「生産→所得→支出」という景気の好循環を背景にデフ レギャップ解消とコア物価騰落率のプラス転換が十分に見通せる状況 になってから。

●日興コーディアル証券の岩下真理チーフマーケットエコノミスト 1)今回会合 :現状維持 2)利下げ時期 :利下げなし(同) 3)利上げ時期 :2011年10-12月以降(同) 4)10年3月末 :0.10%(同) 5)10年6月末 :0.10%(同) 6)10年9月末 :0.10%(同) 7)10年12月末 :0.10%(同) 8)11年3月末 :0.10%(同) 9)11年6月末 :0.10%(同) 10) 11年9月末 :0.10%(同) 11)11年12月末 :0.30%(同)

12)足元での世界のリスクは①ユーロ圏での財政悪化懸念=ソブリン リスク②中国の金融引き締めによる悪影響の2つだ。①では11日の欧 州連合(EU)首脳会合でギリシャの財政支援で合意したが、具体的 な救済策には盛り込まれず、不透明感は残ったままだ。ギリシャの財 政再建に向けた自助努力が最優先だが、それでもEUによる金融支援 への道は開かれた。

ギリシャ国債の大量借り換えが4-6月に控えており、それまで には対応策が講じられることで問題解決に向かっていくとみる。その 結果、欧州の次の標的として春以降、日米の財政赤字がクローズアッ プされる可能性に注意したい。だとすれば、来年度入り後の日本にお いて、参議院選挙を控えた財政バラマキ的な補正予算の検討は、避け るべきとの議論になろう。

②では予想より早いタイミングで中国の準備預金率の引き上げが 始まり、旧正月前の12日に追加策も決定された。市場予想の先手を行 く中国当局は、それだけ資産バブルの是正に必死で、経済の失速を招 かないための事前措置と言える。3月の全国人民代表大会でも確認さ れるのは8%成長の維持だろう。中国経済の身の丈に合った成長ペー スが維持されることにより日本の輸出の失速も招かないとみている。

日本では4-6月までの年前半を展望すれば、在庫復元の一段落 で増産ペースの鈍化、公共投資削減の影響、消費面の政策効果のはく 落等が見込まれ、プラス幅の縮小は避けられないとみる。1-3月は 現時点で生産予測指数から4四半期連続のプラスの可能性が高い。1、 2月の生産は意外としっかりの印象だが、3月の反動減が予想される ことや、今後はトヨタのリコール問題の悪影響も出てこよう。

需要面では、冬季賞与の大幅減少で消費の力強さを維持するのは 難しい。消費総合指数は12月分で前月比マイナスとなり、1-3月の 消費はマイナスのゲタを履いている。それでも政策効果と新興国経済 の強まりで、二番底懸念は杞憂(きゆう)に終わるだろう。

年後半に向けて緩やかな減速から回復力を取り戻すには、足元で 引き締め策に転じつつある新興国の需要動向および米国が回復軌道を しっかり進んでいけるかに依存しよう。日本では当面、厳しい所得・ 雇用環境が続くことで内需の強さは期待できず、規制緩和等を進める ことにより外需をしっかり取り込んでいくことが必要だ。

13)ユーロ圏での不安定さは残るものの、昨年11月下旬のドバイショ ックのころのような急激な円高進行にはならず、2月第3週を迎える ことができだ。昨年10-12月の日米のGDPはともに堅調となり、目 先の二番底懸念は和らいだ。米国では10日のバーナンキ米連邦準備制 度理事会(FRB)議長の原稿で出口戦略の手順は説明したが、その 時期は明確ではない。

しばらくは低金利政策を維持することをあらためて示しており、 早期の利上げは意図していないとみている。このような状況下、日銀 が焦って新たな策を講じる必要はない。日銀はデフレ克服に向けて需 要不足への対応が必要であり、新興国需要の取り込み、生産性の向上 のために制度や仕組み等の見直しを提言している。

日銀ができる緩和的な金融環境の提供は、金融面の安定による側 面支援だけで、根本的な解決には至らない。そうは言っても、今後も 急激な円高進行もしくは金融市場の混乱への不安は断ち切れず、日銀 頼みにならざるを得ないだろう。政府は3月まで来年度予算の成立に 全力投球であり、4月以降もソブリンリスクを意識すると、財政の無 い袖を簡単に振ることも考えにくい。

日銀の次なる一手は、積極的な資金供給とみている。具体的には、 3月末で終了の企業金融支援特別オペからの移行にとどまらず、4月 以降も新型オペの期間延長や供給量の拡大により緩和策を続けると考 えられる。状況に応じてオペの弾力化は段階を踏むことも可能だろう。 日銀の追加緩和策のカードは限られており、長期国債買い切り増額は 可能な限り使わずに対処できる方法を検討すると思われる。

●みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト 1)今回会合 :現状維持 2)利下げ時期 :利下げなし(同) 3)利上げ時期 :2011年7-9月(2011年7月) 4)10年3月末 :0.10%(同) 5)10年6月末 :0.10%(同) 6)10年9月末 :0.10%(同) 7)10年12月末 :0.10%(同) 8)11年3月末 :0.10%(同) 9)11年6月末 :0.10%(同) 10)11年9月末 :0.50%(同) 11)11年12月末 :0.50%(同)

12)基本的な見方は不変。景気は上向きだが、低い水準にとどまって おり、リスク要因が増加している。輸出主導の日本経済は米国経済の 本格的な回復待ちの時間帯にあるが、バブル崩壊の後遺症がなくなる までには相応の時間が必要で、足元の景気回復は力強さと持続性に欠 ける。遠からず「二番底」懸念が浮上するだろうし、このところの内 外株価変調はその序曲だとみている。

物価は、日本の人口動態にもっぱら起因している慢性的なデフレ 状況が続く。

13)最有力な「次の一手」は新型オペの拡充とみる。タームを6か月 や1年に延長することで金利押し下げ効果を強めるという「応用」が 利く。白川総裁がこだわる市場機能を一部犠牲にしてでもターム物金 利の低下を促す点で思い切った手段。年前半に円高が急速に進む場合 や、景気「二番底」懸念が強まる場合に、発動されるだろう。

一方、財政規律の緩みが問題視され、国債が増発されている現在 のような状況では、日銀が幾ら金融調節運営上の都合だと主張しても、 国債買い切りオペの増額は内外から疑義を招きやすい。極力回避した いのが日銀の本音だろう。銀行券ルールも当然問題になってくる。

●東短リサーチの加藤出チーフエコノミスト 1)今回会合 :今会合か3月会合で新型オペ増額の可能性 2)利下げ時期 :利下げなし(同) 3)利上げ時期 :2012年4-6月(同) 4)10年3月末 :0.10%(同) 5)10年6月末 :0.10%(同) 6)10年9月末 :0.10%(同) 7)10年12月末 :0.10%(同) 8)11年3月末 :0.10%(同) 9)11年6月末 :0.10%(同) 10)11年9月末 :0.10%(同) 11)11年12月末 :0.10%(同)

12)昨年10-12月の実質GDP成長率は+4.6%と3期連続のプラス 成長となった。ただし、新興国の需要が継続的に高まっていることは 日本経済にとって追い風だが、内需と海外先進国の需要は景気刺激策 に支えられているため、自律的回復の実現にはまだ時間がかかろう。

13)昨年12月に「物価安定の理解」を修正して、デフレを許容しない 姿勢を日銀は明確にしているため、今後も何らかの手を打ってくるだ ろう。企業金融支援特別オペが4月以降停止されるが、その代わりに 新型オペの増額が2月か3月の会合で決められるかもしれない。

ただし、短期金融市場のイールドカーブは事実上の時間軸効果と 相まって、既に十分に低下しているため、それによる追加的な景気刺 激効果は限られるだろう。先行きは国債買い入れオペ増額の是非が焦 点になってくると思われる。バーナンキFRB議長は先週、出口政策 の具体的手法について説明を行った。

しかし、米国経済の回復のペースは遅いこと、政府・議会に対す るFRBの独立性が事実上低下していることを考慮すると、実際の利 上げのタイミングは来年にずれ込むと予想される。欧州中央銀行(E CB)もギリシャの財政問題を抱えているため、利上げを急ぐことは 困難だろう。このため海外主要国の出口政策が日銀の政策に変化を促 すことはしばらくないと思われる。

●第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミスト 1)今回会合 :現状維持 2)利下げ時期 :利下げなし(同) 3)利上げ時期 :2011年4-6月(同) 4)10年3月末 :0.10%(同) 5)10年6月末 :0.10%(同) 6)10年9月末 :0.10%(同) 7)10年12月末 :0.10%(同) 8)11年3月末 :0.10%(同) 9)11年6月末 :0.25%(同) 10)11年9月末 :0.25%(0.50%) 11)11年12月末 :0.50%(同)

12)物価下落圧力が根強くある一方、10-12月以降の成長率は堅調と みるだろう。当面は潜在的リスクとしてユーロ圏の財政問題、中国の 引き締め方針などの震度を評価して、金融政策を現状維持する構えを 強めるとみられる。

13)会見における総裁のスタンスが注目。展望リポートの中間評価、 中村委員の講演などをみると、ややハト派色が強まっているが、これ を微調整するかが焦点。目先は特別オペを3月末で停止することを念 頭に、金融政策の風当たりを測るとみる。場合によっては新型オペの 拡充・期間延長と組み合わせて特別オペの停止はやってくるだろう。

●BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミスト 1)今回会合 :現状維持 2)利下げ時期 :利下げなし(同) 3)利上げ時期 :2011年10-12月(同) 4)10年3月末 :0.10%(同) 5)10年6月末 :0.10%(同) 6)10年9月末 :0.10%(同) 7)10年12月末 :0.10%(同) 8)11年3月末 :0.10%(同) 9)11年6月末 :0.10%(同) 10)11年9月末 :0.10%(同) 11)11年12月末 :0.25%(同)

12)10-12月GDPは内需が7四半期ぶりに増加に転じたとみられる が、自律的な景気回復が始まったとはまだ言えない。設備投資は増加 するとみられるが、これまでの落ち込み(ピークである08年1-3月 から09年7-9月までに25.4%減)と対比すれば増加幅は小幅で、「下 げ止まり」というのが適切な表現だろう。

低水準での稼働率が続く中、生産設備の過剰感は依然大きく、企 業の投資意欲は引き続き低迷している。「企業軽視」とも映る民主党の 経済政策も企業経営者の投資マインドを減退させている。個人消費に 関しても、直接的に政策効果が効いている自動車や薄型テレビなどの 耐久財消費を除けば依然として低調だ。

多くの家計は08年秋以降の所得の落ち込みを単なる景気循環的 なものとしてではなく、恒常所得の下方シフトとして認識し、それに 合わせ消費を抑制している。企業業績は最悪期を脱したとみられるも のの、資本収益率が依然として極めて低位にとどまる中、当面企業は 人件費に対し抑制的なスタンスを維持すると予想される。

雇用環境は最悪期を脱したとはいえ、雇用者所得の低迷はしばら く続くとみられる。こうした状況の下、今後は消費刺激策の効果が徐々 に減衰するため、消費回復の動きはいったん滞る可能性が高い。当面 は輸出増を起点とした生産の増加は企業業績を改善させるにとどまり、 それが設備投資の増加や雇用者所得の増加を通じた個人消費の回復に つながるにはなお時間を要するだろう。

「所得・支出の正の循環メカニズム」が始まるのは10年末になる と思われる。ただし、当初想定した以上に中国をはじめアジア経済は 好調なため、同地域向け輸出の増加が日本経済をサポートする。10年 度前半の「踊り場」は深刻なものにはならないと考えている。景気が 再び後退に陥るという意味での二番底の可能性は低く、アジア向けの 輸出動向次第では踊り場入りも回避される可能性が高まっている。

13)デフレが続く以上、日銀は現在の超低金利政策を粘り強く続ける 必要がある。米欧経済がバランスシート調整を続ける中では、米欧通 貨が減価しやすく、バランスシート問題を抱えていない日本には円高 圧力が働き、デフレ傾向を助長する 。このこともバランスシート問題 を抱えていない日本が超低金利政策の継続を余儀なくされている理由 の1つである。

実際、12月の新型オペ導入はこうした円高圧力を吸収するために 行われたと考えることができる。一般論から言えば、金融政策はショ ックに対する最適反応であるため、状況次第では金融緩和の効果浸透 を狙った新型オペの拡充を模索すべきだろう。ただし、今後追加措置 を取るとしても、金利引き下げ余地が乏しいため、技術的な政策にと どまり、劇的な効果は期待できない。

残念ながら、これが1995年以降の実態だろう。そもそも、金融政 策の有効性が低下している最大の理由は、自然利子率(1人当たりの 潜在成長率)が大きく低下しているためだ。自然利子率(1人当たり の潜在成長率)が高まってくれば金融政策は有効性を取り戻すが、そ のためには①人々の将来不安を取り除くための社会保障制度改革②新 たな需要・供給創出のための規制緩和-を地道に行う必要がある。

金融政策の役割はこうした構造政策に伴う調整コストを和らげる ことであって、構造政策の代替にはなり得ない。なお、デフレ対策と して長期国債購入の増額を求める声が少なくないが、それには大きな 問題がある。公的債務が未曽有の水準に膨らむ一方で、民主党政権は いまだに中長期の財政再建プランを策定していない。

不況による税収減の影響だけでなく、恒久的な新たな歳出につい ても国債発行(あるいは埋蔵金)でファイナンスしようとしている状 況で日銀が長期国債購入増額を行うと、市場参加者はそれをマネタイ ゼーションと認識するのではないだろうか。かなり危険な政策である。

●モルガン・スタンレー証券の佐藤健裕チーフエコノミスト 1)今回会合 :現状維持 2)利下げ時期 :2010年4-6月(同) 3)利上げ時期 :2012年1-3月(2011年7-9月) 4)10年3月末 :0.10%(同) 5)10年6月末 :0.05%(同) 6)10年9月末 :0.05%(同) 7)10年12月末 :0.05%(同) 8)11年3月末 :0.05%(同) 9)11年6月末 :0.05%(同) 10)11年9月末 :0.05%(0.25%) 11)11年12月末 :0.05%(0.25%)

12)製造業は目先やや減速するものの、好調なアジア向け輸出に導か れ、1-3月も増産基調が続く見通しだ。昨年12月時点の生産水準は 07年のピーク時を依然2割程度下回り、設備稼働率もようやく70%に 届くかどうかという状況で、経済活動は水準として満足できる状態に ないが、回復のモメンタムは過去の回復局面を大きく上回り、予想以 上と言わざるを得ない。

製造業の好パフォーマンスは好調なアジア向け輸出に負うところ 大である。日本の輸出は中国を中心とするアジア地域への依存を強め ている。当局の景気過熱抑制策にもかかわらず、アジアでは堅調な景 気拡大が続く見通しで、アジア向け輸出が日本の輸出をけん引する構 図は当面続こう。日本経済の10年の見通しを輸出中心に1.4%ポイン ト引き上げ1.8%とした。

公共投資は減少し続け、成長の抑制要因となるものの、公共投資 の減少だけで10年前半にダブルディップとなる可能性は後退してい る。結局、昨年10-12月との比較で10年前半の日本の成長率は低下 するものの、経済はダブルディップというほどの落ち込みを示さない まま、概ね緩やかな拡大を続ける見通しだ。

一方、国内ではデフレは悪化している。賃金下落は衣料品や身の 回り品をはじめ、広範なサービス価格に影響を及ぼしており、賃金か ら一般物価への悪いスパイラルが想起される。日本型コア(除く生鮮) でみた消費者物価は09年の原油価格下落影響が前年比ではく落する ことから、前年比マイナス幅は一応縮小する見通しだ。

しかし、米国型コア(除く食料・エネルギー)でみた基調的物価は 高校授業料の無料化等、新政権による各種施策の影響も出ることから、 4月以降下落幅を一段と拡大し、前年比-1.5%前後で推移する見通し だ。制度要因による物価下落は本来のデフレと区別する必要はあろう が、需給ギャップは-7%程度(09年7-9月)と過去最大級のままで、 成長率の若干の上方修正でも速やかに縮小する地合いにない。

需給ギャップが実際に物価に影響を及ぼすまでに4四半期程度の タイムラグがあることから、昨年4-6月以降の景気回復の影響が需 給ギャップの縮小を通じて基調的物価に表れるのは早くて10年央以 降となろう。一方、足元は新興国の旺盛な需要を映じて原油市況をは じめ商品市況が強含んでいるため、先行きのエネルギー・原材料市況 次第で消費者物価のマイナス幅は予想以上に縮小する可能性もある。

しかし07-08年前半にみられたように、商品市況高騰に伴う物価 上昇は、結局は国内生産者や消費者の購買力を削ぐため、かえってデ フレ的だ。実際、国民経済の実質購買力を示す交易利得(損失)は09 年1-3月の年率11.7兆円から直近7-9月は18.2兆円へ悪化して いる。

13)デフレ脱却の展望が描けない中、7月の参院選に向けて政府は日 銀に対し緩和要請を強める見込みだ。日銀も基本は政府に協調姿勢で 臨もう。具体的な緩和メニューとしては10年4-6月に利下げを見込 むほか、蓋然性の高い順に以下の方策を見込んでいる。

①当座預金残高増額:年度末に向け豊富で潤沢な資金供給を強化し、 現状の15兆円前後から25兆円程度へ10兆円程度の増額を目指す。

ただし、上記の措置は当預目標等の明示的なアナウンスメントを 伴わない可能性が大きい。

②無担コール金利誘導水準の一時的な低下容認:量的緩和を強化する 中で資金吸収オペを手控えることから、日銀は無担コール翌日物の加 重平均が0.10%を一時的に下回ることを容認する。これは事実上の市 場金利低め誘導となろう。ただし、これも明示的なアナウンスメント を伴わない可能性が高い。

③国債買い入れ増額:国債買い入れ増額は財政法にのっとれば現 状蓋然性は低い。ただし、政府が10年5、6月をめどに公表予定の「中 期財政フレーム」において信頼感のある財政均衡目標を打ち出すなら ば、日銀としては国債市場安定の観点から買い入れ額を引き上げ、政 府との協調姿勢を示すことはあり得よう。

日銀券ルールも例えば、残存1年未満の中長期国債を保有残高か ら外すといった技術的な制度変更も見込まれる。この場合、日銀は現 行の月額1.8兆円から2.4兆円程度まで段階的に買い入れを増やす見 通しだ。

④時間軸へのコミットメントの明確化:12月18日の会合で「物価安定 の理解」の定義の明確化が図られたが、そこからさらに一歩進んで、時 間軸へのコミットメントを再度明確化する可能性がある。

その場合、日本型コアCPIではなく、米国型コア(コアコア)に コミットすれば政策効果はより高まるだろう。ただし、上記発動のタ イミングは、以下のインフレ目標採用と重なる可能性がある。

⑤為替介入資金の非不胎化:財務省の通貨政策は財務大臣の交代によ り円安政策への傾斜が明確となった。

為替市場の動きが不安定化すれば、市場介入の可能性はこれまで よりも高いし、日銀は介入資金を非不胎化することにより当座預金残 高の増額を促し、量的緩和を強化することもできる。タイミングとし ては、決算期末要因から資金還流による円高圧力が強まる2、3月ご ろが要注意だろう。

⑥インフレ目標の採用:デフレ克服に向けた政府と日銀の協調姿 勢をアピールするため、政府と日銀はインフレ目標を共有し、政府は 日銀に達成のためのマンデートを与える可能性がある。デフレ下のイ ンフレ目標の採用について、日銀は伝統的に否定的だが、新たに採用 されるインフレ目標について、政府が目標を設定して日銀と共有し、 日銀が達成手段を考える英国型のスキームをイメージしている。

政府サイドは目標達成のため通貨政策を円安志向に既に転換して いるし、日銀は目標達成のため、上記の一連のメニューを含めた一段 の金融緩和の強化に乗り出すだろう。海外中央銀行が10年央以降、相 次いで出口戦略に乗り出す中での日銀の緩和強化は円安要因である。

●三菱UFJ証券景気循環研究所の嶋中雄二所長 1)今回会合 :現状維持 2)利下げ時期 :利下げなし 3)利上げ時期 :2011年3月(同) 4)10年3月末 :0.10%(同) 5)10年6月末 :0.10%(同) 6)10年9月末 :0.10%(同) 7)10年12月末 :0.10%(同) 8)11年3月末 :0.35%(同) 9)11年6月末 :0.35%(同) 10)11年9月末 :0.35%(同) 11)11年12月末 :0.35%(同)

12)長らくけん伝されてきた「二番底」説は誤りであることがはっき りしてきた。景気動向指数の一致CIは、09年3月を谷として同年12 月(速報)まで9カ月連続の前月比上昇を記録しており、同様に上昇基 調を継続している先行CIや先行・一致比率、さらには一致・遅行比 率といった一連の先行指標の動向から見ても、当分の間一致CIの上 昇基調に変調が見られそうにない。

現時点で既に景気の拡張局面入りの判定基準(①5カ月以上の期 間②一致CIの上昇スピード③一致DI(ヒストリカルDI)が100% に限りなく接近)を充足しており、景気が拡張局面入りしていること は明らかだ。「景気の拡張局面入りの条件を満たさない一時的な回復状 況が終わって、景気が再下降する」という二番底は成立し得ないことに なる。

10-12月GDP成長率も前期比年率4.6%と強含み、このまま行 けば10年度の実質経済成長率も2.0%と一般の予想より高めの数値と なろう。コアCPI前年比マイナス幅も09年8月のマイナス2.4%か ら12月には1.3%に縮小し、今後も国内企業物価のマイナス幅縮小を 追いかけるように順調に縮小して行こう。為替がやや円安方向に向か うと想定すれば、10年度下期のコアCPIはプラス0.2%に達しよう。

13)今後年央にかけての日銀の金融政策は「新型オペ」の遂行に伴い、 緩和気味に運営されるとみられる。6月に20年までの平均名目成長率 3%をうたった「新成長戦略」が正式に発表され、7月の参院選に向 けての選挙戦に突入するころまでは、景気動向指数の遅行CIに代表 される雇用・賃金・設備投資・物価などの遅行指標の鮮明な上昇は見 えてこない。

この間に為替の円高、長期金利の上昇、株価の下落などが発生し た場合、新型オペの3カ月延長や国債買い切り増額の要請が強まり、 日銀としても対応せざるを得なくなろう。実際、ある一定の名目成長 率を中期的に達成するために必要なマネタリーベースの伸び率を算定 するマッカラムルールによると、名目3%成長のためには年10.3%程 度(流通速度を3年移動平均とした場合)の伸びが必要となる。

しかし、10年1、2月(12日までの平均)現在のマネタリーベース は前年比4.0%増に過ぎない。外国人投資家は特にこういう点に意外 に執着するので、何らかの催促相場が到来しないかどうか注意が必要 だ。しかし、10年8月になると逆にFRBが利上げに転ずる可能性も 高い。

既に預金準備率の引き上げ過程に入っている中国やインドはもち ろん、夏ごろにはECBにも利上げの意向がないとは言えない中、そ の後半年以上も日銀がそのままじっとしているとも考えにくい。10年 度後半に入ると、景気(特に遅行指標)・物価ともにしっかりしてくる とみられ、11年度の成長率加速を想定する日銀としては11年3月に も、金利水準の正常化を開始するのではないだろうか。

ただ、そのころには交易条件の悪化の波及により、景気の先行C Iは総じて下降に転じ、一致CIもピークアウトし始めるなど利上げ するには大いに問題が出てくるため、00年8月のゼロ金利解除以来の 賛成・反対の緊迫した状況が出てくると考えている。

●HSBC証券の白石誠司チーフエコノミスト 1)今回会合 :現状維持 2)利下げ時期 :利下げなし(同) 3)利上げ時期 :2012年度以降(同) 4)10年3月末 :0.10%(同) 5)10年6月末 :0.10%(同) 6)10年9月末 :0.10%(同) 7)10年12月末 :0.10%(同) 8)11年3月末 :0.10%(同) 9)11年6月末 :0.10%(同) 10)11年9月末 :0.10%(同) 11)11年12月末 :0.10%(同)

12)ゲタを除いた生産前期比伸び率は昨年4-6月の+5.0%、7-9 月期の+5.5%から10-12月は+2.5%に鈍化した。政策効果のピークは 昨年7-9月であり、今後時間の経過とともに減速が一段と明確化す るのは不可避。世界的な製造業活動の有力な先行指標である米製造業 ISM新規受注・在庫バランスも昨年8月に約35年ぶりとなる歴史的 高水準でピークアウトした可能性が高い。

今年前半が政策真空期間であることもあり、GDP成長率は1- 3月に明確に減速、4-6月はゼロ近辺、マイナスもあり得る情勢だ ろう。国内物価は未曾有のデフレギャップ拡大を受けてコアコアCP I前年比が夏場にかけて1%を超える下落を続ける見込み。欧米経済 の立ち上がりは極めて緩やかだ。

バーナンキ議長の出口戦略青写真提示は、異常措置の解除に関す る手順、手段に関するもので、利上げとは全く切り離して考えるべき だろう。大幅なデフレギャップ、ディスインフレ基調、家計・金融機 関バランスシート調整遅延、財政拡張停止下での利上げは、二番底リ スクをいたずらに高めかねない。

7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)会合でも示されたが、 今後の先進国金融政策対応の要諦は、いかにバックワード・ルッキン グ(後ろ向き)な運営を貫徹できるかだろう。新興国の金融引き締め に向けた動きは、緩和度合いの調整の範囲内の動きであり、新興国景 気の二番底を誘発する公算はまだ小さい。

13)展望リポート標準シナリオは踊り場的状況をもカバーしており、 基本的には踊り場到来が追加緩和のきっかけになるとは考えにくい。 ただ、特に内外金利差を背景に円高が進むような場合、新オペの期間 延長、当座預金残高拡大といった手段で為替市場の期待に働きかける とみられる。

景気腰折れリスクが高まった場合、翌日物に加えてターム物金利 目標をディレクティブに掲げる可能性もあり得る。長期国債買い入れ オペは政治圧力次第。

●クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミスト 1)今回会合 :新型資金供給オペの上限額引き上げ 2)利下げ時期 :利下げなし(同) 3)利上げ時期 :2015年以降(同) 4)10年3月末 :0.10%(同) 5)10年6月末 :0.10%(同) 6)10年9月末 :0.10%(同) 7)10年12月末 :0.10%(同) 8)11年3月末 :0.10%(同) 9)11年6月末 :0.10%(同) 10)11年9月末 :0.10%(同) 11)11年12月末 :0.10%(同)

12)世界生産は拡大基調にあり、外需・生産の回復が年央までは継続 する見込み。リスク要因は一部自動車メーカーの一時的な大幅減産。 もっとも、設備稼働率水準の回復は十分ではなく、国内設備投資の回 復力は当面限定的に。個人消費は足元でやや弱含みだが、年後半から は子供手当の効果で緩やかに回復へ。賃金が下げ止まるのは11年以降 とみられ、消費者物価の下落基調が継続へ。

13)構造的な財政赤字拡大に伴う財政面での景気刺激余地の低下、欧 米早期利上げ期待の後退に伴う実効円高、消費者の期待物価変化率の 低下などから判断して、追加緩和の余地が拡大。10年4、5月までは 追加緩和の可能性が十分にある。追加緩和策の候補は以下の通り。今 回会合では①が有力か。①12月1日に決定した新型資金供給措置の上 限額引き上げ(10兆円程度→15兆円ないし20兆円程度)。

②ターム物資金供給オペ積極化(6カ月物オペの導入)の表明。 長期国債買い切りオペ増額(月額3000億円程度)。④時間軸効果を補 強する観点からステートメントを修正:「中央銀行としての貢献を粘り 強く続けていく方針」→「デフレ脱却が展望できるまで現状の超低金 利政策を維持することとする」など。

●大和総研の田谷禎三顧問 1)今回会合 :現状維持 2)利下げ時期 :利下げなし(同) 3)利上げ時期 :2011年10-12月以降(2011年10-12月) 4)10年3月末 :0.10%(同) 5)10年6月末 :0.10%(同) 6)10年9月末 :0.10%(同) 7)10年12月末 :0.10%(同) 8)11年3月末 :0.10%(同) 9)11年6月末 :0.10%(同) 10)11年9月末 :0.10%(同) 11)11年12月末 :0.25%(同)

12)ますます国内景気のアジア依存が強まってきた。昨年末の輸出の 回復もほとんどアジア向けによるものだったし、生産の改善傾向も輸 出に依存するものだった。機械受注も下げ止まりの動きを示している が、これも輸出の回復によるものだ。昨年末から年初にみられた今年 前半は踊り場的状況に陥るとの見方は弱まっているようだ。

政策効果の減衰はあるとしても、輸出、生産の改善が続けば、緩 やかな景気拡大傾向は持続するだろう。ただ、景気拡大ペースはごく 緩やかなものにとどまるため、物価情勢に変化はないだろう。今後と もさらにアジア依存は強まるのではないか。米国における雇用情勢は 一般的に想定されていたよりも厳しく、消費の低迷は続きそうだ。

欧州でも、PIIGS(ポルトガル、イタリア、アイルランド、 ギリシャ、スペイン)関連の問題もあって、金融機関の貸し出し態度 はより厳しくなるだろうし、各国の財政政策もより慎重にならざるを 得ないだろう。

13)財政の悪化がますますはっきりしてきた。早急に中長期的な財政 再建プランを立てざるを得ない。歳出削減だけで再建はほぼ不可能だ し、過去20年続く税収減を放置しては再建できないことがはっきりし てきた。消費税引き上げ抜きの再建プランは困難な情勢だ。こうした 状況では、金融政策に対する期待、要請は強まらざるを得ない。

ただ、輸出、生産の拡大基調が続く限り、ドラスティックな政策 を取る可能性は薄いだろう。これまで採用されてきた政策の延長線上 での動きとなるだろう。つまり、それは、より長期の流動性を、より 大量に供給することではないか。

●信州大学の真壁昭夫経済学部教授 1)今回会合 :現状維持 2)利下げ時期 :利下げなし(同) 3)利上げ時期 :2011年初以降(同) 4)10年3月末 :0.10%(同) 5)10年6月末 :0.10%(同) 6)10年9月末 :0.10%(同) 7)10年12月末 :0.10%(同) 8)11年3月末 :0.30%(同) 9)11年6月末 :0.50%(同) 10)11年9月末 :0.50%(同) 11)11年12月末 :0.50%(同)

12)米国経済は緩やかな回復過程にあるが、短期間での雇用の回復期 待は低く、個人消費が盛り上ることは考えにくい。1月の失業率は0.3 ポイント低下して9.7%、非農業部門雇用者数も前月から2万人の減 少となっており、徐々に労働市場は改善されつつあるが、企業が積極 的に採用を増やすには至っていない。時間当たり平均賃金も小幅な変 化に止まっており、消費の本格的な回復はまだ先と見るべきだ。

資本市場ではボルカールールに関わる不透明感や、ギリシャをは じめとする欧州周辺国の財政懸念などの悪材料が重なっており、世界 の金融市場のセンチメントは微妙に変化している。特に株式市場の不 安定な展開は、企業経営者のマインドや、一般庶民の消費者心理を追 加的に悪化させることも考えられる。そうリスクには注意が必要だ。

日本は昨年12月の景気一致指数が9カ月連続で改善した。10-12 月の機械受注は7四半期ぶりにプラスとなり、アジア向け輸出の伸び に支えられる格好で景況感は徐々に改善している。物価の下落幅は縮 小しているが、内需が伸び悩む中、今後も下押し圧力を受けながら推 移すると見る。デフレからの本格的な脱却にはまだ時間が掛かろう。

中国での金融引き締め策の行方が気になるが、企業のリストラ努 力を背景に日本企業の下押し圧力に対する抵抗力は高まっている。当 面、景気の二番底の可能性は低い。むしろ民主党政権に対する不安や、 世界的な景気刺激策効果のはく落、財政悪化懸念の一段の高まりによ って、11年以降の景気先行きに関する不透明要素が多い。

13)国内のデフレ圧力、円高という2つのリスクファクターを抱え、 日銀が取れる政策余地は少なく、当面現在の政策を維持するしかない だろう。ただ、財政状況の悪化を勘案すると、今後日銀に対するデフ レ対応策の実施の要請が強まることが予想される。そのときに選択肢 の1つとして、現在行われている低利の資金供給の期間の長期化や、 国債購入額の増加が選択肢として考えられる。

日銀としては選択肢が限られる状況下、できるだけ選択のカード を温存しておきたいはずだ。世界的な株価の急落などよほどのことが ない限り、カードは切らないだろう。白川総裁は、国債購入額は現在 のレベルが最適であるとコメントしており、追加策に対して予防線を 張る姿勢を示している。

一方、世界経済がこのまま緩やかな回復過程をたどることができ れば、欧米の中央銀行を中心に出口戦略が活発化するはずだ。その場 合、日銀としても徐々に金融政策の正常化に向けた地ならしを開始す ることになろう。ただ、国内のデフレ圧力が短期間で大きく変化する とは考えにくく、金融政策の変更には慎重なスタンスを取らざるを得 ないだろう。

●野村証券の松沢中チーフストラテジスト 1)今回会合 :現状維持 2)利下げ時期 :利下げなし(同) 3)利上げ時期 :2011年8月(同) 4)10年3月末 :0.10%(同) 5)10年6月末 :0.10%(同) 6)10年9月末 :0.10%(同) 7)10年12月末 :0.10%(同) 8)11年3月末 :0.10%(同) 9)11年6月末 :0.10%(同) 10)11年9月末 :0.25%(同) 11)11年12月末 :0.25%(同)

12)日銀は1月の金融経済月報で設備投資の動向を「下げ止まりつつ ある」と判断したが、12月機械受注統計を受けて「下げ止まった」と の表現に変えるのではないか。先行き判断(収益がなお低水準で、設 備過剰感も強い下で当面はなお横ばい圏内にとどまる可能性が高い) に変化が出てくるか注目しているが恐らくまだ変えてはこないだろう。

13)日銀の緩和措置を予想しており、可能性が高いのは夏までだろう。 きっかけは世界のリスク市場の調整と、同時に発生するだろう円高だ。 これは、①年前半の方が次の景気のエンジンである設備投資が動き出 していないため、日米ともに景気が脆弱②ギリシャ・中国・米金融規 制への警戒からリスク資産の調整が起こりやすい③日米関係悪化や国 内政治の混乱から、政府側が円高対策を講じづらい-が理由だ。

米国の利上げ期待を後退させ、ドル安を起こし得るきっかけとし て住宅指標に注目している。11月で住宅減税がいったん終了し、駆け 込み需要が消えてくる。住宅需要の軟化からいったん下げ止まった住 宅価格が再下落に転じると、金融機関の間で処理が進んでいない不良 債権の問題が頭をもたげてくる。

格付け機関が「政府が異例の支援策を追加的に実施するか不透明 感がある」との理由から米大手金融機関の格付けアウトルックを「ネ ガティブ」へ引き下げている。政府の保護が外れつつある金融機関は ファンダメンタルズの悪化に対し脆弱だ。金融危機再燃とまでは行か ぬともFRBの利上げが遠いことを印象付けるイベントになり得よう。

●シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミスト 1)今回会合 :現状維持 2)利下げ時期 :利下げなし 3)利上げ時期 :2011年7-9月(同) 4)10年3月末 :0.10%(同) 5)10年6月末 :0.10%(同) 6)10年9月末 :0.10%(同) 7)10年12月末 :0.10%(同) 8)11年3月末 :0.10%(同) 9)11年6月末 :0.10%(同) 10)11年9月末 :0.30%(同) 11)11年12月末 :0.30%(同)

12)海外景気の拡大が輸出の増加を通じて、国内景気を押し上げる構 図が続いている。中国では年明け以降、預金準備率引き上げをはじめ とする引き締め措置が実施されているが、これまでの超緩和措置の正 常化という性格が強く、実体経済に対するインパクトは当面緩やかな ものにとどまると予想される。

今後も財・サービスのインフレ率が中国当局の許容範囲内にとど まると予想される中、景気の急減速を招くような強い引き締め措置が 実施される可能性は低いだろう。中国景気は高い成長を維持すると予 想される。

米国は家計所得の増加を伴いながら個人消費が持ち直しているほ か、設備投資(正確には機械・ソフトウエア投資)も増加に転じてい る。途上国景気の堅調さと既往のドル安を背景に輸出も高い伸びを維 持している。米国景気が失速するリスクは大きく低下したように見受 けられる。欧州ではソブリンリスクへの懸念を背景に、財政引き締め が強化される可能性が高く、これが景気を抑制するとみられる。

以上のような海外景気のシナリオの下、国内でも海外景気拡大→ 輸出増→生産増の循環メカニズムが途切れる可能性は低いように思わ れる。また、景気の安定性を考える上では、設備投資が増加に転じた ことも重要であろう。設備投資をめぐっては「生産活動は上昇してい るが、稼働率の水準は依然として極めて低く、設備投資が増加する状 況には至っていない」との指摘がよく見受けられる。

ただ、個別業種・製品というセミマクロ・ミクロの次元に下りて いくと、稼働率が既にかなり上昇し、生産能力の増強を検討しなけれ ばならない業種・製品が出始めている。今年年央にかけて、既往の政 策効果(公共事業の積み増し等)のはく落等により、GDP成長率が 一時的に減速することは想定されるが、金融市場に強い負のショック が及ぶような景気悪化は考えにくくなっている。

13)上記の景気シナリオの下では追加的な緩和措置が取られる可能性 は低いと判断される。米国の金融規制強化案、中国の引き締め、欧州 のソブリンリスク等、金融市場の波乱要因が浮上しているが、これら が海外景気全般に悪影響を与えない限り、あるいは円高ドル安や株安 を招かない限り、政策的なインプリケーションは大きくないだろう。

利上げ開始は11年7-9月を予想している。ただ、11年の世界 景気については①途上国での経済政策の正常化(利上げ等)②先進国 (欧州、米国)での財政引き締めの開始を背景に、下振れのリスクが 大きいと言わざるを得ない。

●バークレイズ・キャピタル証券森田長太郎チーフストラテジスト 1)今回会合 :現状維持 2)利下げ時期 :利下げなし(同) 3)利上げ時期 :2012年以降(2012年後半以降) 4)10年3月末 :0.10%(同) 5)10年6月末 :0.10%(同) 6)10年9月末 :0.10%(同) 7)10年12月末 :0.10%(同) 8)11年3月末 :0.10%(同) 9)11年6月末 :0.10%(同) 10)11年9月末 :0.10%(同) 11)11年12月末 :0.10%(同)

12)機械受注に上向きの動きが見られるなど、輸出を起点とした景気 回復の動きは徐々に広がりを見せつつある。昨年秋以降の株価下落、 円高によるセンチメントの落ち込みも一応反転に向かいつつある。た だし、輸出の伸びが今後徐々に鈍ってくると予想される中、鈍化の程 度が焦点となってくる。中国の金融引き締めの影響がどのタイミング でどの程度出てくるのかが一つのポイント。

米国のISM製造業指数が直近では大幅に上昇したが、その反動 がいずれかの時期に出てくることも想定される。設備投資、消費の回 復は基本的に11年以降のテーマであり、今年中に関しては依然として 外需拡大ペースの議論が焦点となる。

13)基本的には国内景気それ自体が政策変更の誘引にはなりにくいが、 12月と同様、欧米の景気見通しが下振れる中で円高圧力が強まるよう な局面では、現在の「量的緩和的な」政策をもう一段強化する可能性 も出てこよう。しかし、市場参加者の流動性需要は限界的な水準にま で落ちつつあり、新型オペの長期化などが選択肢となる。

大規模な補正予算編成のような話しが出てこない限り、国債買い 切り増額は選択肢には入らないだろう。

●ゴールドマン・サックス証券の山川哲史チーフエコノミスト 1)今回会合 :現状維持 2)利下げ時期 :利下げなし、3月末までに国債買入増額等で緩和 3)利上げ時期 : 2012年度以降(同) 4)10年3月末 :0.10%(同) 5)10年6月末 :0.10%(同) 6)10年9月末 :0.10%(同) 7)10年12月末 :0.10%(同) 8)11年3月末 :0.10%(同) 9)11年6月末 :0.10%(同) 10)11年9月末 :0.10%(同) 11)11年12月末 :0.10%(同)

12)輸出回復・政策効果が生産の回復につながりつつあるが、公共投 資削減や補助金政策による耐久消費財買い替えが一巡することもあり、 景気が一時的に失速する可能性が高い。

13)日銀による長期国債買い入れ増額の前段階として、資金供給期間 を現状の3カ月から6-12カ月に延長することで「時間軸効果」の強 化を図る一方、日銀券ルールの対象外となる短期国債買い入れを増額 するといった手段も残されている。いずれにしても今回追加緩和を見 送っても、夏場までには追加緩和を余儀なくされる可能性が高い。

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