ウォール街に背を向けるゴールドマン元幹部-ゲンスラー氏の決意

米商品先物取引委員会(CFTC) のゲーリー・ゲンスラー委員長は、米ゴールドマン・サックス・グルー プで18年間勤務した経験を持つ。このため、デリバティブ(金融派生 商品)規制法案に関して、ウォール街に配慮し規制を弱める取り組みを するのではないかとの見方があった。ゲンスラー氏はこのような幻想を 打ち砕いている。

ゲンスラー氏(52)は1月6日、ニューヨークのウォルドーフ・ア ストリア・ホテルで開かれた個人的な昼食会で、銀行幹部らに対し以 前は収入や賞与を増やすという目的を共有していたが、現在は米国の納 税者に対して責任を負っていると述べた。そして、自身の目標達成に向 かって進めば、金融機関の収益性は下がるとの見通しを示した。昼食会 での議論の内容に詳しい3人が明らかにした。

この昼食会には、ゴールドマン・サックスの証券部門共同責任者の デービッド・ヘラー氏のほか、ドイツ銀行の米国部門のセス・ウォー最 高経営責任者(CEO)、クレディ・スイス・ホールディングスUSA の世界信用部門責任者、ティモシー・オハラ氏、バンク・オブ・ニュー ヨーク(BNY)メロンのロバート・ケリーCEOらが出席。バンカー の1人がゲンスラー氏に改革の最大の障害は何だと思うかと質問した 際、同氏は出席者らに向かい「あなた方だ」と答えたという。

ブルームバーグ・ビジネスウィークは2月22日号で、オバマ政権 の規制当局者のうちウォール街にとって最も厄介者はゲンスラー氏かも しれないと報じた。同氏は演説や議会で、オバマ大統領が昨年夏に提示 した案よりもさらに厳しいデリバティブ法案を目指すと語っている。

影の存在から表舞台に

ゲンスラー氏が目指すのは、店頭デリバティブ市場を影の存在から 表舞台に引き出すことであり、買い手と売り手のスプレッド(価格差) を縮小し、市場への新規参入を容易にすることだ。最終的には銀行の利 益が数十億ドル減少することになるとみている。同氏は議会で、金融業 界が活用できる抜け穴を生み出す可能性のある文言のわずかな変更さえ も阻止しようと、ロビイストらと対峙(たいじ)している。

ハーバード大学経営大学院のサミュエル・ヘイズ名誉教授は、ゲン スラー氏について、「非常に気掛かりな存在になるだろう。デリバティ ブは間違いなく21世紀のウォール街の中心だ。規制の影響を誰も望ん でいない」と指摘する。

CFTCの取引・市場担当の元責任者で、現在はメリーランド大学 法科大学院の教授、マイケル・グリーンバーガー氏は、ゲンスラー氏が クリントン政権当時に財務省当局者として規制緩和に取り組んでいた 際、反対派だった。グリーンバーガー氏は「ゲーリー・ゲンスラー氏が 今回関与しなかったら、法案はこれほど強い規制を盛り込んだものには ならないと思う」との見方を示した。議会は金融規制改革の一環として デリバティブ市場の監督強化を検討している。

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