ユーロが対ドルで下落、欧州財政不安で売り拡大‐ギリシャ支援見極め

東京外国為替市場ではユーロが対ド ルで下落。ギリシャなど南欧諸国の財政不安を背景にユーロ圏経済に対 する悲観的な見方が根強く、午後にかけてユーロ売り・ドル買いが強ま る展開となった。

ユーロは1ユーロ=1.36ドル台前半から一時、1.3579ドルまで下 落。対円でも1ユーロ=122円台後半から一時、122円41銭まで値を切 り下げた。

野村証券金融市場部の高松弘一ヴァイスプレジデントは、「ずっと ギリシャの財政赤字問題が言われているが、市場の期待を上回るような 解決策が出てこないということが、思い切ったユーロのショートカバー (買い戻し)が起こらない原因になっている」と解説。欧州景気の下振 れが懸念される中、「ドルからの分散対象の筆頭だっただけに、ユーロ は割高分が修正されてきている」と指摘している。

一方、ドル・円相場は1ドル=90円台前半でのもみ合いに終始。朝 方発表された昨年10-12月期の日本の実質国内総生産(GDP)1次 速報値は前期比年率4.6%増と事前予想を上回ったが、GDPデフレー ターは前年同期比3.0%低下と予想以上のマイナスとなった。

高松氏は、旧正月(春節)のため中国市場が休場で、「全般的に動 意に乏しい」とした上で、ギリシャに加え、先週末からドバイ・ワール ドの債務返済問題といったネガティブな話が出ており、「リスクオフと いう意味ではクロス円(ドル以外の通貨の対円相場)が売られやすい」 と指摘。ただ、ドル・円については、ドル・キャリー(ドルを売って高 金利通貨を買う取引)の解消に伴うドル買いが綱引きし、方向感が出に くいと説明している。

ギリシャ支援問題

ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)はこの日、ブリュッセルで 会合を開き、ギリシャ支援問題について協議する。16日には欧州連合 (EU)加盟27カ国の財務相会合が開かれる。

英紙フィナンシャル・タイムズが14日伝えたところによると、ギ リシャは現在の財政政策を直ちに引き締めることを求める圧力に抵抗 する見通し。同紙によると、ドイツと欧州中央銀行(ECB)は金融支 援の見返りにギリシャが付加価値税(VAT)を1-2ポイント引き上 げ、公共部門の賃金をさらに下げることなどで既存の財政安定化計画を 一段と強化するよう圧力をかけている。

一方、英紙タイムズ(オンライン版)は15日、ギリシャがこれま で発表した計画を実施しても、財政赤字を今年中にGDP比4ポイント 低下させるという目標を最大1.25ポイント分下回る公算があると、E Uの行政執行機関、欧州委員会の幹部の話を基に伝えている。

EU首脳らは先週、ギリシャの財政赤字抑制への取り組みを支援す るため、「断固とした協調行動」を取ると表明したが、ギリシャで年内 に必要な530億ユーロ(約6兆5000億円)相当の国債発行について問 題が生じた場合の具体的な支援策は示していない。

ユーロ売り越しが過去最大

米商品先物取引委員会(CFTC)によると、シカゴマーカンタイ ル取引所(CME)国際通貨市場(IMM)では、ユーロ・ドル先物取 引の非商業部門のユーロポジションが今月9日時点で5万7152枚の売 り越しとなった。売り越し幅はデータがさかのぼれる1999年1月以降 で最大。

ギリシャ支援問題をめぐる不透明感から前週末の海外市場ではユ ーロが対ドルで一時、昨年5月19日以来の安値となる1.3532ドルまで 下落。対円では121円39銭と1週間ぶり安値を付けた。

シティバンク銀行個人金融部門リテール・プロダクト本部為替市場 調査の尾河真樹シニアマーケットアナリストは、ユーロ圏の財政不安が テーマとなる中、今週も引き続きユーロ中心の相場展開になると予想。 「ギリシャ問題に関する明るいニュースが出ると一時的にユーロの買 い戻しにつながるが、ポルトガルやスペイン、イタリアなどに対する不 安感はまだまだ付きまといそうで、ユーロは今週も安値圏で振幅の激し い展開が続く」とみている。

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